PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

フランスでは国内線廃止の圧力

まだ GW が白紙。無気力はいけないと強制的に考えを巡らせると、5月1日はコルトンプラザのファースト抽選会。高圓寺の藤の花も時期。レッサーパンダに会いに行くのもありです。土日の昼しかやっていない国府台の蕎麦屋も思い浮かびます。

 こうしてみると、東京から「近過ぎるために」過小評価されている場所が多い気がします。しかし飛ばない話は、ブログ記事にはならないのが残念。

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各地の著名な蔵が大都市で春の出張販売を行っていますが、流行りは人気ラインの火入れを減らした酒。5℃ぐらいでの保持が必要なので、手にするのは日本に居る者の特権。GWは特別限定品で酔いつぶれるのも選択肢の一つ。


一歩踏み出したフランス

フランスで時代の先端を行く取り組みが進行中です。4月9日土曜日、2時間半未満の列車移動が可能である都市間の航空路線を廃止することが国民議会で議決されました。

Vols intérieurs : quels seront les trajets supprimés ?

これに該当する航空路線は明らかにされていませんが、素直に取るとパリーボルドー、パリ-ナント、パリ-リヨンなどが当たります。パリーレンヌやリヨンーマルセイユは微妙です。おそらく彼らは行政命令で全て指定し、時々更新する形を考えています。

 これらの廃止該当路線のうちパリ発着は、オルリー空港に限定される模様です。シャルルドゴール空港は、国際線乗継ぎの便宜を図る必要があると考えられています。

 環境団体は鉄道移動時間の基準に 4時間を主張しているため、まだギャップがあります。

 

フランスらしい調整、配慮、妥協が感じられるものの、ついに新たな一歩を踏み出しました。

 

利用者への影響がまず気になりますが、それがほとんどありません。そもそもこれらの路線はすでに列車優位。ORY-BOD、ORY-NTE、ORY-LYS は全て何回か移動したことがありますが、航空機の方が移動に時間がかかります。残念ながら TGV は比較的正確で便利この上ありません。しかも安いのです。

 リヨンから TGV でパリに行く場合、以下のような料金設定もあります。リヨン空港からパリ12区にあるリヨン駅までの直行片道で 16 €。

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パンデミック前の状況で、LYS-ORYは AF で最低 50 €。それどころかリヨン空港から中心の駅(Lyon, Part-Dieu)へ公共交通機関で移動しても 16.3 €。リヨンの空港から450 km離れたパリへ行く方が、リヨン市内へ行くより安いというふざけた話になっています。空港アクセス用の鉄道を建設し、安価なバスを廃止した結果です。悪しき公共事業の例。ともかくこんな状況では、空路での移動はまともではありません。

 

したがって今回の議決は、利用者へはほとんど影響しません。想定される問題は路線維持のために経済的な合理性を欠いた雇用が失われることです。数は大きくなさそうなので、配置転換で何とかなると思われます。

 共和国は環境を重視しているという政治的スタンスを表したかったようです。

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他への波及は?

この動きは、直ちにドイツにも波及しそうです。DB の高速鉄道網は貧弱で、2時間半未満の鉄道移動ができる都市間で航空機の定期便があることは稀です。例えば、MUC-NUE がそういう中での重要路線になってしまいます。したがって同じ法令が作られる可能性は大いにあります。ここまでは大した意味を持ちません。

 問題はその後の流れです。ドイツで同様な政策が導入された場合、即座に国内線が独仏二国間路線に拡大する可能性が高く、やがて欧州に広がります。さらに国際線乗継ぎも該当、2時間半の基準は3時間へと政策拡大することでしょう。ここまで来ると、欧州内の移動は少し変わります。

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日本の場合は?

都市間が鉄道で2時間半未満、定期便がある路線というと、羽田―中部、羽田―伊丹、羽田―関西、羽田―小松、羽田ー富山、成田―仙台、成田ー新潟、成田―関西、伊丹-福岡、福岡ー鹿児島などが該当します。フランスと同じことをやろうとすると、相当な影響が見込まれます。しかしこの政策を導入することは難しいはずです。理由は2つあります。

・鉄道が道路や空港より政治的に弱いこと

・移動の代替手段を喪失することへの恐れが非常に強いこと

です。フランスでは移動がストップすると、それに伴う活動がストップするのが自然ですが、日本ではそういう発想は一般的ではありません。国の動脈にバックアップがない状態は、国民の理解が得られないでしょう。

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平行滑走路の同時離陸

結論からすると、現時点では大した影響は見えないものの興味深い動きが出ているというところ。