BA の Avios が支払金額制になると現在と比べてどのように違いが出るか、一番身近なHND-LHR の往復(BA8, BA7)で調べてみました。
最安値のエコノミークラス。12月11日発12月26日戻りで、税抜176,800円(総額207,390円)という航空券がありました。預入手荷物なしという最低限のエコノミークラスです。往復共に予約クラス O。現在の獲得できる Avios は、
Blue 会員:3,112
Bronze 会員:6,224
Silver 会員:9,334
Gold 会員:15,556
先の記事の通り1: 2: 3: 5 になっています。176,800円は 977 GBP。10月18日以降の獲得 Avios は、
Blue 会員:5,862
Bronze 会員:6,839
Silver 会員:7,816
Gold 会員:8,793
です。Blue 会員は+88%と大幅に改善。Bronze 会員でやや改善、Silver と Gold 会員は改悪。特に Gold 会員は -44%。
同じ日程でビジネスクラス/Club World を利用すると、やはり周辺日より価格は低く、税抜582,800円(総額633,090円)という航空券がありました。往復共に予約クラス R。この場合に獲得できる現在の Avios は、
Blue 会員:18,666
Bronze 会員:21,778
Silver 会員:24,888
Gold 会員:31,110
1.000: 1.167: 1.333: 1.667 になります。なおこれは金額制の換算レート (6: 7: 8: 9) に極めて近いものです。582,800円は 3,207 GBP。10月18日以降は
Blue 会員:19,242
Bronze 会員:22,449
Silver 会員:25,656
Gold 会員:28,863
となります。Blue と Bronze 会員はやや改善。Silver と Gold 会員は改悪。Gold 会員は -7%。
ファーストクラスもこれらの便が周辺日より価格は抑えられます。税抜841,800円(総額892,090円)という航空券がありました。往復共に予約クラス A。現在の獲得できる Avios は、
Blue 会員:31,110
Bronze 会員:34,222
Silver 会員:37,332
Gold 会員:43,554
1.0: 1.1: 1.2: 1.4 になります。841,800円は 4,628 GBP。10月18日以降は
Blue 会員:27,768
Bronze 会員:32,396
Silver 会員:37,024
Gold 会員:41,652
となります。全会員レベルで改悪ですが、改悪幅は小さく、Blue -11%、Bronze -5%、Silver -1%、Gold -4%です。
この路線で計算した限りでは、支払金額制の導入により
・会員ティアに伴うボーナス Avios は大幅カット
・最格安エコノミーの場合、Blue 会員は大幅改善
・ビジネス、ファーストの格安航空券には影響小
・上位キャビンのフルフェアでは改善
となりそうです。
最格安エコノミーばかり買う Gold 会員には大きなダメージがありますが、Blue、Bronze 会員の場合やビジネスクラス以上のキャビンの場合は、気にするほどの変化はありません。
プログラムの魅力は喪失
Gold 会員は最格安エコノミーで獲得できる Avios が非常に大きく、顧客プログラムのスイートスポットでした。これはシステマティックかつ広範に起きたので、エグゼクティブクラブを選ぶ理由となっていました。ここに手が入れられることになり、プログラムの魅力が大幅に減じました。
それに加えて特典航空券に必要な Avios は、他社比で少ないわけではありません。日本在住なら日本―欧州間の航空券への関心が高いのですが、LHR 経由ビジネス/クラブで片道 110,000 Avios 必要です。日欧間をパリ経由ビジネスクラスで移動する特典航空券に必要な AF フライングブルーの 70,000 マイル(最小値)より5割以上多いのです。しかも(少なくとも COVID以降、)BA の特典航空券はほとんどとれず、AF の最小マイルによる特典の方が取りやすい状況が続いています。さらに AF の場合、700,000 マイル出せばほとんどいつでも特典航空券が用意されています。
日欧間の特典航空券獲得を目的とする場合、BA と AF のプログラムを比較すると、
・Avios/マイルを獲得するレートは、平会員以外の会員で AF 有利
・特典航空券に交換する Avios/マイルは AF有利
・特典航空券の供給量は AF有利
という状態となっています。こうなってくるとエグゼクティブクラブをフライングブルーに優先して使う理由は見つけにくくなります。
またクレジットカードやホテルプログラムのポイントを移行する場合も、レートが同じならエグゼクティブクラブよりフライングブルーが有利となりましょう。
バランスを変えるだけ
重要なことは、個人の利用パターンが今後どうなるかです。私の場合、現在の状況が続くならエグゼクティブクラブの利用を避けることになりそうです。ワンワールドエメラルド会員資格はありますが、結局ファーストクラスラウンジの利用以外に特典が意識される機会はほとんどありません。価値を過大に評価することもありますまい。
幸いなことに JAL、MH、QF 等、よく利用するワンワールド加盟会社は、フライングブルーでもマイル加算されます。そのため今までと同じフライトを
「エグゼクティブクラブではなく、フライングブルーに」
は特別なことではありません。
エグゼクティブクラブに限らず、世界的に航空会社の顧客プログラムはつまらなくなる一方。趣味でいろいろ調べることも、少なくなるというものです。ブログも書きにくい時代になりました。