日本にもファンが多いフィンエア AY の本拠地はヘルシンキ。空港は Vantaa という自治体にあります。
ワンワールドに加盟している AY ですが、この航空連合で Vantaa 空港に就航する会社は、AY の他には
だけです。ロシア上空が通行できた時代、北東アジア~東南アジアの都市に Vantaa は最も近い欧州の空港でした。そのため欧州の有力なハブとして機能しました。しかしこのエリアから就航している会社は、AY とジョイントベンチャーを行う JAL 以外には四川航空ぐらいです。ほとんど AY のための空港であり、世界的にはあまり人気がないという理解で問題なさそうです。
ただし AY の頑張りは目を見張ります。AY はファーストクラスを運用しておらず、Vantaa に就航する BA, JL, QR にもファーストクラスの設定がないにもかかわらず、この空港でファーストクラス利用客を対象とするラウンジ(ワンワールドによるラウンジの説明)を運営しています。
もちろんワンワールドのエメラルド会員は、ファーストクラスラウンジ利用を特典として享受します。したがって AY は彼らの利用を想定することになります。ラウンジの名称はプラチナウイングとして、「ファーストクラス」という表現は避けています。
場所は Schengen 外のフライトが発着する一角(出国審査を通過しないとアクセスできない一角)にあります。ターミナル 2 の 52 ゲート近くです。
ビジネスクラスラウンジと営業は一体化しており、入口係員は共通。効率を図ります。
利用者の多くは JAL と AY の搭乗客のようです。ワンワールドのサイトでもこの2社だけ特記しています。ただし BA もゲート 52 を使うことが多いようなので、BA の客も使えるはずです。
受付ホールには AY で利用されている食器や Champagne が並べてありました。ショーケースの中にあるので、勝手に持ち出すことはできません。
各ラウンジへは、自動改札によるゲートがあります。
プラチナウイングに入室すると目に入るのはバーカウンターです。一人で回せるぐらいの規模です。
バーカウンターの向こう側に4人掛けテーブル席が3つあります。
インテリアに金がかかっているようには見えませんが、JAL のファーストクラスラウンジのようにあからさまな安物ではありません。
入口から見てバーカウンターの右手奥がダイニング。間を埋めるように着席する区画が設置されています。
空港ラウンジは食い気でギラギラしている人が多く、ここも例外ではありません。
ダイニングは給仕がサービスしますが、前菜はビュフェスタイル。ANA のスイートラウンジと同じ発想です。
トナカイバーガーという言葉が目についたので、それを頼んでみました。説明を読むとトナカイ肉と牛肉の合挽のようです。
エゾ鹿のように増えすぎて計画的に駆除しているのだろうと勝手に想像。個性的な味というわけではありませんでした。ソフトなジビエを狙っているのでしょう。
ワインもまずまずのセレクションで、これは Joseph Drouhin の Montagny。
ダイニングエリアはテーブルが8ぐらい、同時に着席できるのは20人強といった規模。壁際にはソファーが並んだ着席エリアがあります。これは8客だったように記憶しています。
ダイニングエリアの奥には、また別の趣のサロンがあります。
いろいろな空間が用意されていて、それぞれがこぢんまりとしています。とても良い構成を持つラウンジだと思いました。問題はソフト。客は場所を選ばず食べまくる一方で、従業員の数は少なすぎ。どの空間もテーブルの多くは、食べ散らかした跡がそのまま放置されています。
ここでは、従業員に声をかけて片づけさせるのが正しいやり方でした。彼らは客から要望があったら優先的に対応します。
バーカウンターを挟んだラウンジの外れは、トイレとシャワー。シャワーは3室用意されています。タッチパネルを操作して、自動予約するシステムでした。
中規模のラウンジですが、インテリアが変化に富んでおり、居心地は上々。バーカウンター近くを陣取れば、他人の食べ散らかしと出会う可能性は低くなります。
欧州のマイナー都市に行く時に、ヘルシンキ経由を選択する動機になるラウンジだと思いました。
JAL は効率最優先の客が多いと考えているのか、日本便と AY 運航のコードシェア便との接続時間に余裕がありません。MCT 35 分を売りにしたいようです。この運航スケジュールはラウンジ利用に不利。それどころか時にはターミナル内を全力疾走しなくてはならないなんて、顧客に対する仕打ちはあんまりではないかと。
数が多いダイヤモンド会員、JGCプレミア会員のプラチナウイング利用を阻止して、経費圧縮しようと考えているのでしょうか。