2015年からDelta Airlines(DL)のマイレージプログラムSkyMilesでは、航空券の購入金額からマイルを計算します。「金を払う客は良い客」というネオ顧客主義へ舵を切ったわけです。今後、獲得マイルは航空券購入時の支払金として充当されるという噂もあり、そうなるとSkyMilesはSkyBucksに改名した方が良いと思います。
機内で出しているStarbucksと紛らわしくなりますが...。
この改革は評判が悪いでしょうが、実は諸刃の剣です。SkyMilesの価値も「客観的に」評価されてしまうのです。
この記事と次の記事で、そういうことをやってみます。
方法は簡単。DLの搭乗で得られるマイルをSkyMilesに積算した場合と、提携他社のFFPに積算した場合、どちらがより多くのマイルが得られるか判定するだけです。
もちろん無料航空券交換に必要なマイルも問題ですが、SkyMilesはSkyTeam内のチャンピオンといってよいマイル数を要求します。したがって稼ぐ方が少ないなら、SkyMilesは文句なしに効率の悪いFFPです。
SkyMilesの比較の相手には、Flying Blueを選びました。最初に結論を並べます。
・相場感のある価格の航空券では、Flying Blueへの加算が有利です。つまり大部分の路線ではFlying Blue有利です。
・人気路線(NRT-HNLなど)や短距離の格安エコノミーでは、SkyMilesが有利になることもあります。
・競争の無さそうなビジネスクラスでは、航空券価格が高く、SkyMiles加算が有利なこともあります。
・NRT-GIGなど、距離の割には低価格なエコノミーだと、Flying Blueが1.8倍~2倍有利になることもあります。
DLは大規模なデータ分析を行い、先進的な改革を行ったとされます。しかし「マイル単価」の上で、他社のプログラムに劣るようになりました。皮肉なことです。
なお悪いことに、
・AlitaliaのMille Migliaでは、DL便のU, T, X, V, Eという格安エコノミーでも加算率が50%。Flying Blueの倍のマイルが貯まります。つまりDLのエコノミーの搭乗では、特殊な理由で高価格になっているとか、とても短い路線でない限り、SkyMilesより有利なプログラムになります。
マイルを使う方では、欧州-北米線しか直接比較できませんが、Flying Blueで
economy:50,000 miles、business:125,000 miles
Mille Migliaで
economy:50,000 miles、business:80,000 miles
SkyMilesで
economy:110,000 miles、business:210,000 miles
(往復、最低必要マイル)ですから、マイルを使う所ではSkyMilesは1.7 ~ 2.6 倍必要とするのでした。SkyTeamは提携他社の特典航空券が得にくいので、他の路線のマイル数はあまりあてにできません。
自社FFPへのマイル加算は、提携他社FFPへの加算より良くなりますが、2015年以降のSkyMilesはこの法則の例外になるようです。
以下が調べた詳細です。
SkyTeamの加盟会社、AF, AZ, KE, VN, CIのFFPについて、DLに搭乗したときのマイル積算率(%)をまとめました。
AFとAZに搭乗した時、SkyMilesへのマイル加算率は良い(共にGroup 1)のですが、逆にDLに搭乗した時にそれらのFFPへの加算率も高いのでした。相思相愛とは言いませんが、親密な関係です。SkyMilesではKEは「その他扱い」(Group 4)ですが、Sky Pass側でもDLの搭乗は低評価です。DLとKEは、相互作用の小さい組合せです。VNとCIはSkyMiles側でGroup 3ですが、この表でもAF, AZとKEとの間の加算率となっています。
利用するFFPで、航空券料金が変わることはありえません。したがってマイルをたくさん貯めたければ、Flying BlueとMille Migliaが有利です。
(2) Delta航空のWeb Siteの予約画面
DLのWebサイトには非常に多くの機能がありますが、予約クラスを細かく指定して検索できるのはなかなか便利です。
この機能の需要が大きいことを意味しますが、ろくでもない背景がありそうなので、詮索や憶測はしません。とにかく、こういう調査にはとても便利です。
なおDLの良いところだと思いますが、エコノミーの格安運賃(U, T, X, V, Eなど)、割引運賃(Q, K, Lなど)、フレックス運賃(M, Sなど)で、値段は極端には変わりません。少しずつ上がるあたりに誠実さを感じてしまいます。