PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

イタリアでは今

先々週から、東京周辺で外国人旅行客らしい人を見るようになりました。定住者が週末や仕事後に繰り出している様ではありません。服装、声の大きさ、集団の構成などで住民とは異質な点を感じるのです。久しく見なかったタイプの訪問者。マスクをしっかり装着していることが割と共通しています。

 現在ある程度の数で入国する外国人は、オリンピック関係者。時間を見つけて夜の街へ繰り出す、あるいは鎌倉など近隣の観光地へ出かけていることが疑われます。そうだったとしても、どうしようもありません。

 対象となる人数、それぞれの目的や時間管理を考えれば、バブル方式なんて相当困難。できないものは仕方ありません。日本国民への指示程度に緩さを持たせて対応するという政府の方針なのでしょう。しかし理屈を用意するだけでは自己満足。国民に理解させないといけません。これまで一貫して、如何に国民を理解させるかではなく、如何に国民を丸め込むか(=誤魔化すか)躍起だった政府を象徴するかのようになっていませんか。COVID-19 と五輪開催の関係のついてさまざまな統計、国際情勢、歴史・思想をもとに国の立場を解説し、国民の説得を試みた大臣がいましたかね。真摯に有権者に対峙しなかった結果、矛盾への嘲笑とダブルスタンダードへの怨嗟が国中に溢れることになったのではありませんか。

 多くの来日ジャーナリストは、空前絶後のオリンピックを記事にするため、背景を調べることでしょう。中には筆力のあるジャーナリストもいます。日本社会の混乱、政治の混乱の様子は世界によく伝わると思います。

 

ホストの混乱に加え、ゲストも「何だかな」です。IOC 会長の広島訪問は、誰が見てもポーズ。あんな芝居はむしろ Auschwitz, Dachau や Leningrad, Oradour-sur-Glane, Ballersdorf usw. でやるべきだと思いませんか。ただしこれは実施する気なのかもしれません。2036年の Berlin-Tel Aviv 五輪共同開催の基礎を固めたいなら、広島で見せた白々しいパフォーマンスは数多く存在する因縁の場所で行うべきでしょう。しかしそんなことを日本が察してやる必要はありません。「開催地の住民に嫌われない努力が欠如しており、それがあらゆる人に不幸な状況を生み出している」で充分です。

 

グダグダ感に覆われるオリンピック前夜の東京。日本人選手の金メダルの獲得が社会の様子をがらりと変えるという楽観的な見方もあるので、今後も街の様子に注目していましょう。

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スタバなう:地元フラペチーノ初挑戦。丁寧に作ってくれたし、説明もフレンドリーでしたが、微妙なレシピでした。

 

さてアリタリアがどうなっているのかというのが本日のテーマ。ヨーロッパ委員会とイタリア政府は、新会社 Italia Trasporoto Aereo (ITA) の発足を10月15日とすることで合意に達しました。7月15日木曜日のことです。

 

イタリア政府はアリタリアを消滅させ、フラッグキャリアを新しく立ち上げると言いましたが、そんなことを文字通り取る人はいません。実質は大がかりなリストラで、3日前にも

アリタリア救済:新会社が10月15日に離陸する。

という記事が出ていました。世の中では連続した会社という認識が強いことを物語ります。 

 今何が問題になっているかというと、イタリア政府と EU 当局者との水面下の交渉。ITA という名称やイタリアの経済相が自画自賛するコンセプト(建設的でバランスの取れた解決法)には問題ありません。Bruxelles は

 

précise "rester en contact étroit avec les autorités italiennes afin de s'assurer que le lancement d'ITA en tant que nouvel acteur viable du marché est conforme aux règles communautaires en matière d'aides d'État".

 

などと一般的に表現します。しかし現実は政府救済に見合った制限を設定し、「自由」競争を歪めないための調整になります。

 雇用に Bruxelles が口出しするのは当然。イタリアの経済開発相は、2021年に2,800人、2022年に5,750人を雇用、地上職も合わせて11,000 人体制にできそうだと述べましたが、Bruxelle が15日に認可したのは、地上職が2025年に 2,650 ~ 2,700 人、保守が1,100 ~ 1,250 人ということでした。

 機材は当初から言われているように半分に減らされ、52機(7機の大型機を含む)になります。2022年には 78機、2025年には105機にするという野心的な計画も明らかになっています。

 Bruxelles は発着枠も制限します。ミラノ Linate の定期便は現在のアリタリアの 85%に、ローマ Fiumicino では 43%にするよう要求しています。さらにアリタリアというブランドは継承不可(ただし買い戻すことは可能)、アリタリアが販売した航空券は放棄と、当局の要求は多岐にわたります。

 

私見ですが、最後の要求は利用者にとってうれしい話ではありません。アリタリアのウェブサイトでは、以前と同様に航空券を販売しています。ITA は引継ぎたいに決まっています。パンデミックなので、平時と比べると「誰が引継ぐか未定」の総和は大きくないものの、新会社のビジネスを軌道に乗せるには役立ちます。

 

欧州の他会社が不利にならないよう、まだまだ調整は続きます。イタリア狂詩曲が奏でられる機会もあることでしょう。それには期待してしまいます。