PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

マイレージのフェアトレード

これはBritish Airways Executive ClubのSilver会員、GOLD会員向けの「耳より話」として紹介すべきだったかもしれません。今時こんなことがあるのかと少し驚きました。

 

他社のFFPでのマイル購入と同様、Executive Clubでもavios購入が可能です。一暦年で27,000 aviosまで購入できます。一度に多くのaviosを購入するほど価格が下がり、最低で2.85416666... セント/aviosです。

 

ここにA氏というExecutive ClubのSilver会員がいたとします。A氏はビジネスクラスでの出張とヨーロッパ個人旅行の予定を友人に話したところ、Executive Clubに入っておくよう勧められたので入会しました。二つの旅行を済ませると、Silver会員になっていました。友人には特典もいろいろ教えてもらいました。aviosを貯めると、タダで航空券に変えられることも知りました。

 さて年末にヨーロッパを再訪したいA氏、47,500 avios足りません。幸いaviosは購入可能です。一暦年で27,000 aviosまでしか購入できないことから、自分で27,000 avios購入、後輩をExecutive Clubに入会させ、21,000 avios購入させました。もちろん代金や手数料は自分持ちです。avios代金は$768+$603で、円換算後は143,269円でした。しかし、人のマイルを移行するには手数料がかかります。$230(24,035円)でした。

 

会社の業績が順調だったので、今年はボーナスがたくさん出そうです。旅心に火がついてしまったA氏、何を思ったのか南米へ出かけようと思い立ち、Rio de Janeiro旅行を計画します。特典航空券でのヨーロッパは次の夏にでも実施すればよいでしょう。さすがに南米に無料航空券で行くにはaviosが足りないので、American航空(AA)のサイトで購入します。ビジネスはお高いのですが、エコノミーは意外と安いので驚くA氏。

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12月31日帰国で選んでみます。

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行きはLAX, MIA経由、帰りはJFK, ORD経由を選択しました。

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これは最低価格の選択になり、143,000円で済みます。A氏はaviosがどれだけたまるか早速計算しました。往復で47,536 aviosでした。

 

ここでA氏、すぐに気が付き、後輩を巻き込み先日購入したaviosの合計金額を再確認してみます。

27,000 avios + 21,000 avios= 48,000 avios:143,269円+24,035円(手数料)

 

それに対して今回の航空券代金は、

年末のNRT-GIG往復の航空券+47,536 avios:143,000円

です。なんと先日のavios購入代金をRio de Janeiroの航空券へ回していたら、ほとんど同じaviosも無料で手に入ったのでした。avios購入では手数料もかかっていて、大失敗した気分のA氏です。

 

喩え話風に書きましたが、からくりは全くありません。すべて今日調べた値段です。NRT-GIG間のサーチャージ や税金(61,670円)が入っていませんが、aviosを無料航空券に変えても、ほとんどの場合サーチャージと税金がかかるので無視して比較する方が公平でしょう。

 

金額と購入したサービスの比較をすると、本当はタダのaviosを1000ドル以上で売っているのか、NRT-GIG間の輸送の対価はゼロなのかのどちらです。oneworld上級会員はタダでも乗ってくれるとうれしいのかと皮肉でも言いたくなります。

 

実はA氏がAAのFFP上級会員(AAdvantage Executive Platinum会員)だったとしてもほぼ同様の現象が起きます。得られるマイル数は同じである一方、AAdvantageでの48,000 milesの購入代金は$1,320です。(年間60,000 milesまで購入可。)

 

ちなみに47,536 aviosという「オマケ」ですが、2,464 avios加えれば、東京からHelsinkiやLos Angelesまでのビジネスクラス片道またはエコノミー往復の航空券に替えることができます。東京‐香港なら片道ビジネス+片道ファーストで往復できます。143,000円の航空券のオマケにしては強力過ぎませんか?

SPGアメックスを持っていれば、スターウッドのホテルに1泊して、宿泊料にホテルサービスを合わせて6万円ちょっと使えば、2,500この程度のポイントになります。

 

上級会員への特典を強調するためによく宣伝されたマイル・ボーナス。最近あちこちで起きているFFPの改定ですっかりナリをひそめましたが、まだ残っていたのですね。

 

こういうことは、マイル制度が巨大化したためにできた「穴」に近いもので、こういう弱点はどんどん利用するのが賢い消費者なのかもしれません。しかし今の時代、フェアトレードの観点から、何となく気持ちが悪いのは私だけでしょうか。