PECHEDENFERのブログ

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BA のステイタスマッチ

 

現在のキャンペーン

ブリティッシュエアウエイズは、北米在住者を対象にステータスマッチを実施中です。

 

Tier match offer | Executive Club | British Airways

 

アメリカかカナダに住むことが条件で、現在のメンバーシップとマッチ後のエグゼクティブクラブでのティアとの対応は以下の通りです。

締切は 5月 7日。最初に Executive Club に入会後、専用リンクからメンバーシップの証明を送ります。確認作業に通常 5営業日を要します。マッチした場合、e-mail で結果の報告とデジタルカードが届きます。

このキャンペーンで得るステイタスの有効期間は 6カ月。その期間中に以下の 4条件をすべて満たす大西洋横断フライトを 2搭乗(一往復)済ませば、会員年度終了までステイタスが延長されます。

・BA の販売するビジネスクラス (Club World) か First

・BA、アメリカン航空、フィンエア、イベリアが運航

・USA、カナダ、メキシコ発で UK または UK 経由欧州行の航空券

・Tier Points と Avios が獲得対象の航空券

もし 6カ月間にこの搭乗を行うことが出来なければ、その間獲得した Tier Points に応じて、ステイタスは下げられます。

 

深読み

エグゼクティブクラブでは会員年度を統一中です。今年 4月に開始、1年間かけて完了します。

BA が Tier Points 積算期間を統一 - PECHEDENFERのブログ

この大改革に合わせて優良会員を増やそうという魂胆なのかもしれません。

 

ただ同種のオファーがアメリカ以外で行われるかというと、私は懐疑的です。北米三大手のプログラムはいずれも巨大で、それぞれ会員は一億人というレベル。それらのプログラムがすっかりつまらなくなったので、BA は顧客引抜きのチャンス。さらに北米-欧州の往来は太いこと、ロンドンは欧州の玄関口に位置することという人文地理上、自然地理上の条件から、アメリカ、カナダは BA の良い顧客。例えばアジアやオセアニアについては、どの条件も当てはまりません。

 

会員年度統一後か、さらにその先にあるかもしれない IB, EI とのプログラム統合の後なら、全世界を対象にステイタスマッチキャンペーンを行う可能性はあります。

 

近い将来にありそうな別のシナリオは、ステイタスマッチの制度化。どんな会社でも良顧客には移ってもらいたいのです。客も転勤、転居などで利用会社の変更が都合よいなら、ステイタスマッチは大変ありがたいわけです。サービスの提供側と受容側の双方にメリットがあるので、制度化するのがビジネスというもの。

 実際、北米三大手はパンデミック以前にステイタスチャレンジという名で制度化しています。転居レベル(→利用航空会社の変更)でも出張レベル(→航空会社の利用頻度)でも人の移動が激しいアメリカでは、制度化の意義は大きいと思います。BA (や IAG) が真似ても不思議ありません。

 BA と同じ UK を本拠地とする Virgin Atlantic はすでに制度化しています。マッチが可能なプログラムは限定していますが、会員の居住地には制限がありません。

Flying Club | Status Match | Virgin Atlantic

 

一方で、日本の航空会社はステイタスマッチに及び腰です。東京勤務の会社員で山形 (村上・置賜) 担当が鳥取担当に変わった場合、JAL メンバーシップ(特に JGC)から ANA メンバーシップ(特にSFC)に移った方が都合良いのですが、こういう客のビジネスを後押しする発想には乏しいようです。個々の営業担当者のレベルで細々と資格の提供が行われるに過ぎません。

 

ステイタスマッチは実質化

北米三大手のステイタスチャレンジも現在の BA のステイタスマッチも、

・マッチ後の資格は、正規の会員資格より有効期間が短い

・その有効期間中の自社 (または提携会社) のフライト利用により資格を延長

という特徴があります。

 もともとステイタスマッチは、他社ステイタスを持つ者が新規入会する時に適当なステイタスで迎える制度でした。理念は理解できますが、実際に起きたことは、多数の「無意味にステイタスを欲しがる者」の相手でした。航空会社には全く無駄な業務であり、コスト削減の対象にすべきなのは言うまでもありません。

 良識的な見地からは、利用しない会員資格の獲得は客にとっても非生産的な営みです。私には全く理解できない行動ですが、行う者は多いようです。

 

私個人は、ステイタスマッチを利用したことは一度もありません。もちろん利用が適当な状況になれば、躊躇なく申し込むことでしょう。

 

今後ステイタスマッチはフライトの有償利用が必要条件になり、その形で制度化されることが増えると思います。これは利用客にも良いこと。そしてその制度が航空会社が展開するサービスのひとつとして位置づけられるようになれば、日系も重い腰を上げて制度化することでしょう。