PECHEDENFERのブログ

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米国では owエメラルドレベルの会員資格は 200万円/年の時代

 

デルタ航空スカイマイル MQD 改悪

COVID 騒ぎで会員の利用実績と受けられる優待とのバランスは、会員側に甘いものとなりました。運航が元に戻りそうな今、デルタ航空が上級会員資格の基準を厳しくしました。振り子の戻りだと勘ぐる方も多いことでしょう。しかし世界的な物価上昇のあおりだという気がします。

 

デルタ航空は上級会員資格(メダリオン)基準のうち、航空券支払金額 (MQD) の部分を値上げします。2023年の達成分=2024年の会員資格分からです。

Delta enhances benefits for SkyMiles Medallion members, updates select Medallion thresholds | Delta News Hub

 

シルバーメダリオン会員   3,000 USD (  3,000 USD)

ゴールドメダリオン会員   8,000 USD (  6,000 USD)

プラチナメダリオン会員    12,000 USD (  9,000 USD)

ダイヤモンドメダリオン会員  20,000 USD (15,000 USD)

 

(    ) 内は2022年達成分=2023年会員資格分の数値です。これらの金額基準に加えて以下のとおり、有効搭乗距離 (MQM) または有効搭乗区間数 (MQS) を満たす必要があります。MQM と MQS には変更ありません。

 

シルバーメダリオン会員   25,000 マイル または 30 区間

ゴールドメダリオン会員   50,000 マイル または 60 区間

プラチナメダリオン会員   75,000 マイル または 90 区間

ダイヤモンドメダリオン会員  125,000 マイル または  120 区間

 

いわゆる諸費用は MQD に算入されません。スカイチームエリートプラスであるゴールドメダリオンで 1万ドル、その上のプラチナメダリオンで 1万5千ドル程度が航空券購入にかかる年間支払い額になるでしょう。

 

なお提携クレジットカードの年間利用額が下記金額を超えると、MQD は免除されます。

 

シルバー、ゴールド、プラチナメダリオン会員   25,000 USD

ダイヤモンドメダリオン会員            250,000 USD

 

 

一年前にアメリカン航空の出した数字

ほぼ 1年前に、アメリカン航空がアドバンテージの会員資格を支払金額制に変えました。これは LP の導入によりなされました。LP は搭乗により得られる特典マイル (会員レベルで異なる係数を支払金額に乗じた数値) と同じとしたのです。

アメリカン航空はクレカ利用だけで上級会員に(その 1) - バス代わりの飛行機

各会員基準を再掲すると、

 

ゴールド会員      30,000 LP (  4,286 USD)

プラチナ会員      75,000 LP (  9,375 USD)

プラチナpro会員    125,000 LP (13,889 USD)

executiveプラチナ会員   200,000 LP (18,182 USD)

 

(    ) 内は、会員保持の場合の年間航空券購入支払金額です。LP には諸税や空港使用料は算入されません。

 提携クレジットカードの支払いも 1 USD = 1 マイル= 1 LP、キャンペーンによってはそれ以上になるので、額面通り払うことはないとしても、だいたいプラチナpro会員で 1万5千ドルコースです。

 

算入される支払いがあれば、搭乗実績の種類を問わないこと、提携クレジットカードの支払いが少額から比例して算入されることから、MQD と LP が同じなら、アメリカン航空の基準の方が到達しやすいはずです。しかし大雑把に言って、

 

ワンワールドサファイアスカイチームエリートプラスレベルで 10,000 ドル

ワンワールドエメラルドレベルで 15,000 ドル

 

が年間の航空券購入の水準になります。米国における上級会員資格維持に関わる費用はかなり上昇しました。

 

 

上級会員になりやすい国

JALANAワンワールドエメラルドレベルの会員資格は、共にダイヤモンド会員となります。その達成、維持に必要な費用は話題になりますが、今後は COVID 期のキャンペーンを当てにせず、2019年以前を振り返ってみなければなりません。FOP単価 も PP単価も10円だと高め。無理しないで国内線中心に FOP、PP を獲得するなら、8円が基準だったのではないでしょうか。すると、ダイヤモンド会員になるためには年間 80万円ほど必要になります。これは、米国の相当する会員レベルの 4割の出費です。

 日本のブリティッシュエアウエイズの会員が、あまり変なことを考えずに安くティアポイント獲得に励むと TP 単価は 300円が普通。これを元に TP 積算を考え、BA 4搭乗にかかる費用を加えると、1,500 TP獲得には 60万円が目安になります。これで晴れてゴールド会員 (owエメラルド会員)。これは米国の水準の 3割になります。

 欧州で AF-KLM のフライングブルーでプラチナ会員を継続するためには、年間 300 xp が必要ですが、60 xp となる欧州内ビジネスクラス乗継往復が、フライトの種類、価格の手ごろさ (500 EUR前後) から目安となります。年間 5往復必要で、かかる費用は 2,500 EUR=35万円となり、米国の相当する会員レベルの 2割未満。

 欧州で BA を利用すると、600 EUR ぐらいでビジネスクラス乗継往復があります。ただしゴールド会員の継続のためには 9往復+α の搭乗が必要で、80万円ぐらい必要となることでしょう。

 

ここ数年の改革の結果、米国のプログラムでは上級会員制に金がかかり過ぎるようになりました。米国と日欧とのギャップはかなり深刻です。ただし米国在住者が日欧のプログラムを利用しても、上級会員制度はそれほど楽なものではありません。このギャップから米国の会員が逃げ出し、他国のプログラムを歪める可能性は今のところ高くなさそうです。