PECHEDENFERのブログ

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パンデミックの間に提携拡大を進めたヴァージンオーストラリア

 

カンタスは世界的に見ても歴史の長い会社で、オーストラリアの空に長らく君臨していました。しかし今世紀に入り、その威光に陰りが見えるようになりました。LCC の台頭、アジア勢の頑張りに加えて、ヴァージングループの殴り込みが相当な揺さぶりをかけています。

 

2000年に Virgin Blue としてオーストラリアに就航、2011年に現行社名になったヴァージンオーストラリア(VA)ですが、2020年以降、提携拡大に邁進しています。

 印象に残ったニュースは ANA との包括提携。

全日空とヴァージン豪が包括提携、コードシェアで需要獲得 | 観光産業 最新情報 トラベルビジョン

これと前後して、VA は日本に就航する計画を発表しました。しかしパンデミックの影響で無期限延期なのか、立ち消えたのかその後の発表がありません。ANA の方でも提携会社として公にしていますし、コードシェアは行っていることになっています。

 

ヴァージン・オーストラリア(VA)|コードシェア便|ANA

 

しかし実際の運航は怪しげです。オーストラリア内の ANA ユーザーのラウンジ利用を調べてみると、SYD と PER だけで可能であり、しかも指定はニュージーランド航空のラウンジです。

 

VA は AMC 会員のマイルが貯まる提携会社になっていないことから、期待された包括提携は完全に棚上げ状態と考えるのが妥当なようです。

 

https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/flightmile/tk/

 

一方で VA に目を向けると、この2~3年、包括提携によって世界路線網を拡大中です。

 

2022年 9月 5日、VA とカタール航空との間で会員プログラムの相互乗入れが開始しました。

Guide to Virgin Australia & Qatar Airways partnership [2022] - Point Hacks

どちらの航空会社の利用でも、他方のマイルと会員資格のための搭乗実績が得られ、マイルの特典航空券への交換も可能であり、上級会員サービスも相互で共通化が図られます。つまり Velocity でも Privilege Club でも双方の会員として迎えられていることになります。航空連合内他社のような扱いです。積算率等の詳しい数字も発表されています。

 この提携開始に合わせて、カタール航空 Privilege Club では VA の利用で規定の2倍の Avios と Qpoints が得られるキャンペーンを開始しました。12月 6月までの予約と旅行が有効です。

もともと VA はエティハドと同様の提携を行っていました。言うまでもなくカタール航空はエティハドの競合会社。VA はなかなか複雑なことを行っています。エティハドに搭乗して、得られたマイル(Velocity では Points)と Status Credit を利用して、カタール航空の無料航空券でドーハのラウンジ利用も可能ですね。

 

振り返ると、パンデミックの最中 2021年 1月、VA はエアカナダと会員プログラムの相互乗り入れを開始しました。

Air Canada Aeroplan New Partner: Virgin Australia - LoyaltyLobby

Velocity Frequent Flyer | Air Canada

そして2022年 5月24日には、ユナイテッド航空とも同様な提携を開始しました。

Virgin Australia, United Airlines partnership takes to the sky - Executive Traveller

United Airlines

 

久しく以前からエティハド航空に加え、ハワイアン航空シンガポール航空と提携していましたが、2020年以降の攻めの姿勢はちょっと異質。

 

Velocity に提携する全航空会社は下記サイトに列記されています。

Velocity Frequent Flyer Partners | Earn and Redeem Points | Velocity Frequent Flyer

こちらのサイトでは、残念ながら ANA の名前は見つかりません。

 

さらに VA は他社の会員の引き抜きを行うべく、大規模なステータスマッチ(実際はアメリカでいうところのステータスチャレンジ)を始めています。

ヴァージンオーストラリアの Velocity でステータスマッチ - バス代わりの飛行機

対象となる会員プログラムをつぶさに確認すると、上記の提携各社を除き、オーストラリアに来そうな客が使う航空会社が網羅されています。VA-カタールおよび VA-エティハドとカンガルールートで競合するカンタスエミレーツ連合は、当然2社とも会員引き抜きのターゲットとなっています。BA の会員と同様にステータスマッチは歓迎されるでしょう。

 

こういう勢いがある会社は、気持ちが良いものです。ANA との提携が現実になるのは時間の問題でしょう。そうなると日本でも Velocity がもう少し身近になるかもしれません。