PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

旅客向けのA380専用サイト

奇妙な提携

週末にアコーホテルのル・クラブから届いた広告メール。パッと目には、A380、つまり旅客機と提携したようです。iflyA380.comというサイトとのコラボレーションであることは、イラストでもわかります。

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さっぱり要領を得ません。ホテルチェーンと航空機材の提携なんて、初めてではないでしょうか。A380の移動と宿泊を合わせた旅行商品を世界中で売り込むのかと、本文を読んでみると A380 の新サイトの紹介です。

 

それでも違和感が付きまといます。A380ですから、Airbusが元締め。航空機組立会社の巨人がホテルチェーンと一般消費者向けにコラボレーション。

 

「多くの航空会社の華飾り(fleuron=ここでは A380 のこと)の全情報とアプリからの直接予約に加え、ダウンロードをすることでプレゼントーーー特製の荷札‐‐‐を受け取れます。」

 

どうやらAirbusが、Accorの膨大な数の顧客へ新サイトの紹介を頼んだ模様。A380の最終組立て地は Toulouse。フランスベースの Accor との結びつきは自然です。

 

景品はともかく、背景が面白そうです。

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iPhoneのアプリでは、こんなアイコンが入ります。フライトスケジュール検索と予約を中心としたコンパクトなアプリですが、PC用のサイトは盛りだくさんです。

 

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Airbus – I fly A380 | Home

 

サイトは

 

・スケジュール検索・予約

A380就航地

A380の定期便を運航する航空会社

・旅のヒントとA380関連のニュース

・その他

 

からなります。なお今のところ英語ページがほとんどです。多国語対応は今後整備すると言っていました。

 

フライトスケジュール・予約

フライト予約は、Longyearbyen 発北京行往復と言った無理めの都市も入力できます。一般的な予約システムを元に A380 が係る結果のみを表示するプログラムを開発したようです。

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どうしても A380 という人がどれだけいるかわかりませんが、特定機材に搭乗する航空券の売り込みは面白いと思います。もちろん LYR-USH などと調べても、結果は出現しません。あまり強引なルートが出て来ないのは、元となっている予約システムのせいでしょう。

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背景には、目的地に関係深い写真が出現します。

 

就航地

現在のA380の就航都市は以下の通り。まさに選ばれた60都市。世界交通のネットワークで存在感がある都市を意味するので、その自治体の関係者にとって、重要な箔付けになりそうです。

 

Abidjan, Abu Dhabi, Amsterdam, Atlanta, Auckland, Bangkok, Barcelona, Beijing, Birmingham, Boston, Brisbane, Casablanca, Chengdu, Christchurch, Copenhagen, Dallas, Delhi, Doha, Dubai, Dusseldorf, Frankfurt, Guangzhou, Hong kong, Houston, Jeddah, Johannesburg, Kuala Lumpur, Kuwait, London, Los Angeles, Madrid, Manchester, Mauritius, Melbourne, Mexico, Miami, Milan, Moscow, Mumbai, Munich, New York, Nice, Osaka, Paris, Perth, Prague, Rome, San Francisco, Sao Paulo, Seoul, Shanghai, Singapore, Sydney, Taipei, Tokyo, Toronto, Vancouver, Vienna, Washington, Zurich.

 

それぞれの都市の巨大アイコンが用意されています。

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クリックすると都市のページに移りますが、下記の情報やデバイスが提供されています。

・サイトを閲覧している都市からその都市へのフライト検索予約ツール

・その都市へのA380の運航航空会社と出発地、フライト時間

・観光客向けの簡単な都市の紹介

・インスタグラムの投稿

 

予約は、このサイトにアクセスしている現在地からの設定がデフォルト。ただし背景は今説明を読んでいる都市のもの。

 インスタグラムの投稿は次々更新されるようです。

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このサイトのデザイン、どこかで見たことがあると心に引っかかっていたのですが、すぐに気が付きました。音は出ないものの、KLMの iflyKLMにとても良く似ています。名称もそっくりだし、同じウェブサイト制作会社の手によるものなのでしょうか。

 

運航航空会社

全部紹介しても13社にしかありません。就航地の数が表示されます。最多はエミレーツの 46 都市、最少はアシアナとマレーシア航空の3都市です。

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アシアナでは LAX, JFK, FRA、マレーシア航空では LHR, HKG が紹介されています。数に本拠地が入るか入らないかが統一されていません。

 

調べてみると、iflyA380の iPhone用のサイトは今年の1月24日に立ち上がったそうですから、もう半年。バグはまだ整理していないようです。

 

British Airways の機影をクリックすると、BAがつくったか、BAのサイトにある既存の説明を編集したページが出現します。

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このスクリーンショットの左下の写真は、時間が経つと交代するもの。BAでは3枚の写真が使われます。そういう構成にしている航空会社がほとんどですが、BAに特徴的なのは第1写真がビデオであることです。(他にビデオを使うのは KE と EK)

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動画再生中に時間が来ると、音声はそのままで第2の写真(静止画)へ変わります。いちいち第1写真の表示に戻さなくては、ビデオが見られなくなる仕様。この奇妙な構成は大韓航空のページにも見られました。単なるバグでしょう。

 Emiratesも第1写真がビデオですが、音楽だけです。バグは相変わらずですが、写真の交代には違和感はありません。

 

就航地の数と合わせ、そのうち修正、改善されると思われます。

 

旅のヒントとA380関連のニュース

Fly Smartと名付けられたコーナー。前文説明は旅のコツ(tips)とありますが、実際にはQFの A380 キャビンデザインについてのインタビュー、LHA380 の紹介記事などもあり、A380のニュースを紛れ込ませた形になっています。倫理に反しないレベルのステルスマーケティング

 3つの節にわかれています。

・旅の準備編

・フライト

・探検

ですが、最後の節はまだ未整備。何を載せようとしているのか、楽しみです。

 

その他

A380のスペックやQ&Aがありました。

 

総じて言うと...

あまり売れていない A380。なんとか巻き返しを図りたい Airbus。このサイトは顧客ではなく、顧客の顧客に直接魅力を伝え、A380の需要を間接的に喚起することになります。改めて A380のキャビンが他機材に比べ自由度が高く、各社個性的に使っていることが再確認できます。面白いサイトだと思いました。

 

実は、皆さんと同じように ANAA380 がこのサイトに載る日が待ち遠しかったりします。機影のページで、Air Franceに続き、2番目に掲載されるでしょうが、どういうイラストになるのでしょう。「標準」塗装は存在せず、ウミガメ塗装しか現実にはないわけですから、ANAだけ特別塗装版になるのでしょうか。またこの A380 Club のメンバーになることで、JAL とは差がつけられるかもしれません。このサイトがそのぐらい意味を持つようになれば、この iflyA380.com は成功です。