British Airways(BA)のホームページ日本語版には、「BAを選ぶ理由」と題して
”British Airwaysの空の旅なら、受賞歴のある上質のサービスをお得な料金でご利用いただけます。隠れた手数料は一切ありません:
- 出発24時間前の座席指定(無料)
- 23kgの預け入れ荷物許容量(無料)
- 空港でのチェックイン、オンラインまたはモバイル・チェックイン
- 無料の機内お食事サービスおよびバーサービス”
と案内されています。「隠れた手数料」というユニークな表現を除き、当たり前すぎて、全然アピールしません。このぐらいしか約束できないのでしょう。
しかしBAならではの良さは絶対あります。Executive Clubの会員として、書いておきたかったのがこの「BAを選ぶ理由」です。100%主観。BA自身が主観的に宣伝するわけにはいかないので、会員の方で援護するぐらいでちょうど良いと思います。少しぐらいこういうことを書く会員がいないとBAが可哀想ですし…。
機内では旨みを感じる飲料が欲しくなるという経験則。生理学的にもお墨付きをもらったようです。そこで外せないのがトマトジュース。ソースを入れると美味しいことを知っていても、周囲の目が気になり、普段は出来ない、そういう人が多いと思います。BAの機内では問題なく注文できます。そもそも向こうから「ソースはどうする?」と、聞いてきます。
搭載されるのはもちろんLea & Perrins。Worcestershire Sauceという正式名称は必要ありません。単にsauceです。イギリスではそれ以外のソースに対して、特別な呼称を使います。この言葉遣いは、日本語に輸入されているとおりです。
2) かなり本格的なEnglish Breakfast(日英間)
イギリスでまともな食事をしたければ、3食朝食を取りなさいと、ひどい食文化の中で唯一評価が高いEnglish Breakfast。BAだとエコノミークラスでも、そこそこまともな朝食が出ます。
しっかりしていても、どこか肩の力が抜けているところが好印象。チップスの代わりにトマトソースの豆ときのこのソテーがあれば、完璧でした。
3) 英国料理なのに、なぜか普通に食べられる機内食(日英間)
意外な事実ですが、BA飯のイギリス度は、AF飯のフランス度より圧倒的に高いのです。それでは食べられない人続出では?と疑うのが健全な世界観ですが、意外と普通に食べられます。野菜の茹で加減はまさにイギリスのそれです。が、食べられます。魚用のソースはどこか奇妙です。が、食べられます。英国料理のダメさをオブラートで包んだような感じです。
野菜を茹でることが苦手な人でも、一見したらすぐにわかります。ミネラルウォーター、ジャム、デザート、ソースなど細部にわたってイギリスしています。相当こだわってメニューを構成していることは明らかです。
うまいまずいという意見は主観が強すぎ、無意味だと思いますが、こだわりが強いことは素直に賞賛すべきでしょう。ちなみに私はいつも美味しく食べています。
4) わかりやすい異文化圏のサービス
ある文化圏のホスピタリティーは、その言語によるサービス、母語話者によるサービスに現れます。lingua francaとしてクルーが英語をしゃべる場合、本人の個性は伝わってきますが、文化圏に特徴的なホスピタリティまでは伝わってきません。
多くの日本人がわかる外国語は英語。外国のホスピタリティーを理解できるのは、英語圏の航空会社ということになります。そして英語といえば本家のBritish Airways。QFの国内線もなかなか好感持てますが...。
5) 静かなキャビン(特に日英間)
ビジネスやファーストのように人口密度が低いキャビンでは、問題が生じにくいのですが、問題はエコノミー。特に騒いでいなくても、なんとなく物音がして静かとはいえません。長距離フライトでは深刻な問題です。ところがイギリス人は暗くて狭いところに閉じ込めると静かになるので、エコノミーでもとても静か。JAL, ANAもかなり静かですが、さらに上を行きます。よく寝られるはずです。
6) ヒースロー空港ターミナル5の利用
ほとんどのBA便が専用ターミナルであるT5を利用します。日本便もT5着発です。大変評価が良いターミナルで、乗継も良好です。特筆すべきはショッピングで、欧州一は多くの人の認めるところ。免税品の最後の買い物では満足できるはずです。
ただし欧州便でも、次の目的地では、発着ターミナルが異なるので注意が必要です。
HAJ, LUX, LYS, MRS, RTM(以上Terminal 1を使用)
BCN, BUD, GIB, HEL, LIS, PRG, VIE, WAW(以上Terminal 3を使用)
T1またはT3とT5との間の乗継ぎでは、最低1時間は見ておいた方が良いと思います。
7) 欧州線の新しいキャビン(欧州便)
エアバスA320系の機材は、ほとんど新しい内装になっているようです。皮のシートがなかなか良くできていて気持ちが良いキャビンです。
タブレットとカバーを持ち込んで、マガジンラックに固定、思い思いの映像やゲームを楽しむことができます。
8) 門外漢にはイメージがよいこと
アエロフロート航空でパリに行くなどと言うと、親に心配そうな顔をされる可能性がありますが、「英国航空」ならそういうことはありません。漠然としたイメージの違いです。またSNSやブログで紹介する場合、「カラチに行きます。パキスタン航空です。」と「これからBAにご搭乗。」では表現される自己像に大きく違いが出ます。
逆に冒険家を演出したいとか、マニア振りを示したいというなら、BAは適していません。例えば、ABB経由のEthiopian Airlinesで攻めましょう。
9) 機長のアナウンスがユニーク
特に到着前の機長アナウンスは、現在高度や今後のフライトスケジュール、現地の天候、気温などからなり、数字が並んで無機質なものですが、BAのアナウンスは異なります。必要なことは伝えますが、各人好きなことをしゃべるので、妙に長くなることもあります。HKGから香港市内への地上交通に関して、機長が延々と案内するなんて、意味不明です。
10) 英語の練習
日本人クルーは少ないようです。ほとんど見かけません。英語が苦手な人は、実践のチャンスです。搭乗時に限らず、予約、購入、予約変更、事後アンケート、事後クレームなど思う存分英語を使えます。得意な人でも、キャビンではアクセント丸出しの英語が聞けて、なかなか風情があるのではないかと思います。BAはクルーのアクセントを矯正しているようには思えません。英国そのものを体現する姿勢が大切なのでしょう。