バス代わりの飛行機

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機内用に採用して欲しいワイン(3)

赤、白の後は泡と来るのが自然ですが、そうなりません。非生産国の航空会社でも、泡はChampagneのようですが、Champagneはラベルで売られます。栽培農家の圧力で収量上限が緩和され、全AOCワイン中最低クラスのブドウからも造られるという物騒な指摘はさておき、ビールの銘柄のように選ばれるので、特に要望はありません。

 

少し別の角度または、個別の場合について要望があります。

 

(1) Carte des vins(ワインリスト)に生産者によるワインの説明と生産者の写真を

よく雑誌や広告で見かけますが、生産者自身によるワインの説明は面白いのです。酒屋は自分の造る酒に思い入れが強いので、消費者はメッセージを受け取るような気分で読めます。

 ついでに写真も載せれば完璧です。ワインが一段と味わい深いものになるはずですが、なぜなされないのでしょうか。立派な紙を使うよりよほど効果があると思います。

 

(2) 生産者のインタビューを機内エンターテイメントプログラムに入れる

造り手によるワインの説明の動画バージョンです。紙に記せられた説明より、声を聞く方が印象深いのは間違いありません。インタビューを受けたからと言って、出演料は取らないでしょう。

 IFEの番組は全キャビンで共通しているので、例えばビジネスクラスのワインに限って紹介することになると思います。「次回は当社のビジネスクラスにご搭乗を」と宣伝にも利用できます。ファーストクラスの乗客からビジネスクラスのワインのリクエストが入るかもしれません。そのぐらいの効果はあるはずです。

 

(3) Franc de pied

Franc de piedとは、接木をしていない木、特にフィロキセラ耐性をもつアメリカ原産ブドウの根を使わず、直接土から生えたヨーロッパのブドウの株を指します。19世紀末のフィロキセラ禍以来、尽きることない議論になっているのは周知のとおり。

 あえて栽培・製品化されている場合、または特殊な気候と土壌条件が重なった場合に限られます。特に前者の場合に、Franc de piedという名称が使われます。当然キワモノで、生産量も微々たるもの。先日「珍しい」ものは希望しないと言ったのですが、例外を認めていただくとして、私が強調したいのは珍品としての価値ではなく、中身の性質。

 年末にGaleries Lafayetteでワインを求めた時

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のことです。売り場にはFranc de piedが数多くありました。MadelaineにあるNicolasやFauchonと同様、HausmannのLafayette Gourmetでもストーリーを持ったワインのシリーズがたいてい置いてあります。この時はFranc de piedだったようです。でなければ、こんなに多くあるのは不自然です。

 あちこちで造っているので驚きました。問題は、何故こんなものを造るのかです。

 

どんな畑、呼称でも、Franc de piedのラベルがあれば何倍もの価格がつけられます。通常だったら、コストから不可能になる丁寧な栽培も可能になります。実際、こういうワインをつくる生産者は意欲満々なので、理想の実現を夢見るでしょう。常にフィロキセラで畑が全滅するリスクを負ってまで栽培するのですから、まともなビジネスとは言えません。

 

そのためワインは、「この畑では本来こういうものができるはずだ」とvigneronが信じるものに近づくはずです。言い換えれば、テロワールを映し出す鏡のように仕上がっているに違いないのです。

 昔、Philippe CharlopinのFranc de pied、Bourgogne pinot noir 2006を購入したことがあります。価格は100€ぐらい。LeroyのBourgogne Rouge (PN)でも40€ぐらいなので、破格です。ただこのFranc de pied、非常に硬質なミネラルが感じられ、剪定を十分行い収穫量を下げ、小粒な果粒から丁寧に作ったような印象を受けました。Prieuré Rochのワインにも似た「伝統に回帰する」Bourgogneです。それが若い木、名の知られていない区画でつくられたのですから、驚きです。

 

こういう例外的な「高品質ワイン」をファーストクラス用で供するのは大変面白いのではないかと思います。生産量が大したことないし、価格もそれなりにするので、期間と路線を限って提供することになるでしょうが、夢を与えてくれます。ただこういうワイン出して、さまになるのはAir Franceだけでしょう他の会社が行うとオタク受けか?と思われるのがオチです。

 

(4) 熟成したChâteau d'Yquem

貴腐ワインが世界一の白ワインであるという理屈は認めざる得ません。中でもこのワインはずば抜けています。十分熟成したらという条件付ですが、濃密でスケールが大きい一方、羽のように軽やかで、余韻は心地よい緊張感を持ってゆっくり減衰します。第一次世界大戦前の貴族になったような気分にさせてくれます。

 優雅、気品、豪華。ファーストクラスのイメージにぴったり沿ったワインなのです。

 

中途半端な熟成でも良いワインなのですが、そこに現れる世界観は全く違います。辛抱が必要です。保管温度にもよりますが、平均的には25-30年ぐらいが目安ではないでしょうか。

 

で、ここはJALファーストクラスに期待。顧客がSalonに飽きた後は、ぜひ熟成したYquemで一点豪華主義の継続を。Salonよりは高価ですが、例えばBollingerのVieilles Vignes Françaisesで引き継ぐよりは、入手も楽なはずです。

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中国経済が失速すれば、Bordeauxは安くなるでしょう。その時にen primeurで購入すれば安上がりになるはず。ただしその後20年待たないといけませんが。