今でこそ日常ですが、極東路線は欧州の航空会社にとって花形路線でした。そこには、国の面子をかけた競争の歴史が隠れています。植民地時代の港湾都市の拠点化、その拠点間の路線を連結してユーラシア路線とした時代、ANC経由の北極ルートの開発、冷戦終了による直行便の実現と推移し、現在に至っています。技術、挑戦、冒険が感じられる革新性が途絶え 30年。平成の御代は安定した大陸横断が確立した時代でした。
British Airways にとっても東京便は、非常に重要な路線。BA5, 6便(LHR-NRT)、BA7, 8便(LHR-HND)と一桁台のフライト番号なのは、偶然ではありません。もともとのロンドンー東京便を引継いだのは、新東京国際空港の方。その後名称は成田国際空港に変わり、さらに増大する輸送量を吸収するために羽田も再度国際化すると BA はそこへも定期便を設定しました。成田線の番号が羽田線より若いことにも、首都圏空港整備の歴史が生きています。
そんな極東路線の歴史より、Executive Club のゴールド会員の更新が気になる搭乗客の方が多い BA5, 6 便。これもまた歴史の紆余曲折を経て、JALの一大拠点 Terminal 2を利用します。
JAL は BA と付き合いが長く、扱いが他の oneworld パートナーたちとは異なります。現在は欧州ー日本路線を共同事業化しているために、旅客扱いも共通化して便宜を図っているのかもしれません。例えば BA の客は JAL のファストレーンに案内されます。ラウンジでも JAL便に準じた案内があります。
そのJALラウンジは改装工事中。今日は本館4階が閉鎖され、3階のみの利用。ここまで混雑したJALラウンジは初めて見ました。混んだラウンジはストレスの元。知らず知らずの内にサラダの盛りが、ジャングルになっています。
心の中を見すかれそうです。
一方、隣のテーブルは新婚旅行らしく、幸せオーラで包まれていました。JALもデコレーションを施した皿で歓待。新婚旅行とか、誕生日とかは伝えた方が良く、JALも喜んで特別サービスを提供します。
遠景に出発を待つ MH89 便の A380 が停泊中。これまでは母屋側の端、66番ゲートあたりを使っていたのに、最近はサテライトの外れ、96番ゲートあたりを使うことが多いようです。
11:00を過ぎるとウソのように空いてきました。窓際のテーブル席に場所を変えます。
しばらくして隣のテーブルに、小さな娘を連れたイギリス人女性が移ってきます。どこにでも座れるのに、何故かすぐ隣。
30代に見えるこの方、チェックイン時、すぐ後に並んでいました。アメリカンアクセントのパパ、5歳ぐらいを頭とした3人姉妹、ママの総勢5人の家族移動。猫のように、自分たちが排除されることのない場所や人を選んだかのようです。Pechedenfer が offensive にはならないことは、チェックインカウンターで嗅ぎ取っていたのかもしれません。その後 15 分もすると、パパと残り2人の娘が合流。買い物をしていたようです。総勢5人揃うと、元気な一団となるのは不可避。
このパパさん、しっかりしています。長女が少し大きな声を出すとすぐ注意。「大声出したらダメ。ここはラウンジだから。」ヨーロッパ人と結婚するアメリカ人が、マナーにうるさいのは納得できますが、frequent flyer らしい説教がユニークでした。しかしそのパパもママが言うことに苛立ち、声を荒らげていたのはご愛嬌。10年後は娘に説教しても、すぐ反論されるようになるでしょう。
うるさいにはうるさいのですが、なんだかほのぼの。自分用にとってきた皿も平和に。
ミニたい焼きも色を添えます。このたい焼き、餡を工夫すれば、カレー並みにブレークしそうです。
時間となったので、ゲートへ。BAはマレーシアと異なり、サテライトの隅なんていうことはありません。母屋の良い場所を使います。
搭乗橋がつながる部分の屋根をカラスが歩いているのですが、このカラスは生命を失うリスクを受入れ、何がしたいのでしょうか。
今の時代、12時間のフライトは地上滞在1時間半で折り返せます。改めて技術の進歩に感心します。