PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

技術の発達により、現代の客引きは三枚舌

区から3度目のワクチン接種の案内が届いたので、さっそく予約を完了しました。1回目と同様、サイトにアクセスすると予約で一杯ですが、2、3分探すと空きが見つかるという具合。空きだらけでもいろいろと問題があるので、この程度がおそらく一番良いのでしょう。

 

昨今の状況を考えると3度目の必要性は少々疑問がないわけでもありませんが、未来のことはわかりません。保険のような感じで接種します。

 

今日のテーマは、立場の違いで世界は全く異なって見える例です。

 

サービス上乗せ部分のサブスクリプション

このビジネスモデルを最初に考えた人は、偉いと思います。アメリカンエキスプレスが、本格展開したのでしょうか。

 

定額で一定期間か一定回数、サービスが使い放題というのがサブスクリプションの基本です。定期券、年間購読、音楽配信などいくらでも例があります。これはまとめ買いによる割引に過ぎません。習慣性ができるサービスなら売り上げ安定に貢献するものの、そうでないなら供給側の旨味は大きくありません。逆に損になる可能性もあります。

 そうではなくて、一見客と変わらない条件で基本サービスは販売し、上乗せできるサービスをサブスクリプションの対象にします。JGCSFC というシステムは、まさにこのタイプのサブスクリプションです。要はサブスクリプションしていると、サービスを利用した時に同金額支払った他客が受けられないサービスが付いてくるわけです。アメリカンエキスプレスの上位カードでは、これが大変充実しています。

 このシステムはサービス供給側にも美味しく、客が利用しなければサブスクリプション料金は(仲介者に手数料を払うものの)ほぼ丸儲け。客が支払いの元を取ろうと利用を増やせば、収益増大となります。客が良さを理解できても、追加料金を払う気になれないサービスをあれこれセットにして、サブスクリプションにするのが効果的です。

 これにより多種多様なサービスを維持できることのメリットは大きく、航空や宿泊など、サービスをセットで売る業界と相性の良いシステムです。彼らの供給するサービスを要素に分解すると、サブスクリプションのシステムでようやく維持している要素も多いだろうと思います。

 

注目したいのは、このサブスクリプションの仲介者の宣伝。サービス供給側には、今書いたようなモデルを説明すると思います。そしてサービスを受ける無数の顧客には、「特別扱い」を前面に出します。実際のところサブスクリプション代を払ってくれればそれだけでサービス供給者も仲介者も儲けられるので、「選ばれた方」とか、「限られた方」とか、全く根拠がない空虚な呼びかけで客を集めます。皆さんもよくご存じの通り、こうした宣伝文句には自信の無い客ほど財布の紐を緩めがちです。

 

仲介者は、一つのものを全く異なったイメージで紹介しています。売る時と買う時にモノの描写が変わるのは古くから商売の基本ですが、情報技術に基づくビジネスでは面白いぐらい極端に変わります。

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徒歩マイル

報道は少し前になりますが、面白いサービスだと思った方も多いと思います。

徒歩移動でもマイル貯まる「Miles」が日本で始動、JALが出資、健康や環境に配慮した移動にボーナス、パートナー企業の特典と交換|トラベルボイス(観光産業ニュース)

このビジネスモデルが Google Map と比べてどういう点で優れているのか、結局分かりませんでした。個々の客の位置情報のみならず、動いた軌跡や方法を解析して、ビジネスになる情報にどう再構成するのでしょうか。Google は個々の客との間に金銭のやり取りはありませんが、Miles は動いた距離をマイルで与えないといけません。それは客のデータを使って儲けるサービス供給者が払うわけです。Google より余計な支払いがあるので、Google Map とは本質的に良いモノを提供できるはずですが、それが何であるのか見えませんでした。

 

それはともかく、この仲介者は間違いなくサービス供給者と数多い顧客、そして出資者・協力者に全く異なる紹介をしているはずです。

 

個々の客は、支払なしに日常生活で「マイルがたまる」で魅了します。当然のことながら個人情報が多面的に利用されるリスクは目立たなくします。そしてサービス供給者には個人情報を多面的に利用できるメリットを語り、Google への広告出稿以上である立証ができないといけません。さらに出資者と協力団体には、人々を健康にする、エコに作り替えるなどという社会的意義を徹底的に強調しているようです。

 

二枚舌では甘く、三枚舌ぐらいでないと今日の起業家は勤まらない時代なのでした。

 

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