PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ACCOR PLUS と ibis BUSINESS Card

ふざけた内容の格言仕立は日本語にもありますが、仏語では非常にお盛ん。第二、第三言語とする者には、独特のリズム、独特の発想、笑いの感覚の良教材です。さらに冗談のメカニズムが理解できる頻度で母語話者とのギャップも自己診断できます。そんなおふざけを集めたサイトはインターネットにあふれており、出版物もそこそこあります。そんな中、仏語初歩でも理解できるものを見つけました。

Si l'avocat n'est pas cru, l'accusé est cuit.

これは3つの単語の多義性から生じる笑いで、言わんとすることは、

弁護士の言う事が信じてもらえなければ、被告は万事休すだ。

です。刑事事件の法廷に対する準備で交わされそうな会話。シリアスな状況での砕けた言い回しになります。しかし外国人がこの発言をしたら、笑いが起こることでしょう。身近な言葉としての語義に忠実になるなら、

弁護士は生(なま)ではないにしろ、被告は調理済みだ。

という意味になるからです。 si は条件節の誘導と対比の接続詞としての2つの機能が並立しますが、cru の反意語は cuit なので対比が安定しており、さらに cru と cuit も後者の訳の方が日常的、原義です。つまり言語としては後者の訳の意味の方が安定感があります。そして食材が異様なことも笑いを誘います。

 近いタイプですが、

Tempête en décembre, t'en chie en janvier.

の説明は異文化圏では俄然難しくなります。吉本芸人の決め台詞をフランス人に説明するようなもの。一方、

Quand un homme offre des fleurs à sa femme sans raison, c'est qu'il y a une raison.

男が妻に理由なく花を送る時、そこには理由がある。

Le mariage c'est résoudre à deux les problèmes que t'aurais jamais eus si t'étais resté tout seul.

結婚、それは問題を二人で解決するということ。それらの問題はおまえさんが独身のままだったら決して起こらなかったのだがね。」(結婚してしまった男性への訓示。)

はストレートに理解できるものの、仏語らしいリズムで学習者向け。

 

(2月22日追記)

最後の二文はオリジナルがありました。多少変わって伝わることはよくありますが、一番最後の文はオリジナルでは tu が on になっており、そちらの方が深みがあります。

Le mariage c'est résoudre à deux les problèmes qu'on n'aurait pas eus si on était resté tout seul.

結婚、それは問題を二人で解決するということなんだ。それらの問題は一人のままだったら起こらなかったのだがね。」ここでは要素を提示する順番が重要で、しばしば訳出では解決不可能。こんな時はよく関係詞が絡みます。また複数定冠詞のニュアンスを伝えるのも困難ですね。

 

本題は久しぶりにアコー。

 

2種の有料会員

Accorhotels の会員プログラムは ALL ですが、ALL 会員向けの有料会員制度が少なくとも2つ知られています。ひとつは ACCOR PLUS。これはアジア太平洋地域のホテルの利用で優待される制度です。会費は2万円~3万円程度で、住んでいる場所によって多少変わります。Traveller と Explorer の2つの会員種別があり、特典は以下の通り。

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2種の会員の違いは無料宿泊が一泊あるかないかのみ。会費は日本在住の場合です。

 

もう一つは ibis BUSINESS。対象となるのは ibis, ibis style, ibis budget の利用です。単年の会費は 90 EUR。2年間の会費は 159 EUR。それぞれ 11,500 円、20,300 円ぐらいです。特典は

・宿泊ではフレキシブル料金が10%引、それ以外の料金は5%引。ALL 会員用の料金についても適用。

・常に一つ ibis BUSINESS 会員のために部屋を用意。

・1滞在について2部屋まで適用。

・宿泊の有無にかかわらず、レストランとバーの利用時に10%の割引。

・ALL のゴールド会員資格(アコー ALL 全体の会員)。

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ちなみに ALL の上級会員特典は以下の通り。

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なお特典ポイントの積算率も会員レベルによって異なります。

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入会レベルでの会員は Classic と呼ばれますが、Classic 会員も含めた特典一覧表は

Benefits and status

で見ることができます。

 

有料会員のお得さ加減

アコーの上級会員が目的でシルバーとゴールドはだいぶ違うと感じられる場合、ibis BUSINESS の方が圧倒的にお得でしょう。ACCOR PLUS との比較では半額以下の会費で上の会員資格が得られるという珍しい設定。ibis BUSINESS では利用料金の割引率が控え目なので、年会費も抑えたという発想でしょうか。

 ibis 宿泊で年間25万円も使っている人なら、加入は節約になるので「絶対お得」です。宿泊数にして30 ~ 40泊でしょうか。ただしこれなら素でもゴールド会員になれるので、ibis BUSINESS のゴールド会員資格の部分は意味がなくなります。

 

逆に ACCOR PLUS は魅力が見つけにくいと思います。滞在時にダイニングをよく利用する方向けでしょうか。宴会の支払いをよく行うなら、簡単に節約ツールに変身します。ALL の個人会員というより、幹事向けのお得情報です。

 シルバー会員付帯は、効果が低そうです。ALL の会員基準は、シルバー 10泊または 800 EUR、ゴールド 30泊または 2,800 EUR、プラチナ 60泊または 5,600 EUR、ダイアモンドが 10,400 EURの宿泊利用です。個人利用客を集めたいなら、宿泊実績 20泊+4,000 status points の方がよっぽど良いのにと常に考えていました。

 アジア太平洋地区という地域限定特典という点も大きな欠点です。

 

個人的には上級会員の特典はほとんど使いませんが、ウエルカムドリンクは人待ちの他、チェックアウト後のタクシー待ちにも使えるので意外と便利だなと思いました。無料朝食は混雑するのでプラチナ会員時も利用しませんでした。特にアジア太平洋地区に宿泊する休日は、朝食時間後のブランチを取ることが多くなっています。すると ACCOR PLUS も少し意味がありますが、ブランチに年間 500 USD なんて使いません。

 

ACCOR PLUS のキャンペーン

やや魅力に欠ける有料プログラムの ACCOR PLUS ですが、最近キャンペーンを始めました。ALLのシルバー会員は10泊でゴールド会員に、ゴールド会員は18泊でプラチナ会員になれます。登録が必要です。

 https://all.accor.com/promotions-offers/fasttrack-offers/fast-track-for-accor-plus-members.en.shtml

登録期間:2月15日から4月15日まで

対象となる宿泊日:2月15日から8月31日まで

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これは武漢肺炎-COVIDの影響への対策というより、ACCOR PLUS へのテコ入れでしょう。このキャンペーンは宿泊実績付与とか、ステータスチャレンジなどの系統になります。

 

ALL の前身の Le Club はキャンペーン濫発で、上級会員になりやすいプログラムでした。それが2020年のプログラム大改革+名称変更以来、他社並みに渋くなったのですが、折悪しく疫病禍による絶対的な利用低迷が訪れます。一方でマリオットやハイアットは疫病対策として会員資格の濫発を行うようになり、アコーとはすっかり逆転してしまいました。そのためアコーは(おそらく機能していない)ACCOR PLUS と合わせて利用活性化を狙ったのでしょう。

 

このキャンペーンの利用状況を踏まえて近々 ACCOR PLUS はリニューアルされるのではないかと密かに期待しています。またアコーは VISA と包括的に提携したはずです。それが形になって現れる、つまり提携クレジットカードが発行されると、ACCOR PLUS の発展的解消になる可能性もあります。