バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

EU域内発着のフライトを利用する者の権利

旅客は知っておく必要があります。ただし法的な内容については、このサイトでは一切責任を取ることはできません。これはご了承の上でお読みください。

 

特徴

このブログは欧州の事柄を取り上げることが多いのですが、このテーマは初めてのはず。知る人には当然の事実ですが、存在自体を知らず、余計な出費をする方が多い気がします。

 

EUには飛行機の遅延や運航中止に対して、航空旅行者を手厚く保護する規制があります。EU域内に本拠地を持つ会社が運航、EU域内の空港を着発する便が対象となります。飛行距離と遅延時間で分類され、航空会社は照会に応じて制度を案内する必要があるので、単純かつ強力な規制です。

 

もちろん旅客側が行動をとらないと、何も起きません。まずは EU261/2004 という規制のコードを覚えておくとよいと思います。もちろん会社としては保障金は払いたくないはずですが、渋るとまずいことはわかっています。このコードを出せば、担当者は自分自身のためにも機械的に手続きを進めざる得なくなります。

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内容

例えば以下のページに解説があります。

Know your Rights | The EC Regulation 261/2004 protects you

EU 261 - ClaimCompass

実際に補償を要求する場合を考え、英語のサイトを紹介しておきます。キーワードを拾ってください。航空券や旅客の条件は、以下のとおりです。

 

EU内に本部を持つ航空会社のEU内空港を出発またはEU内空港に到着する便が対象。

・有効で予約が確認された航空券が対象。

LCC、子供の航空券、団体割引航空券、ツアーの航空券、特典無料航空券も対象。

・一般旅客には使用されていない特殊な航空券や搭乗法は対象外。

・運航中止の場合を除いて、出発予定時刻45分前にチェックインを行っていない場合は対象外。

 

空港には遅刻したけれど、「フライトの出発も遅れてラッキー。おまけに遅延し過ぎで補償金までもらえる!」とはなりません。こういう場合は、乗せてもらえるだけで感謝すべき場面です。

 こういう場合を除き、たいてい有効となる規制です。上の条件をすべて満たし、

 

・3時間以上の到着遅延が起きた場合

・出発日から14日を切って、フライトのキャンセルの通知があった場合

・予約便がオーバーブッキングで、搭乗を拒否された場合

 

などに補償を受けられます。航空券の購入価格は一切関係しません。補償金は、

 

・フライト距離が 1,500 km までの場合、250 €

・フライト距離が 1,500 km ~ 3,500 km の場合、400 €

・フライト距離が 3,500 km を超える場合、600 €

 

となっています。

 

これ以外に2時間以上出発が遅れたら、簡単なスナックと飲料を提供することが航空会社に義務付けられています。レガシーキャリアなら、会社が独自に行うサービスもあります。これらは上記の補償金とは別扱いです。

 

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実際

空港では、全体のインフォメーションや航空会社の有人カウンターに「航空旅客の権利について」のパンフレットが置いてあるはずです。FlightStats等で、自分のフライトが3時間以上遅れたことを確認できたら、こうした航空会社の窓口で事情を説明し、パンフレットを受け取るとよいと思います。

 理路整然と話せば、対応はスムーズに済むはず。どこかでよく見かける旅客のようにカッカして、窓口で怒鳴り散らすのが一番愚かなこと。平然と機械的に話をしましょう。

 窓口では案内はしても、補償金の対応はしません。よほど小さな会社でない限り、インターネットのサイトで手続きするはずです。航空会社のカウンターで、サイトについても尋ねるとよいと思います。手続きには、証拠書類は必要ないと思います。付けるとしても搭乗券(かその半券)のコピーぐらいしか用意できません。

 インターネットに用意がない場合は、郵送で手続きを行うことになるでしょう。

 

一般消費者向けとはいえ、法的な手続きには違いないので、慎重に事を進める必要があります。常に論拠として EU261 というコードを示すことが重要です。呪文みたいなものです。

 

この規制に敏感になるべきは、LCCの利用客だと思います。LCCは規則にうるさく、搭乗客が少しでも制限を超えると機械的に料金が発生します。これは商売のやり方であり、それに納得して利用するのは当たり前です。しかしながら旅客は、航空会社に課される規制についても同様に厳しくなるべきでしょう。様々な「余計なもの」を削って限界で行うビジネス。限界を越えた場合、それ相応の補償を行わなくてはならないのは当然です。それが公正な競争環境を生むことにつながります。

CDG エキスプレス・CDG のアクセス

凡庸な空港アクセス

パリの玄関、Charles-de-Gaulle 空港。現在の市内のアクセスは、近郊鉄道(RER)、バス、タクシーなどです。道路も鉄路も空港のごく周囲にしか専用線がないため、市内からの距離の割には時間がかかります。

 

世界の大きな空港では、高規格の鉄道線とか、専用線が着々と整備されています。LHRのHeathrow Express、KULのKL Expresなどにその例を見ることができます。フランス第二の空港 LYS でも Rhônexpress の専用線が長々と敷かれています。

 CDGのアクセスが極めて凡庸であることの意味を理解するために、次の事実を指摘しておかないといけません。

 

・CDGは欧州でもっとも広い敷地を持つ空港です。

・CDGはLHRに次いで、欧州で2番目に旅客が多い空港です。

・CDGはフランスのGDPの1.7%を産み出しています。

http://www.leparisien.fr/espace-premium/val-d-oise-95/l-aeroport-de-roissy-dope-l-economie-16-02-2012-1863210.php

・欧州各地への接続を可能にする CDG の TGV駅は25年前に開業しています。

 

国家の威信がかかる事柄、特に土木・文化の分野では、しっかり投資するフランスとしては、市内アクセス整備の遅れは見逃せないはずです。

 

専用列車の計画

もちろん手をこまねいていたわけではありません。鉄道の敷設計画は以前から存在します。その名は CDG Express。

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https://cdgexpress.groupeadp.fr/index.html

周辺住民、納税者、空港関係者向けのサイトらしく、事業の概略、事業の意義、事業計画、予算などがかなり詳しく述べられています。

 

全てを専用に建設するわけではありません。空港周辺を専用に建設する予定です。RER B線、そしてM17線に接続して、パリ市内の終点は東駅です。地上施設は 3種類という感じですが、恐らく空港からノンストップで東駅に到着という運航になるでしょう。

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M17線は2024年までに整備、運転を開始する予定で、こちらはパリの地下鉄・バス・トラム・RERの運営を行う Île-de-France Mobilités と RATP の計画。そのためなのか、CDG Express の運用開始も2024年とされています。パリでは2024年のオリンピックに合わせて、周辺の地下鉄、RER線、バス路線、トラム等を大規模に整備する計画が進行しており、その計画の影響を受けています。

 

もちろん素人目にも過剰投資に見えます。M17という新線を一つ敷く以外にCDG Express専用線を整備するわけですから。当然料金は並行する空港アクセスより高くなるはずで、「車庫行きの線路上を走る」などと言われているようです。

Le CDG Express s’oriente vers un retard olympique

そこで地域の行政側からは盛んに攻勢があります。Île-de-France の 行政のトップ(Presidenté)、Valérie Pécresse氏も国家に工事を急ぐようにお願いしているようです。

 

国の総意のレベルで、「Heathrow Expressがあるのに、CDG Expressがない」ということは、少し引っかかるかもしれません。その辺にもプッシュする余地があります。

 

結局実現するでしょうか。CDG Express。

 

現在と近未来の空港アクセス

さてCDGの空港アクセスは、2024年のパリ交通網整備の影響をすでに受けています。Île-de-France Mobilités はあちこちで工事を始めましたが、バス路線の再構築も行いつつあります。

 CDGアクセス関係では、東駅まで運航していた 350番のバスが Porte de la Chapelle で運転打ち切りになりました。合わせてPorte d'Orléans — 東駅 — 北駅という運航をしていた38番のバスは、Porte de la Chapelle まで運転を延伸しています。つまり路線バスで市内中心部に出たいなら、Porte de la Chapelleで乗換えが必要になってしまいました。同じような役回りの351番は以前からNationまででしたが、350番はそれより不便になりました。

RATP350番のバスとCDG - バス代わりの飛行機

RATP351番のバスとCDG - バス代わりの飛行機

これらを使って移動する航空旅行者は多くないと思いますが、個人的には大変残念な変更でした。

 

日本からの旅客は、RER B線を利用する場合が多いようです。これは危ないという評判が定着しています。個人的には何度か利用したことがありますが、特に変わったことはなく普通の路線でした。多くの人の意見が知りたい場合は、

RER B train in evenings - Paris Forum - TripAdvisor (英語)

などのフォーラムを参考にするとよいと思います。RER B線が危ないなら、350や351のバスもたぶん危ないはずです。

 

やはり安全なのは、料金がやや高くなる LE BUS DIRECTでしょう。

Le Bus Direct : The best way between Paris and its airports (英語)

 

これより高頻度、低料金のRoissybusは、パリ市内の発着地(Opéra Garnier, Rue Scribe ー オペラ座、スクリーブ通り)に難があります。難点というのは、旅行者でごった返す関係でスリが多そうな事。これも旅のフォーラムに格好の話題を提供します。

Roissybus Pickpockets - Paris Forum - TripAdvisor (英語)

オペラ座周辺は、意外に道が分かりにくいことも不慣れな旅行者には障害になります。

 

タクシーなどの利用では、高速道路が渋滞、ノロノロ運転している時や停車している時に、強盗被害に会うケースが時々紹介されます。窓ガラスを割って、車内のカバン等をひったくるという手口。当局が警戒に当たるのは難しいでしょうから、強盗は仕事がしやすい状況です。

 

空港アクセスで総合的に状況を考える必要があるのは、旅行者には面倒な話です。インフラ整備を行うなら、防犯、セキュリティもしっかり検討して欲しいものです。

マレーシア航空のセール

運賃を下げずに頑張っていた日本発のマレーシア航空。やはり航空券が売れないのか、セールを始めました。

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予約期間:5月10日から5月31日まで

旅行期間:5月13日から7月31日まで、8月14日から9月30日まで

 

旅行期間は8月前半の夏のピークを除いた夏期全部。セールと言っていますが、事実上の夏期運賃の発表です。

 今時ブランド化に成功しても、楽な商売ではありません。うまくやっているのは、せいぜいカタール航空ぐらいのもの。やはり妥当な価格で地道に売るしかないようです。

 

メールに示されていたのは、下記の運賃。旅程はすべて往復です。

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東京、大阪からマレーシア航空を利用して渡航する大部分の都市に関して、設定があります。

詳しくは

Deals

をご覧ください。

 

ビジネスクラス往復だと、関空からシンガポールはまずまずの安さです。その代わりクアラルンプール行は何故か高価格。大阪から東京に出てから飛んだ方が安上がりになりそうです。なお東京からオセアニアの諸都市へは201,000円です。

 戦略的な価格設定は、ロンドン往復。ビジネスクラスが270,000円で、ビジネススイートが288,800円。もしロンドンに行く機会があるなら、後者は狙い目かなと感じました。

 

リストラがうまくいっておらず、経営状態がよろしくないことが伝えられるマレーシア航空。ナショナルフラッグキャリアであることから、突然倒産、運航停止、航空券が紙切れという事態はないと思いますが、元気がないのは気になります。かと言って航空運賃が上がっても気に入らないし、客はわがままです。

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GWまとめ

GWはまだ少し残っていますが、報告をまとめます。

 

始まりはパリ

Charles-de-Gaulle空港。こんな状態でも管制できるのですね。この空港は朝早くからやっていますし、平原が広がる場所なので、霧の中の管制は慣れているはずです。

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La Tour de Contrôle

パリは世界有数の観光都市のはずですが、様々な顔を持っています。特に日本のGWの頃は、よく新聞記事の舞台になります。

 防弾着とフルヘルメットで装備した警官だらけの写真とか、

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話題の黄ベストの一団が、凱旋門前でスモークに見え隠れしているとか、

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パリらしいおしゃれな光景ですね。メーデー(5月1日)が過ぎても1945年の終戦記念日(5月8日)があるということで、しばらく活動の名分ができた黄ベスト。

 

今年のメーデーは度を越して激しくやった方々が一部にいたらしく、催涙ガスまで登場。一段と派手になりました。

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催涙ガスに耐えられなくて、Jean-Martin Charcot ゆかりの病院(l'hôpital de la Pitié-Salpêtrière)に逃れようとした一群がいたのですが、それを「黄ベストが病院を襲撃中」と報道したトンでもない記者が現れました。その報道は3日持ちませんでした。こういうのは、内乱を起す意図があったと看做される可能性があり、虚報では済みません。

 

この季節は警察だけではなく、CRS(共和国治安機動隊)にも活躍の場が提供されます。

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映画のシーンみたいですが、脚色はないはずです。当局も「ちょっと、やりすぎじゃないの」みたいなことも起きます。

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まさに手に汗を握る展開。ハリウッド映画顔負けのスリリングな気分になれる街なのでした。

 

少し真面目な事も言うと、この季節、パリは注意が必要な渡航ですが、一般には危険性が認識されていないようです。しかし外務省のサイトでは注意喚起されていました。海外安全ホームページは、バランスよく情報を取り上げてあると感心しました。

 

一方で世界を相手に商売を行う連中は、騒乱が進行中でも、しっかり英語で広告を発信します。商売に不都合な一般報道は無視するのが、彼らの原理、原則。「だって関係ないじゃん」みたいな。

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知らんぷりして宣伝。その潔さに感動すら覚えます。催涙ガスで散り散りになる労働者を見物できるなんて、素敵なホテルですねなんて、皮肉を言ってはいけません。ましては外国人だからって馬鹿にしてなんて、卑屈な発想をしがちな人はこの街では騙されないようご注意。

 

今年のメーデーには、当局の発表で16万4千5百人、労働一般連合(CGT)の発表で31万人が参加したとのことです。国全体の数字です。

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Pechedenferは、幸い現場には出会わずじまいでした。下手すると負傷したり、一時勾留されたりしますから、そういうことが起きそうな場所はなるべく回避。

 

この季節は警官や軍の配置が丁寧なので、テロリストも活動しにくいでしょう。現実には、安心して御買い物も楽しむことができます。フランスならではの買い物といえば、フランス語の出版物。

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たまには勉強しないといけません。

 

少しだけBA

Marks & Spencer が提供する欧州路線エコノミークラス(Euro Traveller)の有料機内食。すっかり定着したようですが、5月のメニューにはイングランド産ワインがありました。

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醸造技術の進歩から生産を「再開」、軌道に乗りつつあることは知っていましたが、ついに機内でも体験する日が来たとは嬉しい驚き。Bacchusはドイツで生まれた品種ですが、本拠地のものより酸が際立っていました。

 面白かったのは裏面。

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警告文の部分です。

 日本では警告文は「健康のため、飲み過ぎに注意」ぐらいになるでしょう。フランスではほぼ定型文になっていて、"L'abus d'alcool est dangereux à la santé. À consommer avec modération.(アルコールの濫用は健康を危険にさらします。節度を持って消費を。)”となります。明確に表現していますが、警告の意図は日本の感覚に似ています。

 ところがイギリスでは、”Know your limits.(己の限界を知れ。)"でした。広場で吐いたり、道端で寝込んでしまったり、暴力を振るったり、キスをしまくったりしないよう飲み過ぎを諭すような感じです。ベクトルの向きが違います。お国柄ですね。

 その他100周年を記念してマーマイトも機内販売する

British Airways - BRITISH AIRWAYS SPREADS ITS WINGS WITH LIMITED EDITION MARMITE

と一週間ぐらい前から言っていましたが、確かにそれらしきものを売っていました。

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この酒粕(?)が無いと朝食にならないという人も多いはずです。食文化という文脈では、納豆に近いという理解でよろしゅうございましょうか。

 

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B747のようです

 

ANAがらみで

日本のパスポートの所有者なら、リスボンの空港は電子審査出入国できます。写真ページと顔の読み取りです。貴重なパスポートのページは消費されないし、すばやいし、大変便利。

 

そのリスボン空港には ANAラウンジがあります。

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びっくりします。ANAは就航していないはず。それなのに…というのは当然の疑問。これは他人の空似でした。全く関係がない模様。A3, LX, TK, SN の搭乗客も対象となっていたので、ANAのダイヤモンドサービス会員証、プラチナサービス会員証、スーパーフライヤーズラウンジカードなどを提示すれば入室可能なのでしょう。遠い異国でも日本の霊感に見守られ、感無量…なはずはありませんね。

 

さてこの会社をどう呼ぶか、仔細なことが大真面目に議論されますが、「ANA」については GW 中に神託が下されました。発音記号をご覧下さい。

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英語の標準としては、権威中の権威 Oxford 辞書チームの言うことです。「ANA」が英語なら、無視するわけにもいきますまい。もっとも本人たちは、語法、文法、つづりであの調子なので、発音なんて考える余裕はないと思います。

 

リスボンは「七つの丘」の都市です。丘の斜面では風がやや強く、巨大な国旗が悠然とはためいていました。

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そして反対側を見上げると、TAP Air Portugal がギアダウンを行っています。首都空港へのアプローチ。飛行機の撮影が好きな方には、格好のスポットだなんて思ってしまいました。

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終わりもパリ

素人ながら、少しはパリっぽい写真も撮らないといけないと思い、ペアの男女のシルエットを。

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Charles-de-Gaulle空港でもパリ。

BAバーガー

機内食やラウンジ食は、意外にも B級グルメが席捲しています。日本で人気があるのは、カレー、うどん、ラーメン、そば、にぎり寿司、牛丼など。すべて庶民の味、日本食におけるファストフードです。航空会社はキャビンやラウンジに非日常的な高級感があるような売り込み方をする一方で、こういうファストフードを改装やプロモーションの目玉にします。冷静に考えると、やっていることがちぐはぐです。

 

これは日本に限ったことではなく、キャセイパシフィックだって、ヌードルバーを売りにしています。そこで供される麺類や点心は、どう見ても B級 グルメ。

 

英米系のサービスでこれに匹敵するものを探すとなると、やはりハンバーガーでしょう。お高く留まったラウンジは数あれど、その代表格、ブリティッシュエアウェイズ The Concorde Room にもそんなメニューがあります。

 

その名はBA Burger。午後の軽食メニューです。

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Aberdeen Angus Beef のステーキは、BAのファーストクラスの定番メニューだと思いますが、同じブランド牛のひき肉を使ったハンバーガーということで、ストーリー性があります。BAバーガーの BA は、British Aberdeen Angus Beef の略には苦しいので、素直に British Airways なのでしょう。

 

頼むと、こんな感じで運んで来てくれます。給仕に何でも頼むのがこのラウンジのやり方。

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Chips がついています。下敷きの紙がハンバーガーぽさを演出します。

 

この牛特有の香りと言うか、クセが生きており、面白い風味です。香りが強い Cheddar Cheese がはさんである「チーズ*バーガー」ですが、それに負けない強い牛肉です。

*: チーズとベーコンはオプション。どうせだったらゴタゴタしたものを挿んだ方が B級グルメらしくて良くありませんか。

 

このラウンジを使う機会があれば、ハンバーガー好きでない方も話の種に是非。Shiraz などと一緒に頼むと、「普段はハンバーガーをあまり食べないのだけれど...」感が演出できて良いかもしれません。

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なお LHR の The Concorde Room、最近は安定して入室管理を徹底しているようです。そのため概ね空いています。受付ではじかれる人(北米便の利用者がほとんどのようです)がやたらと多いラウンジです。

 

5月7日追記

重要な事がわかったので、書き加えます。hato さんが北の国にお戻りになる際、LHR 空港の Terminal 5 の Galleries First Lounge をご利用になったところ、BAバーガーがあったそうです。

https://twitter.com/kukkurr/status/1125372050347110402

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せっかく日本に滞在する貴重な休暇に、バス代わりの飛行機など読んでいる場合ではないだろうと思うのですが、記事がご旅行の参考になったのは幸運でした。その後、この記事の紹介までして頂き、感謝の念に堪えません。

https://twitter.com/kukkurr/status/1125442991064256512

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The Concorde Room と Galleries First Lounge (South) は隣接した施設で、前者の利用客は外を経由せずに二つの施設を往来できます。ここでのポイントは、厨房が共通していること。提供側からすれば、少しだけ変えた料理を出すなんてコスト高は避けたいはずで、出来るだけ同じものを出すはずです。

 

それでは2つのラウンジで、どういう差がつけられているのか気になる所。hatoさんの見事な写真からうかがう限り、Galleries First Lounge では、容器が簡単なものになっています。バンズは少しひねってあるような感じですが、これはこの個体の問題なのかもしれません。他は同じでしょう。

 運用は異なってもおかしくありません。例えば Galleries First Lounge では注文ができないのかもしれません。もしそうなら、私だけのために作るか否かが重要な差になりますが、人によってはチーズ抜き、ベーコン抜きが用意されないことに目が向くかもしれません。

 

その程度の差しか思い当たらないので、同じBAバーガーだと思います。Galleries First Lounge だと、oneworld エメラルド会員で Terminal 5 から出発する場合に利用できます。BAバーガーは格段に身近になります。これは朗報。

 

調べていないのでわかりませんが同じ Terminal 5 でも、Galleries North Loungeや、サテライトでは提供していないかもしれません。BAバーガーが目的なら、南ラウンジを目指した方が良いと思います。少なくとも Terminal 3 の Galleris First Lounge では BAバーガーは見当たりませんでした。

 

BAのゴールド会員を維持するためには、BAの4搭乗/年が必要。London Heathrow を訪れる人は多いのですが、BAバーガーは一つの楽しみになりそうです。日本発で JALラウンジのビーフカレー、ロンドン発では BA バーガーと、日英B級グルメ巡り。共同事業の新たな目玉ですね。*

 

*JALカレーの騒がれ方を考えると、冗談にならない気がしてきました。

パリ

史上最長のGW。日本出国も史上最難関となると、にわかに血が騒ぐもの。何としてでも外に出てやるみたいな動機で動くことに。目的地は二の次。それではろくな旅行はできそうにありませんが、実際たどり着く先は、こんなところになりました。

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この通り、パリで一番幅が狭いことで知られます。パリ聖母教会の近所にあります。

 

その大聖堂ですが、façadeはほとんど影響を受けていないようです。

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被害が甚大だったのは、中央部の天井(nef は日本語で何というのですか?これまで必要がなかったため、この種の日本語は全くわかりません)。大きな部分が焼け落ちてしまったようです。それから la flèche(同?)。先端にあった girouette(風見鶏)が瓦礫から見つかったのは、ビッグニュースでした。

http://www.leparisien.fr/faits-divers/incendie-de-notre-dame-le-coq-de-la-fleche-de-notre-dame-a-ete-retrouve-dans-les-decombres-16-04-2019-8054835.php

Bruno Guglielminetti on Twitter: "Incendie Notre-Dame : Le ministère de la Culture annonce que le coq de la flèche de la cathédrale a été retrouvé... https://t.co/ywejQb923G… https://t.co/axjEWzLVNS"

 

 

Emmanuel Macron は火災の直後、5年で修復すると宣言し、国民から嘲笑されました。その社会現象を受け、専門家への取材を行い、嘲笑の根拠を確固たるものとする Le Monde。

www.lemonde.fr

わかりきった回答が得られるに決まっていますが、政権を正しく追い詰めるのはメディアの仕事。嘲笑されるのは政治家よりメディアである日本と異なり、概ね健全です。言葉狩りと揚げ足取りに終始、悪いことは何でも政権に関連付けようと躍起、虚報を乱発するだけの存在に見えるので、身から出た錆。自業自得のマスコミ。

 

中央部に目下、足組みを製作中。本格的な調査を開始するためでしょう。

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パリのツーリストにとって重要なポイントは、

・この教会に手を触れることはできません。(そこまで近寄れません。)

シテ島の南東側が自動車通行止めになっています。

 

例えばパリ市役所から聖母教会へ向うと、Pont d'Arcole から先が閉鎖されています。歩行者は通れます。

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この写真の撮影地点で180度回転して市役所の方角を向くと、Gendarmerie(憲兵隊)の車が通りに横付けされているのが見えるはずです。写真はご法度なので撮影してません。

フランス旅行で気をつける法律 - バス代わりの飛行機

 

一帯が歩行者天国になっていると前向きに考えることも可能です。しかし、パリ市 Wifi が調子よくつながったこの公園も閉鎖されており、散歩道が増えたと喜ぶわけにはいかないでしょう。

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Anne Hidalgo が出てくるわけではありませんが、市役所前も観察しました。ここも聖母教会一色。

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パリ聖母教会はパリ市の至宝であり、シンボルの一つです。この地にとっての大きな存在。この地域性に注意が必要です。パリが重要だから、世界中で火災が大きく騒がれるわけです。この教会への賛辞を書く時は、世界遺産への登録内容も再確認した方が良いと思います。

 

個人的には聖堂内部で司祭のお話を拝聴したことがあります。今と同じ季節でした。そのため現状が気になっていました。

 せっかく「近くまで来たので」確認しない理由はありません。


パリは用が無いのに来ると、何となく冴えない都市です。PALのプレイヤーが故障したので、新品を買うとか、塩を切らしているので入手するとか、フランスならではの御買い物もできますが、別にパリである必要はありません。

 

もっともパリは世界中どこからでも便があり、着いたら着いたで動きやすく、便利なのは確か。この辺はロンドンと同じ。後悔することはありません。

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Navigo に Zone 1~5、1週間乗り放題のチャージをすると、Roissybus で空港ーパリ中心部を往復するだけで元が取れ、バス、地下鉄、トラム、近郊電車が乗り放題とすこぶる便利。車で動くと運転手はガラが悪いし、都市の空気はわからないしと、あまり好きな移動法ではありません。なおタクシー空港アクセスは、定額制になっています。CDGからは、パリ右岸が50€、左岸が55€です。

 

連休中にCDGではなく、Orly空港を使う場合、アクセスに気をつける必要があります。5月1~4日、RER の B 線は Bourg-la-Reine と Massy-Palaiseau 間で運休。Orly 南 ー Orly西 ー Antony(RER B線接続駅)を結ぶ Orlyval も運休です。

Paris Aéroport on Twitter: "Du 1er au 4 mai, en raison de travaux sur la ligne #RERB, le trafic sera interrompu entre Bourg-La-Reine et Massy-Palaiseau. Le service #Orlyval sera également indisponible. Vos alternatives pour rejoindre/quitter Paris-#Orly : https://t.co/fucIJhjPSU"

空港ターミナル間の移動とパリ市内への移動に影響があります。

 

そういえば騎馬警察が増えていました。Delanoë 前市長のおかげで犬の糞が消えたパリですが、馬の糞は野放しに見えます。そもそも取り締まる側が排出しているので、規制も何もありません。踏みつけると被害が甚大なのは犬も馬も同じなので、注意が必要です。もしBerluti で作らせた靴を履いているなら、なるべく車の後部座席で移動しましょう。予期せぬ通行止や渋滞に巻き込まれて、イライラするのは覚悟の上で。

 一方、道を歩くなら動物の糞以外にも、宗教・政治・物乞い関係者が待ち構え、声をかけられる事になります。金があろうが無かろうが、目的地に着くまで障害物競走の気分になれる都市。これぞ変わらぬパリの良さです。

平成に起きたこと

平成は1989年1月8日から2019年4月30日まで。30年間にも渡る時代となり、後世の歴史学者、歴史愛好家には結構な分量の出来事を残したはずです。一つの時代の終焉に臨み、当ブログも retrospective な記事を書かないわけにはいきません。もちろん航空旅行に関することだけを取り上げます。個人の印象が基礎になるため、偏向が著しいはずです。また前もって準備したわけではないので、見落としもあり、後から付記するかもしれません。

 

空港整備

関西国際空港が平成6年に開港。工事は1987年(昭和62年)に開始、地盤沈下が激しくて竣工が遅れました。今でも沈降中だったはず。「世界初の人工島空港」、「日本初の完全24時間運用」と関係者を鼓舞する要素が多かったのか、膨大な借入金を残したことはよく知られるところ。その帰結が空港運用権売却ですが、これも日本初ではなかったでしょうか。こうして振り返るとこの空港、かなりユニークな存在であることが分かります。

 

羽田空港の拡張と再国際化。平成時代を通じて大胆に行われました。この空港は、現A滑走路が完成したばかりの状態で平成元年を迎えました。古く小さなターミナルビルは蒲田側にあり、交差する滑走路が沖合い方向に広がるような配置でした。そして中華空港をのぞいて、国内線専用の空港。高速湾岸線も無く、モノレールの終着駅に蒲田への路線バスが足。

 その後の整備はご存知の通り。平成5年に竣工したビッグバードJALANAが半分ずつ使っていたのも遠い昔。平成16年には第2ターミナルが完成し、ANAは引っ越します。新しい国際線ターミナルも平成22年に完成、供用開始。ユニークな構造を持つD滑走路の供用開始も平成22年。平成元年1月当時とは全く異なる空港になってしまいました。

 

新千歳空港の新ターミナルビル竣工が平成元年。JR地下駅も同時に整備され、-10℃の外気に曝される連絡橋を延々歩いて駅まで移動することはなくなりました。

 この空港は、現在でも航空自衛隊が使う軍民共用の千歳飛行場から民航部分を隣に移す事業でした。空港自体は前年の1988年(昭和63年)に開港しています。事実上、平成の歴史と共にある空港です。

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Flughafen München "Franz Josef Strauß"が平成4年に開港。手狭になったRiem空港を置き換える形で整備されました。成田空港建設の混乱を教訓にして、用地買収に時間をかけたとされますが、工事自体は1980年(昭和55年)に開始しています。

 

Aéroport Paris Charles-de-Gaulleのターミナル整備は平成を通じて行われました。平成が開始した時、この空港のターミナルはTerminal 1(昭和49年竣工)と Terminal 2A, 2B(昭和57年竣工)だけでした。その後 Terminal 2 は、2D(平成元年)、2C(平成5年)、2F(平成10年)、2E(平成15年)、S3(Hall L, 平成19年)、2E拡大(平成20年)、2G(平成20年)、S4(Hall M, 平成24年)と次第に拡張されます。Terminal 3 も平成 3年供用開始。巨大化の足取りがたどれる平成時代でした。

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航空会社の盛衰

世界一周路線を誇ったPAN AMが破綻、平成3年に消滅します。1973年(昭和48年)の石油ショック以来調子が悪かったのですが、Donald Reagan(昭和56年1月~平成元年1月)による航空自由化が祟ったとされます。

 

当然の結果と言うべきか、空の自由化は LCCの台頭を促します。平成29年の旅客数の世界ランキングでは、AA, DL に続いて Southwest Airlines が 3位、UA をはさんで Ryanair が 5位に入ります。何と欧州一の会社はLCC になってしまいました。

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またレガシーキャリア、フルサービスキャリアと呼ばれる従来型航空会社でも新勢力の台頭が目覚しい時代でした。これは飛行旅客キロのランキングを見ると良いと思いますが、現在のベスト10は AA, DL, UA, EK, WN, CZ, LH, BA, FR, MUとなっています。赤は新興勢力青はLCCです。中国の会社が2社が入っていますが、欧米の航空会社には中東の会社の方が「目の上のたんこぶ」であるのはご存知のとおり。Emirates (EK)の創業は昭和60年2匹目のどじょうを狙ったQatar Airwaysは平成5年、懲りずに3匹目を狙う Etihad は平成18年の創業です。

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長距離路線でビジネスモデルを描ききれず、破綻も起きやすいLCC、投資の無理がたたり、息切れ感が出てきた Etihad 航空を見ていると、平成の盛衰劇は一段落しつつあるようです。

 

旅客の囲い込み

JALマイレージバンクANAマイレージクラブの発足は平成7 ~8年頃。欧州で代表的なMiles & Moreの発足は平成5年です。Flying Blueは平成17年と遅いのですが、前身の Fréquence Plus も JMB や AMC と同時期には出来ていました。日欧の航空会社にとって、平成時代はマイレージプログラム整備の時代でした。

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JALマイレージプログラムを既存のGlobal Clubと融合させました

 

航空連合の形成によってマイレージプログラムは、利用者への魅力を増します。Star Alliance が平成9年oneworld が平成11年SkyTeam が平成12年と、3大航空連合の成立は、マイレージプログラムにとって発足の次の重大なステップになりました。

 

IT技術の発達も無視できない発展をもたらしました。今では社会の様々なサービスと広く提携することにより、単なる顧客囲い込みだけではなく、決済手段にもなってきています。航空会社は、マイレージプログラム自体で収益を上げる構造を作り上げています。換金は出来ないため、資産にはなりませんが、マイルの存在感は確実に肥大した時代でした。

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この記事を書いて、一つ気づいたことがあります。当ブログは平成最後の5年間に存在しましたが、題材はほとんど全て平成時代に発生、発達したものです。つまり平成元年の時点では、影も形もないことばかり書いています。世の変化は速く、それに着いていけない老人が現役世代とコミュニケーション困難なわけが良くわかりました。