バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ドイツと日本:春の訪れ

 

出羽守のような表題で煽ります。

 

サクラ@Frühlingsäquinoktium

まず都心における開花の様子。東京へ花見に出かけようなんて漠然と考えている方は、参考にしてください。

 

今年の冬は十分寒かったのですが、東京は 3月になり気温が高い日が続き、桜の開花宣言は例年より早め(3月20日)でした。翌日は春分の日でしたが、どの程度咲いているのか、満開はいつ頃になるのか見極めるため、一時間ぐらい近所を歩きまわりました。

 

この公園は青山公園の一部のはず。場所にそぐわない中途半端な整備状況です。いつも人はほとんどおらず、桜は多くありません。

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一分咲かなと言うところ。地面は土や草なので、日当たりは良くても、気温は上がりにくいようです。次の週末でも五、六分では。一方で現在モクレンが満開。

 

柑橘類がまだ木になっています。

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観察するほどでもないので、さらに少し歩いてドイツ文化会館。

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満開ならば、さぞかし見事だろうという枝ぶり。ここはようやく開花した程度でした。見頃はきっと 3月終わりから4月の頭ですね。

 

しかし①南側に高い建物がなく、②地面が舗装されており、➂北側がコンクリートの建物だと輻射熱が大きいためか、花が開いています。東京ではこの条件がそろうとソメイヨシノが早く満開になるようです。

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この武家屋敷門は山脇学園が管理しています。前庭にも入れないので花見には不向きです。学校ですからね。翌日から寒い日が続くので、恐らく次の週末ぐらいから数日が見ごろ。

 

花見の定番

この季節になると、東京の酒屋にロゼワインが並びます。実はこのセールス、前世紀の終わり頃から行われています。すでに定着していると言ってよい日本特有の習慣。

 近年の流行は、花見をテーマにした特別キュベの醸造。Weingut Friedrich Becker は Pfalz の有力な醸造所です。ここのラベルはイソップの「狐と葡萄」をモチーフにしているのですが、今出ているロゼは写真の通り、葡萄の木が桜になっています。

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味わいからは Spätburgunder (pinot noir) が多いように感じられましたが、この色は Spätburgunder では無理でしょう。Portugieser とか Dornfelder、あるいは大胆に cabernet sauvignon などを色づけのためブレンドしていると思います。

 

彼らのサイトで説明を読むと、

Die Weinberge: Rund um Schweigen auf deutscher und elsässischer Seite auf
Sandsteinverwitterungs- und auf Kalkböden gewachsen.

とあります。そしてラベル表示は以下の通り。

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いつからアルザスはドイツになったのだと疑問は当然ですが、あまり深くは追及しません。畑が国境をまたいで広がっている場合の特例でしょう。このワインの力強さには、確かにアルザスのそれを感じます。

 

木に咲く花を愛でる習慣とソメイヨシノが世界に広まる一方、日本の花見の習慣も認知されるようになっています。そして花見に酒はつきもの。お祭り的な側面が強いとなると、ワイン業界はビジネスチャンスです。うまくいけば、国際的なヒット商品が出せますから。

 赤、白、発泡と比べると、ロゼワインは確固たるイメージを持ちません。春の花にロゼ(=桃色)という関連づけは、日本の文化では自然。醸造家にとってはありがたい発想だったのではないでしょうか。高名な醸造所も、こうして花見キュベを作るようになっているわけです。

 

個人的にも花見のような場には、有名畑の定番ワインより、醸造家が自由にイメージを膨らませて仕込むワインの方が似つかわしいように思います。

 

アスパラガス

日本の春を告げるのが花見なら、ドイツの春はアスパラガス。日本人旅行者にとって重要な点は、GW にアスパラガスのシーズンが盛りを迎えるという事実です。

 

白アスパラガスを心待ちにする習慣はドイツ全土に広く見られます。日本でいうと正月の雑煮のような一般性があります。

 ドイツ産の白アスパラガスは売られる時期が限られます。シーズンの開始はその年の気候によります。今年の出荷は4月半ばにずれ込むと予想する地方が多いようです。

Spargelzeit 2022: Erwarteter Beginn und Ende - eat.de

一方3月終わりにはできそうという地方も

Spargelsaison beginnt in diesem Jahr früh • Westfalen erleben

日本より気候が均一なドイツでも、収穫に2週間程度の差は出るようです。一方、シーズンの終わりは毎年固定していて、Der Johannistag の 6月24日。

 

ドイツは連邦共和国。各州の独自性が高いのです。元々異なる国であったため、基本的に言葉や文化も異なります。そんなところで共通して見られる習慣やプロダクトがあると、当然「何がベスト」と考えるコスモポリタンが出てきます。

 白アスパラガスもそういう目で見られるのは避けられません。

Spargelzeit: Hier finden ihr den besten Spargel in Deutschland

評価が高い土地は Potsdam 近郊の Beelitz、Halle 近郊の Kyhna、Ingolstadt 近郊のSchrobenhausen などですが、他にも評判が良い生産地は多く存在します。ただこういう評価は、日本でベストの雑煮を選ぶようなもので、大きな意味はありません。

 

IOC 会長のトーマス・バッハにこっそり聞いたら、Unterfranken のアスパラガスが世界一とこっそり答えるに違いありません。実際、この地方ではアスパラガスと Silvaner ワインが季節の定番になっています。
 彼の冗長な挨拶を偲びながら、彼の地元で味わうアスパラガスとワイン。なかなか趣がありそうです。Unterfranken の中心都市 Würzburg は、フランクフルト空港からのアクセスが良く、鉄道で1時間40分ぐらい。GW の目的地に相応しいではありませんか。

 

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このボトルを見たら、しばらく忘れていたトーマス・バッハを思い出したので、つい購入してしまいました。もう 2020 が出ているはずなのに、何年間店頭に置いてあったのでしょうか。