PECHEDENFERのブログ

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フライングブルーの上級会員資格を金で買う?(その1)

フライングブルーの提携アメックスカードに関する日本語の情報が乏しいので、大モトのページを読んでいたら、変な制度改定を見つけました。

 

それによると、クレジットカードの年会費以外は、わずかな出費で上級会員資格が「買える」ようなのです。

 

航空会社の事業拡大は、本業に限定すると、より多人数が、より頻繁に、より長距離搭乗することを意味します。それで多くの会社は顧客プログラム (FFP) をつくり、顧客を呼び込み、囲い込むと同時に、年間搭乗回数や年間搭乗マイルが大きい顧客を上級会員として区別し、優遇することで、事業拡大に結びつけます。

 

顧客の側から見ると、上級資格は搭乗しないと意味をなさないし、搭乗すれば上級資格はもらえるのですが、「販売される」上級資格も存在します。例えば

①日本国内でデルタ・スカイマイル・アメックス・ゴールドカードの会員になり、26,000円 (+消費税) の年会費を払い続ければ、デルタ航空FFPのゴールド会員資格 (ゴールドメダリヨン) を維持できます。

②アメックスのプラチナカード会員には、ここ数年キャセイ・パシフィックのFFPマルコポーロ・クラブのゴールド会員資格が与えられてきました。これは2015年2月の中止が予告されています。ただしその後もマルコポーロ・クラブのゴールド会員、シルバー会員への近道が用意されます。

③システマティックなパッケージではなく、資格マイル自体を直接顧客に売っているFFPもあります。

 

アメックスは、よく言えば商品開発が上手ですが、フランスでも何やらやらかしているようです。

 

エールフランス (AF) のFFP、フライングブルー (FB)の提携アメックスカードは歴史が長いのですが、従来、カード支払いのポイントは特典マイルにしかなりませんでした。ところが今ではAF・KLMの航空券の購入に限り、獲得ポイントが資格マイルと見なされるようになりました。下記サイトにもNOUVEAUとあるとおり、最近の変更です。

https://www.americanexpress.com/france/carte-air-france/flying-blue-platinum.shtml?cpid=100128500&veid=sx4AE0vj1

小さな注でもあるのかと探してみましたが、見つかりません。購入金額の上限は無いようです。

 

とすると、以下の様なことが可能になりそうです。

 

ある年の後半にAFの普通運賃の航空券を購入します。例えば FBアメックス・プラチナカードで30,000ユーロ分買うと、60,000マイルになります。FBでは年内に稼いだ資格マイル数で次年の会員資格が決まりますが、60,000マイルを超えたら、ゴールド会員です。年明けに予約をキャンセルしたら、その手数料を支払うだけで、購入代金は戻ってきます。

 

この裏技に対して、何も記述が見つかりません。制度の整合性から言って、禁じることは難しそうです。そもそも「購入時に資格マイルになる」とわざわざ言っていることから、この裏技を想定しているようなフシさえあります。

 

フランス人の感覚では、アメックスの年会費(プラチナで650ユーロ)が非常に高いこと、上級会員資格に興味を示す人は多くないことから、そんなに問題にならないかも知れません。払い戻し手数料もバカバカしいと思うのが「常識」です。しかし日本やアメリカだったら、ゲーム感覚で流行しそうです。

 

FBアメックス・ゴールド(年会費165ユーロ)では、1ユーロの決済が1.5マイルに変換されるので、FBゴールドの基準達成には、40,000ユーロの航空券購入が必要です。

 

この裏技でFBの最上級のプラチナ会員資格を得る段取りを、視点を変えて書くと以下の様になります。

 

アメックスプラチナカードの場合

「年間90,000円(=FBアメックスプラチナの年会費)寄附し、借主が設定する期間~概ね数ヶ月間(=口座振替日から、予約の取消と返金処理の終わる日まで)~、無利子で630万円(=90,000マイルになる航空券代)を融資する個人には、対価として一年間のFBプラチナ会員のサービスを提供する。(アメックスの基本サービスも。)」

 

アメックスゴールドカードの場合

「年間23,000円(=FBアメックスゴールドの年会費)寄附し、借主が設定する期間~概ね数ヶ月間(=口座振替日から、予約の取消と返金処理の終わる日まで)~、無利子で840万円(=90,000マイルになる航空券代)を融資する個人には、対価として一年間のFBプラチナ会員のサービスを提供する。(アメックスの基本サービスも。)」

 

企業には結構おいしい話です。この裏技では、客がAFをだました気になっていても、実際はAFが客をだましているのではないかという気がします。そうだとすると、実に巧妙な制度改定です。