バス代わりの飛行機

Tipps für Flugreisen

MH71:NRT-KUL ビジネススイート(その1)

マレーシア航空で最上のキャビンは、ビジネススイート。すったもんだで体験しました。

 

マレーシア航空は史上最大の旅客機 A380 を購入した時に、立派なファーストクラスを導入しました。一階最前部に2列8席が設けられました。21世紀の最初の10年。世界中の航空会社がイケイケだった時代。マレーシアだけが需要を見誤まったわけではありません。社長自らシートに座り、2名のサロンケバヤを伴ってプロモーションを行いましたが、その写真のドヤ顔が忘れられません。

Airbus A380 First Class Cabin Interior of Malaysia Airlines Aircraft Wallpaper 2789 - AERONEF.NET

その写真は、現在このサイトでダウンロードできます。多分2012年の写真ですが、この頃はマレーシア航空の社長 (職) も良い時代でしたね。

 

 Pechedenfer はビジネスクラスの客として、2度このキャビンを体験したことがあります。堂々たる空間でいかにもファーストクラスという感じでした。

MH88:KUL-NRT ビジネス マレーシアのA380 - バス代わりの飛行機

 

さらにマレーシア航空は 2017年12月、A350 を導入しました。やはりファーストクラスを設定。今度は1列4席。シート幅がかなり控え目で、「長距離ファーストクラスとしてはどうかな」と、使う人も使わない人も疑問に思うような内容でした。

 しかし A350 を12ヶ月運用した頃、マレーシア航空は自社のファーストクラスは廃止すると宣言しました。それでは A380A350 のファーストクラスはどうするのかと言うと、ビジネススイートに看板を架け替えます。サービスをダウングレードする、手の届き易い価格にすると誰でも予想します。彼らの正式な説明が面白くて、「ビジネス客は、ファーストクラスの利用が認められないケースが多い」という、本音なのか、言い訳なのかよく分からないことを言っていました。

マレーシア航空ビジネススイート - バス代わりの飛行機

しかしながら、マレーシア航空が宣伝しているビジネススイートのサービス内容は、世の平均的なファーストクラスのものです。

Business Suite

 

マレーシア航空独自のビジネススイート。極上ビジネスクラスなのか、劣化ファーストクラスなのか、それともその中間クラスを創造したものなのか、体験しないとわかりません。ということで、乗ってきました。有償Pで。(=MHupgradeではありません。)

 

搭乗まで

成田空港のチェックイン:ターミナル2でチェックイン。ビジネススイートのカウンターには赤カーペットが敷いてあります。しかしその隣にビジネス、荷物ドロップオフ組、エコノミーのカウンターが並んでいるわけですから、本来の客にしか対応しないというわけにはいきません。半世紀前ならいざ知らず、令和の御世では別のキャビンクラスの列でも相手をするのが普通です。今日は到着した時、折悪しく別クラスの客の対応をしていました。こんな場合は、レッドカーペットをドヤ顔で踏んづけるぐらいのメリットしかありません。

 どこの会社のファーストクラスでも、本拠地ならチェックインは排他的な空間で行ったり、はたまた車で迎えに来てくれ、その場で行ったりしますが、就航先では独立カウンターを持つ程度。成田のビジネススイートもチェックインは、ファーストクラスの水準としてよいのではないでしょうか。

 今日の空港混雑はほどほど。セキュリティと出国はプライオリティレーンですぐに済みます。

 

成田空港で利用できるラウンジ:ビジネススイートの客が使えるラウンジが、ファーストクラスラウンジなのか、ビジネスクラスラウンジなのかは興味深いところです。しかしエメラルド会員だと、キャビンクラスに無関係にファーストクラスラウンジに案内されます。ということで、ビジネススイートがファーストクラス扱いなのかどうか不明です。

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エメラルド会員は、この調査には不適です。(追記) なお、Donさんから頂いたコメントをご覧下さい。

 

成田空港での優先搭乗:搭乗時、ビジネススイートの客は全く別に案内されます。地上係員(Swissport)が誘導します。優先搭乗のアナウンスの前、航空機の準備が整い次第ゲートを通れます。またクローズまで随時優先案内されます。ということで、堂々たるファーストクラスの扱い。本日は JAL ラウンジ長居しすぎたので、ゲートに付いたら、キャビン後方の客が搭乗中でした。

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おかげでさり気なく本日の機材の写真も撮れました。ドヤ顔で真っ先にゲートをくぐり、機材の写真をパシャパシャ撮っていたらオタク認定されます。大勢に紛れて搭乗していれば、目立たちません。

 なお Swissport によるハンドリング、サービスは今では安定しており、大変優秀です。

 

キャビン

シートの飾りつけ:一輪花が挿してあったり、手書きのメッセージが置いてあったりと、個別サービスに熱心なのがファーストクラスというもの。Selamat datang と担当の名前だけが手書きのようでしたが、メッセージがありました。ビジネスクラスの枠には収まりません。

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シート周り:ファーストクラスはビジネスクラスに比して、一人当たりの空間が大きいことが特徴です。シートも大きいのですが、シートに付属して収納スペースが確保できており、オーバーヘッドロッカーが無いのが普通。

 ビジネススイートのシートは、幅と奥行きがビジネスクラスより少し大きい程度。サイドに3つの大型収納スペースが並んでいます。ただし機内持込み手荷物の最大サイズには対応できず、オーバーヘッドロッカーが存在します

 

シート側の写真。

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オットマン側(個人スクリーン側)の写真。

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A350 は XWB という触れ込みですが、1-2-1 のシート配列では狭く、1-1-1では広すぎのようです。A350での国際線ファーストクラスの設定は、一般的ではありません。マレーシア航空以外に、ビジネスクラスを超えるキャビンを設けた航空会社はあったでしょうか。

 一番手前の収納の扉の裏面には、そこそこ使える鏡があります。

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テーブルは A380 のファーストクラスと比べると、やや小ぶり。

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シート横幅の制約を受けています。とはいうものの、ビジネスクラスではありえない広さで、しかもしっかりしています。

 

寸法を測れば、あらゆるもののサイズはビジネスクラスより、ファーストクラスに近いはずです。小さい差がファーストクラスの標準的な機能を損なっているようにも見えます。

 

一方、照明や内張りで雰囲気を高める工夫はそこそこ優れています。このシート横にある縁取りは、物入れと勘違いしそうですが、照明でした。

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機材のドアが閉まり、シートベルト着用のサインが出るとこの通り、勝手に点灯しました。

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人のいる空間はもとより、収納スペースにも内張りがなされています。こういう細かい点が居心地を大きく左右します。この点からは、確かにファーストクラスのシートです。

 

なおこのキャビンは不思議な配列をしていて、通路を挟んだシートは、前後にずれています。その結果、扉を開けていても隣の客は目に入りません。プライバシー重視型としては、最高レベルです。 

 

トイレ:A359のビジネスクラスのトイレを少し大きくした程度の違いしかありません。

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A380だとビジネスクラスでも、これより広いトイレが供されます。

 さらにもう一点。フレグランスがなくなりました。アメニティも一切無し。マレーシア航空では従来、ビジネスクラス以上でフレグランスを搭載していて、Acca Kappa だったのですが、現在ビジネスクラスでもビジネススイートでも消えています。

 さすがにこのトイレをファーストクラスと言うには、厳しいものがあります。Acca Kappa はコスト削減で消えたのでしょうか。マレーシアのことだから、調達をしくじり、たまたま空白期間が生じているような気もします。