SkyTeam についてはすでに書いたのですが、どうしてもSkyTeamという人は少ないでしょう。欧州旅行を繰り返す方はこだわりが強そうですが、時々全マイレージプログラム(FFP)を並べて検討することは必要だと思います。網羅することは不可能ですが、それでも記事が長くなったので4分割します。最後の記事が結論です。
日本と欧州を結ぶ航空会社を航空連合別に列記すると、
Star Alliance:ANA (NH), Austrian (OS), Lufthansa (LH), SAS (SK), Swiss International (LX)
oneworld:British Airways (BA), Finnair (AY), JAL (JL)
SkyTeam:Aeroflot (SU), Air France (AF), Alitalia (AZ), KLM (KL)
となります。欧州に出かける場合、まずこれらの航空会社が候補に挙がります。
欧州は遠いので、対象運賃だったらマイルもガッポリ加算されます。しかし
FFPx航空会社x予約クラス
の組合せにより加算マイルは異なります。さらにマイルを特典無料航空券に替える時に必要とされるマイルも、
FFPx行先xキャビンクラス
で異なります。可能な組合せを網羅、比較することは入力の問題のなので、不可能ではありません。しかしこうしてデータベースを作っても、最終的に選ぶのは個人であり、ベストの解は時々の条件にも依存するので、探すのが大変でしょう。
FFPの特徴や会社の方針から考えて、得な組合せがわかることもあります。包括的に分析してデータベースを作るより、顧客の立場から有利になる「線や点」を集めるだけでも、FFPとの付き合い方が見えてくるのではないかと思い、組合せを絞りました。
・Star Allianceでは上記の全航空会社の搭乗と、エーゲ航空FFPのMiles+Bonusを
・oneworldでは航空会社とFFPを対応させ、BA-Executive ClubとJAL-JMBを
・SkyTeamでは上記全ての航空会社の搭乗と、SkyMiles, Flying Blueを
対象にしました。 これらに加え、
・ANA-AMCの組合せとAZ-MilleMigliaの組合せ
も加えます。見る人が見るとこの時点で、得な組合せと引き立て役の組合せが見抜けそうです。
会員レベルは一般会員と上級会員(Star Alliance Gold, oneworld Sapphire, SkyTeam Elite Plus)を考えます。獲得マイルにボーナスが存在するためです。日系ではSFCとJGCの普通会員(35%マイルボーナス)で計算しました。最も会員数が多いと予想したからです。同様にラウンジに無料招待される最低レベル
Executive ClubはSilver(BA便で100%~50%)
SkyMilesはGold Medallion(60%)
Flying BlueはGold(75%)
MilleMigliaはFreccia Alata(50%)
を対象とします。
基本的な数字の算出に当たって、搭乗は片道6,000 milesの往復を基本とし、特典航空券は通常時の日本ー欧州便、日本ー東南アジア便への交換を考えます。FFPはアナウンスがあった将来の変更を含んだ制度に基づきます。
以下でエコノミーもビジネスも格安料金の予約クラスを意味します。普通買うのはそういうチケットばかりなので。また最低1年に1回程度は、ヨーロッパに行くことを想定しています。
ピンポイントで有利な組合せもあるし、線や面で有利な組合せもあります。
エコノミークラスによく乗る旅行者の場合
旅行者の90%以上が該当すると思います。片道6,000 milesのエコノミー往復を何回FFPのアカウントに加算したら、同じ区間のエコノミー特典無料航空券が得られるか計算してみました。
断然、BAの搭乗をExecutive Clubに加算するのが有利です。
Executive Clubでは、BAの搭乗(とAAの搭乗)は100 %の加算になります。上級会員ボーナスは100%です。マイルに期限がありません。この3点に関しては、3大連合航空会社のFFP中でベストでしょう。そしてこの3点はマイルを貯めることに関する、ほぼ全てです。
東京―ヘルシンキのエコノミーの特典無料往復航空券に必要なマイルは、50,000 milesで、これもおそらくベスト。東京ーその他の欧州では60,000 milesです。これは日系の55,000 miles(夏休みや暮れ正月には、ANAは65,000 miles)に次ぎますが、エコノミー搭乗時に加算されるマイルの方は、日系の会社では30%程度です。
もし、LHR経由で欧州の一都市に 行ったとすると、片道14,444 miles加算されます。これを4回繰り返すと、57,776 milesです。JALの国内線クラスJを何回か利用するか、航空券を買った時のクレジットカードのポイント合わせれば、60,000 milesを超えます。「4回乗れば1回タダ」です。
上級会員はこの2倍のマイル加算なので、「2回乗れば1回タダ」になります。BAではアメックスのスカイトラベラーも使えますから、本当にマイルと航空券購入ポイントだけで達成できてしまいます。
今時、旅行業界で「2回で1回タダ」なんてキャンペーン以外にはありえません。
マイルを利用するところまで考えると、Executive Clubに入会してBAを利用するのが、日本ー欧州の旅行で最も安上がりになるでしょう。BAは高いイメージがありますが、今年の HND-LHR便の(キャンペーンを除く)底値は81,000円だったそうです。
365日以内にJALのクラスJで国内線6往復半、BAでLHR経由欧州一都市往復を行うと、Executive ClubではSilver会員になり、マイルボーナス100%となります。
このパターンは、無理がありません。
さらに宣伝すると、JAL国内線の往復無料航空券引換えに必要なExecutive Clubのマイルは、9,000 milesです。(片道650 milesまで。東京からだと北海道、四国、島嶼部を除く九州を網羅。つまり札幌でも鹿児島でもOK。)JMBより還元率が高く、一般会員でも2回の欧州旅行で3回国内旅行が可能となります。Silver会員だと1回の欧州旅行に3回の国内旅行がオマケで付いてくるのでした。航空券料金を比較するとお金が2倍の価値になりそうです。
Executive Clubは、無料航空券の片道発券も可能です。
その他に興味を引きそう組合せは、LH, SKの搭乗をMiles+Bonusに加算することですが、少し距離を延して試算したところ、うまみは見つかりませんでした。
次に、エコノミーに搭乗して、欧州便のビジネス特典無料航空券に替える場合を考えます。航空券購入代金のクレジットカードのポイントを転換すると、Executive ClubとBA搭乗の組合せは、
一般会員で「エコノミー7回の搭乗で、ビジネス1回」
上級会員で「エコノミー4回の搭乗で、ビジネス1回」
になります。これもかなりの還元率で、他のFFP+航空会社の組合せでは追いつきません。
多くのFFPでビジネス特典航空券に必要なマイル数は、エコノミーの倍に設定されるようになりました。JALも来年の改定で110,000 miles必要となります。BAの優位は揺るぎません。