PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

旅行の復活、まずは意識

パンデミックによる経済活動の抑制も終息を考えるフェーズとなっています。そして航空各社によるキャンペーンは景況感による景気占いのようなものですが、まだら模様です。

 

日本発海外旅行にキャセイの見立て

キャセイパシフィックは、アジアマイル会員、マルコポーロクラブ会員限定で、欧州、北米行が 5%引き。現在会員でない人たちも、新規入会でキャンペーンを利用できます。9月17日午前中に発信されたメール。おそらく日本支社によるもの。

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キャンペーンの諸条件は以下の通り。

 

オンライン購入対象期間:2021年9月17日~9月30日

日本出発対象期間:2022年4月1日~9月30日

出発地:東京 (成田)・大阪

目的地:ロンドンを含むヨーロッパ8都市、ニューヨークを含む北米7都市

 

注目すべきことは、購入期間と出発日。メールから2週間という販売期間は平凡ですが、出発日は来年の4月から9月まで。つまり旅行は半年以上先から一年以上先に開始することになります。

 

秋の旅行シーズン、年末年始の休暇をスキップして、来年のGW、来年の夏のキャンペーンを打つなんて珍しいことです。日本市場は半年間、手の打ちようがないと諦め気分なのでしょうか。海外旅行が難しい期間が、ここまで続くとキャセイパシフィックは考えているようです。

 

どうやら平常のヨーロッパ内

一方でエーゲ航空のキャンペーン。ここは地域航空会社で、路線は欧州便だけと言って差し支えありません。-40%などと派手な数字を出して、販売促進を行うのはいつものこと。今回はテッサロニキ着発の直行航空券、接続航空券が対象になっています。

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テッサロニキは冬でも暖かいのが特徴。ただし海風がそこそこ強いので、散歩だとその恩恵は減殺されます。避寒ならティレニア海にある Procida の方が良いかもしれません。それはさておきキャンペーンの内容は、

 

購入期間:2021年9月22日まで

フライト日:2021年10月1日から2022年3月27日

 

このメールは 9月16日午後に発信されています。つまり購入期間は1週間。エーゲ航空は頻繁にキャンペーンを行うので、こうした短い販売期間はよく見られます。そして旅行日は冬季を完全カバーする10月から3月までと、普通のパターン。

 

つまりパンデミック前と何ら変わりはありません。ヨーロッパ域内の旅行は、相当なレベルで元通りになっているようです。

 

ヨーロッパ人が羨ましくなりました。

 

調子を戻した ANA 国内線

JALANA も売り込みやキャンペーンのお知らせは、パンデミック前の調子が戻っています。このANAのメールは9月16日夕方に発信されたものです。購入期間は9月17日17時までですから、1日だけ。

 

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配色とか、写真とか、言い回しやフォントの使い方とか、コストカット感がよく出ています。最近ではこういうメールがほとんど毎日届きます。

 

一昨年まで数多くのお笑いネタを提供してくれた ANA メール。COVID の影響を受け、しばらく大人しかったのですが、質も頻度も元に戻りました。しかしあまり笑う気が起きません。「普通は素晴らしい」という英語 ( 映画 Yesterday にも "At last, everything can go back to normal. Isn't normal wonderful?" とありましたね。) は、こういうことを言うのですね。

 

今夏の感染の波(第5波?)は終息が目前。多くの犠牲者が出ましたが、貴重な知見も得られました。「人流の増減と感染発生の増減は相関しない」です。感染予想は定量性が全く無いことは過去の実績から明らかですが、定性的な議論すらできないのでした。易学並みの精度しかない理論疫学を政策決定の参考にするのは、どうしたものでしょうね。「結局のところ疫学は恐怖を煽るだけの存在だ」という共通認識ができると困ったことになりませんか。

 いずれにしても、「感染拡大防止のため移動を避ける」は科学的には粗雑な発想です。感染を起こしそうな活動は監視して、国内旅行は元に戻す努力をするべきなのでしょう、

 

汎世界的キャンペーン

国境が消えた世界は SF にしか存在しません。しかしインターネットという舞台を得た国際ホテルチェーンの世界はまさにそれ。パンデミック下で際立ちます。世界中で同じキャンペーンが有効であり、世界中どこからどこへ発信しても同じ。設定項目はメッセージを運ぶ言語ぐらいですが、これすらも発信地、受信地に依存しません。

 

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アコーホテルから、あと 3月でポイントが全部なくなるぞという警告メール。9カ月間宿泊がないという非難のメールにも読めます。

 

アコーには宿泊のために旅行するという物件は少なく、目的へのアクセスが便利だとか、他に選択肢がない場合に重宝するホテルが多い気がします。日本国内でも、21世紀に入り物件が増えましたが、決して使い勝手は良くありません。国外へ行く機会が減ると、利用が減ります。

 

キャンペーンはポイント利用を促す内容。現状が続いた場合のポイント失効日から逆算して 2か月間、ポイントは 2倍で使えます。詳細が書いていませんが、アコーホテルの宿泊に限ると思います。

 

「年一度の宿泊で一生ポイントは有効」と付け足すことも忘れていません。普通に有料宿泊するのもありです。

 

海外旅行なのか、国内旅行なのか関係なし。国境管理も関係なし。顧客がどこにいても関係なし。世界的ホテルチェーンは、いろいろと超越した存在です。

 

ドイツ鉄道は意図しない効果

最後は何て事のない、しかも使う可能性が低いサービスの案内。もし利用することがあったとしてもそれは見通せない未来です。

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「旅行荷物先送り ― くつろいで到着」というドイツ鉄道のメール。内容は以下の通り。

 

「知ってますか。どうすれば全く手軽に旅行できるかを。スーツケースを先に送るのです。ご指定場所での収集は特に快適。Hermes ParketShopで預け入れもできます。」

 

日本だと宅配業者に頼みますか?平凡なサービスですし、宣伝文にこれと言ったポイントもありません。しかしそれがためにかえってドイツの鉄道旅行が恋しくなりました。Berlin-Schwerin 間のように、中距離(約200 km)なのに半日がかりというような不便な移動に惹かれます。

 意図したサービス紹介には効果がなく、旅の誘いという二次効果が肥大したメール。やはりまだまだ平常には遠い状態にあることを思い知らされます。