「夏休みはローマ」などと言われると、特別感がありますね。最近Fiumichinoに時々来ているため、特別なはずないのですが...。
目的が観光であれ、金儲けであれ、世界支配であれ、いろいろな人が集まる点については、2000年前も今も同じローマ。しかし空港の放送は、"Senatus populusque romanus..."では始まりません。残念です。
良い子の皆さんならラテン語も良く勉強しているので、S.P.Q.Rが"Sono pazzi questi romani."の略だなんて、騙されたりしませんね。
また現代ではよほど金を持っていない限り、来た人は帰る方が歓迎されます。ローマ市民になるのは非常に困難ですし、解放奴隷にすらなれません。
Alitaliaのローマ-東京便は、Terminal 3のGサテライトからの出発。
この建物は長距離便のために整備されています。中央が大型免税店で、その周囲に4か所の洗面所が配置されます。
建物外壁に近くに配置されたゲートは、2つ一組。7か所あり、合計14ゲート。ゲートを通り、外壁に向かって進むと搭乗橋から出られるのではなく、一度階下に降りる構造になっています。こだわりの設計と言うべきでしょうか。
ゲートの周囲にはブランドショップや待合椅子などが配置されます。
Duty Freeの入口は何か所かありますが、どこからでも見え、どこからでも入れるという開放的な感じではありません。
大型と言っても、そこはヨーロッパ。あらゆる商品が揃うというスタンスではありません。むしろ地元の特産品が目立ちます。ワインの品ぞろえは、一大産地としてはほどほど。今回は以前から狙っていた品があるので、他には目もくれずそこへ直行。1本89.5 EUR。Brexitの効果もあり、日本円で1万円にしかなりません。半額だ!と束買い。
もちろんRiservaではなくAnnataの2007です。Riservaなんかに手を出した日には、飲み頃が来る前に寿命が来てしまいます。
これは比喩ではありません。こういうワインは案外多いのですが、表だって警告されるはずなく、正直な生産者だけが時折発言しています。何世紀にも渡って讃えられてきたBourgogneのあれなんかは、十分な熟成を経ると、賛辞が全て正しいことが分かるのですが、今日そこまで待って飲まれるボトルはほとんど存在しないようです。Biondi-SantiのAnnataだとそんな極端なことはなく、収穫年から20年が目安ですかね。
ちなみにChampagneも安く、盛んに販促していました。
日本のインポーターは在庫を急いで捌く必要があり、頭が痛いでしょうが、Champagneの価格が下落気味です。このDuty Freeでも2本まとめて66 EURみたいな売り方です。中国経済の失速やBrexitなどが要因でしょう。21世紀に入ってから世界経済の低迷と、Champagneの価格下落が顕著に連動するようになりました。これには構造的な理由があって、
(1) 贅沢品であり、販売量は景気との相関が高い
(2) 大手メゾンが生産量の大部分を占める
(3) 複数年のブレンドで造り、味の一定が重視される
(4) 大手はそのため大量の原酒をストックする
(5) ストックは数年も保存すると品質が変化するため、生産量の調整はリスクを伴う
(6) そのため消費が低迷してもある程度の量は市場に出さざる得ない
景気の波が半年とか、数か月だと(5)の条件が無くなるので、Champagneの価格変動も起きないはずですが、幸い低迷も好景気も数年単位です。経済が冷え込む時期は円高も起きるので、円を持つ人にはChampagneの買い時になっています。日本経済はずっと低迷しているので、国内では感じませんが、Champagneの広告量や価格を見ていると、景気の循環は確かにあります。
このDuty Freeでは、ドライトマトとか、ドライポルチーニなどのイタリア食材も格安で手に入ります。少し大型のパッケージになっていますが、料理をする方には魅力的な価格です。Brunello di Montalcinoが4本入った籠を手に、Toscanaのトリュフ製品のコーナーに行ったら、カモでした。Biondi-Santiのラベルは一般的なイタリア人でもすぐわかるようで、トリュフのことを一生懸命説明してくれました。
ラウンジ施設も建物中央付近です。
Alitaliaのラウンジは、Dolce & Gabbanaの前に入り口がありますが、ここはエレベーターの入り口。ラウンジ自体は、ちょうどDuty Freeの下に位置するようです。
本日の機材はこれでしょうか。
ラウンジには窓がありません。人によっては、これだけでダメだしするかもしれません。何といってもイタリアの空が見られないのですから。
外を眺めたい人には、階上の一般エリアもそれなりにお勧め。私もこのサテライトのラウンジは、よほど時間を持て余す時以外は使いませんでした。90分程度の接続だと、Dufy Freeを市場の感覚で冷やかしたり、行き来する人を眺めている間に時間が経ってしまいます。ラウンジが新しくなってずいぶん良くなったので、今後は積極的に使うことになりそうですが...。
このサテライトの一般エリアのように、全ての人がアクセスできるところを魅力的に作るのは、イタリアらしいと言うべきでしょうか。