バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

バスに近い国際線:ロンドン-パリ便

さて欧州の場合、LCC利用が一般的になってきているとは言え、着陸料や税金がそれなりにかかるLHR, CDG, FRAなどの巨大空港には、あまり就航していません。都市から離れた不便な空港を使うことがLCCの常套手段です。

 

そもそも高頻度で運行するような2都市間には、ナショナルフラッグキャリアのハブとなる大空港があったりします。欧州2大都市、London-Paris間のLCCは、EasyJetのLGW-CDG間とLTN-CDG間の各2便だけです。LCCはバスの代わりにはなりません。

 

レガシーキャリアが頑張っているわけです。London-Paris間では、ブリティッシュエアウェイズ(BA)とエールフランス(AF)が競っています。が、実は最強の競争相手は高速鉄道ユーロスターではないでしょうか。BAもAFも、地上の競争相手を意識した緻密な工夫を行っていると感じられます。

 

BAはLHRから、ORYとCDGに結構な数の便を就航させています。8月のLHR-ORY間は、

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です。まず便名はBA33xで統一され、xが偶数ならLHR→ORY、奇数ならORY→LHRなので覚えやすいダイヤです。LHR発は、BA332とBA334の間が、ORY発はBA333とBA335の間が、それぞれ6時間空いていますが、それ以外はまずまずの頻度です。この空き時間に1本づつ入って5本/日となれば完璧です。一方CDG便は、

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と一日6便もあります。便名は300番台の若い番号が使われ、偶数がLHR→CDG、奇数がCDG→LHRとこれもわかりやすくできています。頻度は十分です。後一本遅いのがあっても良いかもしれません。

 

LHRはLondon市内からのアクセスが良い巨大国際空港で、BAのハブであると同時にoneworld最大のハブです。一方ORYはParisに近く小ぶり、CDGは遠く巨大という特徴があります。大まかに言って、ORYは国内便と近距離欧州便、CDGは長距離国際便とそれに接続する重要な欧州便・国内便が就航しています。BAのCDG便は、世界中からParisへの旅行者を運ぶためのもので、LHRでのトランジットというストーリーが見えます。一方、ORY便は英仏在住の人たちのためでしょう。ORY→LHRの朝の2便はParisの住民向け、最終目的地はLondonも可、その他の世界中の都市も可。午後の便はフランス各地からORYまで飛んできた人を、夜の便は仕事を終えたParis市民(あるいはParis出張のイギリス人)をLondonへ運ぶ需要が大きそうです。

 

BAの専用ターミナルT5は非常に評判が良く、BA利用への追い風となっています。

 

エールフランスは、LCY-ORY間に就航しています。(正確にはCityJetがAF便として運行。)LCYはテムズ川の脇にあり、もっともLondon中心部に近いけれど、設備が貧弱な空港です。(例えば滑走路は1,500 mしかありません。)この路線は2都市をつなぐことが目的で、London-Paris間の旅客がターゲットとなります。ORYからのAFグループ各社への乗継ぎも問題ないでしょうが...。そのLCY-ORY間は

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となっています。AF310xのシリーズでは、奇数がLCY→ORY、偶数がORY→LCYで、毎日運行されるようですが、AF3160, AF3161およびAF3164, AF3165は、普通平日だけの便です。すべてFokker 50で運行されます。50人乗り、総エコノミークラスのプロペラ機です。機材からも特殊性がうかがえますが、本数は十分で、シャトル便にふさわしいと思います。

(London-Parisとは関係ありませんが、BA1便はLCY-SNN間に運航されます。機材は32人乗り、総クラブワールドのA318です。LCYはいろいろと「特殊感」が強い空港です。)

 

一方CDG便は、

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と一日8便もあります。ここでも便名がパターン化していて、AF1x81がLHR→CDG、AF1x80がCDG→LHRです。1日8便もあれば頻度としては十分で、CDGの使いにくさを打ち消すほどのメリットがあります。AFの意気込みが感じれます。

 

なおLHRでのターミナルはT4。スカイチーム用のターミナルで、力が入った共通ラウンジがあります。AFも抜け目がありません。以前SkyTeamが宣伝に使っていたビデオがYoutubeに生き残っているので、貼り付けておきます。Pam Annという英語圏では有名なコメディエンヌを起用しています。https://www.youtube.com/watch?v=PqXoiNn7nY8

 

AFはLHR-ORY便を運行していません。ORYに対してはやや特殊なLCYを当てがい、国内外のトランジット客もParisiensも、一般客はすべてCDGで処理しようと考えているようです。またAFのCDG便は全て、あの巨大なTerminal 2Eの出発・到着です。AFの長距離便との接続も考えています。

BAは、CDGではoneworld各社との接続が良いTerminal 2Aを使っています。JLはAFと緊密な提携があるため2Eを使います。またQRは加盟前から利用しているTerminal 1(Star Allianceが集中しつつあるターミナル)から移動していません。

 

BAとAFの戦略には少し違いが見られるものの、London-Paris間はバスのような感覚で利用できそうです。さらにLHRとCDGでのターミナルの配置から明らかなように、トランジットの利便性が重要視されている点は特筆すべきで、高速鉄道に対する大きなアドバンテージになります。BAとAFのinnovativeでレベルの高い競争には、LCCに対するレガシーキャリアの風格の違いのようなものを感じます。

 

余談ですが、ORYでもCDGでもAFの機内誌、Air France Magazineが制限区域内に大量に積まれており、自由に持って行けます。この雑誌は視覚的に訴えるので、ぺらぺらめくって時間をつぶすのには最高の出来なのですが、BAの機内でこの雑誌を出すのは抵抗があります。