800円という低費用で飛ぶ福岡。ただし訪問先は佐賀県です。はなわの佐賀県。明確な目的があり、訪れたのは唐津だけ。
直行の空港アクセス
福岡空港の地下には、市営地下鉄空港線の駅があります。この線は博多、祇園、中洲川端、天神、赤坂、大堀公園、唐人町、西新、姪浜と用事のできそうな街区を串刺しにしており、福岡が目的地でも大変便利。姪浜から先はさらに JR 筑肥線に乗り入れ、西唐津まで運航する列車があります。
直通列車はロングシートの通勤列車。座っていると飽きます。フライトが早着したことを良いことに、2本前の市営地下鉄の車両に乗って、姪浜で本来の列車を待つことにしました。
福岡空港―唐津は、直行で約1時間15分。筑前前原で接続するパターンだと、1時間半。羽田空港に置き換えて考えると、鉄道で印旛日本医大や海浜幕張に行くような感じ?
福岡素通り唐津行は、(新千歳空港から)札幌素通り小樽行と同じような感覚。
唐津城を遠景に眺めつつ、松浦川を河口近くで渡り、唐津に到着。
県庁所在地や、全国レベルで有名な観光資源を持つ自治体は問題ありません。そこまでのレベルにはない場合、公営ギャンブルを抱える自治体が旅行に向いています。これは与太話ではありません。財政に余裕があり、余所者を魅了する街づくりができるからです。道路、公園、駅前広場、観光案内所、地方物産販売所などを整備するのは当然としても、遺跡などの固有の歴史遺産の維持も可能になります。中世の城の遺構を破壊することなく、博物館を中心にした公園へと整備するのにも膨大な資金が必要なのです。
唐津城天守は模擬天守です。歴史的価値はともかく、軍事的に重要な場所、そして観光者の視点では印象的な場所に城が存在したことは事実。金をかけた演出に過ぎませんが、重要な街づくりです。
唐津寿司?
久しぶりに寿司屋に入りました。東京を離れると握りは食べる気になれません。地方でも高名なところはそれなりの要素があるはずですが、そもそも「寿司ではない」と感じます。そばも同様。自分でもあきれるぐらい受容力がありません。
この店は、とろけるようなネタとそれにあった緩い握り。価格は控えめ。見事なカウンターに加え、食器にもこだわりが感じられます。普通の人は満足すると思います。やはり旅先では握り寿司のようなファーストフードや B級グルメ、伝統ある余り物片付け料理が印象に残ります。
帰ってから思い出したのですが、唐津にはご当地バーガーがあります。試し損ねました。
点景
腹ごなしの散歩は虹ノ松原。走破なんて大それたことは考えず、入口まで歩いていく程度。街と砂浜の位置関係が分かれば良いのです。
海岸ではありがちな強烈な風。天気は良いのですが、海水浴の季節ではなく、遊びに来る人などいやしません。その結果、あちこちで見事な風紋ができていました。
砂浜は黄色~灰色。バイオマスが大量に打ち上げられているので、ゴミは少なくても美しいとは感じられないでしょう。しかしながらこの自然の造形、訪問する価値は十分あります。
城郭建築は、あちこちから目に入ることが重要。借景の一部となり、金には換算できない町の財産になります。
観光客はほとんど歩いていません。コロナのためか、周辺の人口密度が低いためか事情はよくわかりません。
用途が分からない塔。
最近建てたばかりのようです。
明治の建築物が残るかどうかは、運のような気もします。あの辰野金吾の監督の下、弟子によって設計がなされたとの触れ込み。
雰囲気は感じられます。
街中も含め、一帯にはトンビが数多く生息しています。低高度まで降りてきます。ぼんやりしていると食べ物を奪われそうです。
商工会議所のビルに留まり、さかんに歌っていました。春が来たので婚活ですか?ここに巣でも作るつもりなのでしょうか。
用事を済ませたら、お土産さがし。昔ながらの個人商店も頑張っていますが、食品は東京まで運ぶことを考えると、二の足を踏んでしまいます。結局持ち運びのしやすい観光客向けの商品を駅で買うことに。今年はあちこちで豊漁のカマス。
同時に購入した「一汐あじ」は佐賀県産でしたが、カマスには長崎県産の表示があります。塩分が極端に異なり、工場が違うようです。とするとカマスは長崎県で処理したものを呼子で売っている線が強そうです。
呼子には昔から行ってみたいと思っているのですが、唐津よりさらにアクセスが大変。今回の「明確な目的」も達成が中途半端だったし、唐津バーガーという課題も残っているので、再訪必至?
おまけ
収穫が多かった今回の訪問。東唐津では住民の素の言葉も聞けたし、下の写真のように以前からアップロードしたかった絵も撮れました。
床座りをとがめる電車は、どこで走っているのでしょうか。路線マップのようなものはありませんかね。個人的には、九州でしか見たことがありません。
一般に DON'T DO THAT の注意には、しばしば思いもよらぬことが書いてあります。国内外を問いません。これには
・その社会に確立した規範がある
・しかしその社会では相当な割合の人間が従わない
の二要素が両立していないといけません。これら2つの要素は、どちらかが勢力を増せば他方は失せる関係にあります。つまりポテンシャル曲線の頂上で静止しているような危ういバランスにあるのです。さらに
・その社会の人間は当たり前すぎて気にしない一方、他所者には驚き
という強烈な地方性が表れます。精妙にして土地にユニークとなると立派な観光資源です。しかも他所者が訪れて初めて認識されるので、わざわざ出かける価値が高いときています。これだけでも九州に来てよかったと思いました。(大マジメです。改めて調べてみたら、3年ぐらい前から人気になっていますね、この JR九州のステッカー。静かなブーム?)