PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

スカイチームに関する2題

新年早々、静かな騒ぎを起こしているスカイチーム加盟会社です。スキャンダルではありません。2題とも未来に向けた確実な足場固めと言えます。

 

エールフランスと KLM はグリーン燃料割増費用を徴収

フランスを出発するフライトは、1%以上の SAF (Sustainable Avitation Fuel, carburant d'avitation durable, 持続可能な航空燃料) を混合することが義務付けられました。SAF は二酸化炭素排出を正味で80%減ずることができるものの、ケロシンの4倍から8倍の費用がかかります。この費用を客に負担させようという話です。

Air France-KLM instaure un supplément tarifaire pour financer les carburants verts | Les Echos

今年 1月10日(月)より、エールフランス、KLM、トランサヴィアフランスは搭乗客から追加燃料費を徴収しています。エールフランスとKLMのエコノミークラスで 1 から 4ユーロ、プレミアムエコノミーで 3 から 6ユーロ、ビジネスクラスで 1.5 から 12 ユーロ、ファーストクラスで 12 から 24 ユーロになります。トランサヴィアでは料金の中に直接含まれます。

 

これに加え 1月13日よりエールフランスは、ウェブサイトにて SAF 購入に貢献するよう顧客に依頼します。旅行で排出される炭素の影響を減じるためという能書きで募金を開始するわけです。また 2022年中にフライングブルーの会員は、マイルを使って SAF を(自宅の燃料にするのではなく、エールフランスが消費するために)買えるようになります。

Le prix des billets Air France-KLM va augmenter de 1 à 24 € - Déplacements Pros

 

個人的な考えですが、マイルを寄付に利用する時と同じ感覚で SAF を買うことになりそうです。ただ消費するのはエールフランスなので、基本的にこの会社が好きな会員向けのオプションです。

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フランスでは寄付は盛ん。フライングブルーはフランス人の性向に応え、寄付に熱心なFFP

 

昨年10月エールフランスは石油会社トータルと共に、SAFの比率を30%まで高めた燃料を使ってニースからオルリー空港までのフライト AF6235 を実現しています。象徴的な意味しかありませんが、会社の姿勢を示す上で前々から手は打っているということですね。

Air France, TotalEnergies, la Métropole Nice Côte d’Azur et l’Aéroport Nice Côte d’Azur réalisent un vol Nice-Paris alimenté avec 30% de carburant d’aviation durable (SAF) | Air France - Corporate

 

ITA 航空獲得に向けて交渉中のルフトハンザ

15%から40%の資本参加で交渉が進められているということです。

Lufthansa Group disposé à acquérir jusqu'à 40% d'ITA Airways | Air Journal

ルフトハンザはこの資本参加を通じて、ITA 航空をグループの下に統合する意向を持っています。オーストリア航空ブリュッセル航空、スイスと並んで ITA は営業することになりますね。

 

ルフトハンザグループは、スケジュール(=接続)調整、航空券販売、コードシェアなどの協力関係の他、航空機の購入、メインテナンス、フィウミチーノ空港拡大への対応においてシナジー効果を考えています。ITA 社長、Alfredo Altavilla はルフトハンザグループによる買収提案に大変関心を示していて、

「我々が独立していることは間違いになりそうだ。我々は三大航空グループ(IAG、Lufthansa、AF-KLMのこと)に比べ、小さ過ぎる規模にずっと留まるからだ。我々は賛美者が数多くいる可愛い未婚女。ルフトハンザがその賛美者の一人であることを期待している。」

とドイツのサイト Airliners.de で明言しています。ワンワールドの IAG も ITA への資本参加に関心を示しているということですし、こういうレトリックも的外れではありません。イタリア以外では下品に聞こえる、あるいはフェミニストに嚙みつかれる可能性がありますが...。

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ITA のサイト。かつてのアリタリアのサイトにそっくり。

この交渉はすんなりまとまるかもしれません。そうすると個人的には、スカイチームとの関係が気になります。資本参加と提携の程度によりますが、スターアライアンスへの加盟もあり得ます。それとは別に、イタリア式の交渉がどのぐらい効果があるか見ものです。