PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

フレディ・アワード 2015(その2)

このランキングは、会員の不平の少なさの指標にしかならないようですが、そう思って見れば参考になります。世界3地域という分類、航空会社とホテルという分類があるのですが、ここでは欧州・アフリカと中東・アジア・オセアニアの航空会社について紹介します。

 

欧州ではFlying Blueが得票率、得点共に非常に大きくなっています。2位を多く占めるのはLufthansaなどのMiles & More。この2プログラムの結果は以下のとおり。

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会員数は共に2000万人台で、規模は似たり寄ったりのプログラムのはず。しかしながら得票率に大きな差があります。M&Mは投票のお願いをしていないのでしょうか

(5月31日訂正)M&Mは、日本語でも堂々とお願いしていました。独仏戦はフランスの圧勝ということでした。ココリコ!

 

上級会員制度の119.11 %は間違いでしょう。1位と2位を同じ会社に投票することはできず、100%は超えないはずです。

 

AFからの投票依頼に応じたからと言って、別に1位に投票するとは限りません。これは容易に想像ができます。投票者全員から1位を獲得して10点満点。FBの得点は驚異的に高いと言えます。顧客満足度は相当なものです。

 

私自身、巷で言われるほどFBが悪いとは思っていませんでしたが、この結果には驚きました。M&Mに及ばないのはわずか1部門、顧客サービスについてのみ。しかも小数点第3位以下の違いと言う僅差でした。欧州最強のプログラムです。

 実はこれだけにとどまりません。Freddie Awardは、9点以上獲得したプログラムを"The Niners"としてまとめています。33部門のうち、Ninerは8つ。そのうち5つがFBなのでした。(上の表以外では、提携クレジットカード部門のAF-KLM American Expres Card)文句なしで世界チャンピオンです。

 他はアメリカで、プロモーションのLifeMiles、顧客サービスのSouthwest Rapid RewardsとLifeMilesです。

 

「こんなに不満が出にくいプログラムなら、入会を第一に考えるべき」というのが常識的な判断です。日本ではNorthwestそれからDeltaのプログラムが、「多いマイルが得られる一方、特典旅行に要求されるマイルは少なく、さらにサーチャージが無かった」ので、会員も多いはずです。しかしながら以前から、FBはマイル還元率が悪い分、特典旅行は圧倒的にとりやすい状況にありました。現在、マイル数の上でも、Deltaの方が還元率の悪いプログラムになったので、先入観を捨てる時期かもしれません。

 

他の欧州勢を見てみると、今年から設けられた"Up and Coming Program of the Year"賞にAegeanのMiles & Bonusが選ばれています。ブログラムランキングでSASに続く4位、6.87点をたたき出しています。得票率はわずか2.43 %。ランキングに入る必要条件の2%を何とか超えた程度の規模です。昨年よりずいぶん順位が上がりましたが、何があったのでしょうか。投票お願いメールは記憶に無いのですが、御礼メールは来ました。

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彼らにとっても意外な結果だったのでしょうか。

 こういう小さな航空会社なら、どんな受賞でも、認められることが大切。会員の方でもおめでとうメールを送ると喜ぶと思います。会社のサイトの方でも

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Skytraxの受賞と並んで誇らしげです。国家破綻の崖っぷちにあり、国民も相当暗くなっている中、社員には良いニュースになったと思います。また国家の行方とは無関係に存続できる可能性が高まります。

 

さて中東・アジア・オセアニアについては、

 

・中東勢(Etihad, Emirates, Qatar)への投票率が大きいこと

・中東勢のランキングは、全部門でEtihad, Emirates, Qatarの順になること

・プロモーション部門を除き、ANAJALより順位が上になること

・プロモーション部門を除き、投票率ANAが4%台、JALが2%台になること

 

などの結果が読み取れます。提携クレジットカードの部門は無視しています。

 Virgin Australiaの人気が高いようですが、言語や文化の違いがあるので、このランキングがどれだけ有用なものかはわかりません。ただし、中東勢に関しては欧米の顧客が多いだろうし、この3社の比較は使える気がします。すなわち、Etihadの会員は満足度が高い様子です。

 ANAの客は、JALの客よりインターネットにより親しんでいるという印象がありますが、得票率にも出ています。この2社は、大抵のランキングで10番以内に顔を出すものの、宣伝に使えそうなレベルではありません。会員数が2000万人を大きく超えるプログラムとしては、投票者が少なく、Freddie Awardsは無視されている状況です。それはそれで正解です。

 

FBの驚異的に高い評価について、少し深読みを。顧客を含むBA関係者は、こんな金儲けだけが目的の得体の知れない調査にイギリス人の名前を(勝手に)つけられて、苦々しく思っているでしょう。投票は低調なはずです。Executive Clubとしては、会員に頼む気もないでしょうが、頼んでも良い効果が期待できません。私のところにも、Executive Clubからは依頼メールは来ていません。

 こういう状況を突いたのがAF。自社会員に盛んに投票を呼びかけています。

 イギリスが新参者アメリカに協力したくないことはよくあり、そこにフランスが付け入るのは極めて普通です。利益など関係なく、イギリスに一泡ふかせたいという伝統的な嫌英意識が、FBの評価を押し上げている可能性があります。Executive Clubはランキングには登場しますが、さえない成績です。フランスはイギリスに圧勝して、同時にアメリカの格を上げるという一石二鳥に成功しています。アメリカの独立戦争と基本的な構図が似ています。