PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

パリーベルリン直通列車

 

仏独の首都間の直通列車。かつては存在したこともあるのでしょう。新しいのは高速鉄道(高速仕様の車両+一部の高規格路線)による直通という点。2023年末には実現したいという意向を SNCF は発表しています。

 

15周年記念

TGV と ICE の両国内への相互乗入れ開始から15年になる5月24日に、発表されました。DB 側でもアナウンスされています。

 

ちなみにパリーベルリンは7時間かかる予定です。

"On va tenter le coup" : un TGV reliera Paris à Berlin en sept heures à la fin de l'année 2023

 

現在、パリ東ーStrasbourg間の 450 km が1時間46分。直通列車が数多く運行されています。この区間はほとんど全線が高速仕様の路線であり、大変早い移動が可能です。

 Strasbourg からベルリンは 700 km あり、定期直通列車はないようです。乗換え時間を含めて、6時間10分ほどかかります。乗換ゼロになったとしても 5時間40分ぐらい。フランス国内の半分ぐらいの速度にしかなりません。

 ドイツも高速仕様の路線を地道に整備していますが、300 km/h 区間は金がかかるのか、230 km/h 区間だとか、280 km/h 区間だとかが多いのです。さらにベルリン-ドイツ南西部間の路線では、在来線区間がかなり残っています。自動車産業が元気で、鉄道事業に金が回らないのがドイツという理解で良いと思います。

 

ともかく来年末の開業で、想定される所要時間が7時間ということは、大規模な高規格新線の開通はない模様です。

 

航空機との比較

飛行機を使うと CDG-BER は1時間45分です。パリから空港まで所要時間60分+α、ベルリン中央駅から空港は30分かかります。したがって都市中心間の移動は 4時間では無理で、5時間だと急ぎの旅、6時間あれば余裕という感じになります。鉄道は7時間半~8時間ぐらいになりそうなので、時間の点からは空の移動が有利です。

 

こうした点から、両国首都間の直通高速列車の相互乗り入れは象徴的な意味合いが強い決定です。

 

お得情報も書きます

しかし状況はそれほど単純ではありません。ロシアの蛮行で(化石燃料供給が問題になり、)鉄道に千載一遇の機会が到来したと SNCF と DB の経営陣は考えているはずです。

 ドイツは 6月~ 8月の 3カ月間、連邦内の公共交通機関を1カ月間利用できる定期券を 9€で販売するという政策を打ち出しました。連邦内全域移動できる1カ月定期券がわずか 9€なんて、にわかには信じられません。

Allemagne : un ticket à 9 euros permettra de voyager en transports en commun dans tout le pays pendant un mois

自家用車の利用をできる限り抑えなくてならない状況だとはいえ、極めて大胆な政策です。しかもドイツ内の居住者でなくても購入できるようです。以下のビデオはニュルンベルクだと思われますが、自動販売機でも購入できます。

Ist das 9-Euro-Ticket wirtschaftlich? : Welche Kosten müssen Verkehrsbetriebe tragen?

 

ロシアの起こした戦争が化石燃料依存からの脱却を加速することは間違いなく、鉄道復活の引き金になるかもしれません。

 

勝手な要望を言わせてもらうなら、DB の関係者は Breitspurbahn の実現も視野に入れてほしいところです。さしあたって改善が必要なのは、定時性向上と細かい故障の排除という DB ですが、夢は大きく持って頂きたいものです。