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Tipps für Flugreisen

上級会員制度とケータリング事業の維持

皆さんと同じように、Pechedenferも混んだラウンジに良く出会います。この旅の施設、「無料」サービスなので、文句が言いにくいという特徴があります。しかし本当のところは、それほど「無料」ではありません。

 

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ラウンジサービスは、航空会社が販売するセット商品の一部。販売価格に含まれるという点で、手荷物の輸送、機内食の提供などと変わりません。利用しても、利用しなくても料金は一緒。ラウンジは、ビジネスクラスやファーストクラスを高く売るための方策でした。だんだん航空券を高値販売できない時代になると、多頻度使う客も積極的に入れるようにして、千客万来の発想へ転換します。広く、薄く、頻繁に利益を得るようにします。航空連合の結成により、その傾向に拍車がかかります。そういう形で各社、(外注するにせよ)ケータリング事業を継続、収益を上げるわけです。

 ラウンジ食も機内食もケータリング。広く事業を継続することで、コストも下げられます。

 

あまり意識されませんが、空港ラウンジの直接の競合相手は、空港の飲食店です。空港周辺のホテルや軽食堂とも競合します。料金の取り方が著しく異なりますが、彼らの潜在的な客を喰う形で、航空会社が利益を上げている点は重要です。会社目線では、自社施設に集まる人間を囲い込み、飲食の提供も行い、利益を得るという有利な立場を利用した商売。

 

航空会社は、混雑するラウンジを繁盛するファミレス*のように考えているのではないでしょうか。もちろんイメージ維持の点から、決してそうは言いません。しかしコストはほとんど変わらず、高い航空券を買う客が多い、多頻度に使う客が多い、クレジットカード年会費を自動的に振込んでくれる客が多いことを意味するのですから、どんどん混んで欲しいはずです。

 もちろんサービス業ですから、客の満足度が落ちることには神経質です。客が来る時間帯を分散させる程度の努力はするでしょう。しかし固定費が上がるラウンジの拡張だとか、営業時間の延長をやりたくないのは明らかです。

 *:何年もファミレスに行っていないのでうろ覚えですが、給仕+サラダビュフェという DINING h にあった形式は、ファミレスと同じ?大部屋で働き、ファミレスとラーメン屋によく行く人間でないと、ANA Suite Loungeの良さは理解できない気がします。確かに、選ばれたお客様のためのサービスです。

 

客と航空会社の間で、ラウンジ使用料が独立して計算されていれば、払戻しの問題も起きますが、ビジネスクラス航空券でも、上級会員資格基準でも、クレジットカードの年会費でも、一切合切を含めた料金。サービス利用の有無では、お金は動きません。会社側にとって非常に有利、客にとって非常に不利な条件なのでした。

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特に ANA では、多すぎる優先搭乗と並んで、混雑するラウンジという「災禍」がたびたび指摘され、多すぎる上級会員が原因と目されています。しかしこれはあくまで客の視点。会社側にとっては繁盛しているので、望ましい状況です。クレームも出るでしょうが、そんな少数のトラブルは個別処理して「利益確定」。SFCのハードルを上げることだって、混雑緩和よりもさらに収益を上げる方策だとは考えられないでしょうか。

 結局、混雑が原因で深刻な客離れが起きる、つまりビジネスクラスは売れず、SFC会員が大量に脱会するという事態にならない限り、穏便に混雑は維持されるでしょう。会社にとって望ましいので当然です。

 JALだって同じ穴のムジナ。JGCを増やそうと努力していますから、千客万来へ向いています。

 

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なお、あらゆる航空会社でそうですが、上級会員の優先チェックイン、優先搭乗も会社にとって都合が良い手段になっています。これらを行うことにより、客を早くさばくことが可能だからです。

 例えばエコノミークラスの客全体に優先搭乗が無かったとします。機体後方のブロックから搭乗させるでしょうが、相変わらず流れが悪い所は発生します。全体で一斉に搭乗する場合に比べて、一つ一つが小規模になるだけです。しかし優先搭乗客がバラバラに入ってくれれば、流れは良くなります。早く済ませる方法は最適化できますが、実施は面倒なのでやりません。優先搭乗の列でいちいち資格がチェックされないのは、まじめに排除すると、搭乗時間短縮の効果が減るからでしょう。

 上級会員に提供されるサービスの内、少なくとも優先チェックインや優先搭乗に関しては、顧客第一主義というより、顧客を混雑緩和と定時運航へ協力させているように思えます。