質と量の両方でラウンジに力を入れる航空会社があります。元々は少数の客にサービスが行き届く（質）ラウンジが重要でしたが、現在では広い範囲の会員が利用できる（量）こともいろいろな意味で重要です。ここでは、委託会社や提携会社のラウンジが使えることは問題にしません。自社や傘下会社が営業するラウンジが充実している航空会社を取り上げます。
この観点からは、やはりワンワールドにラウンジが充実する会社が多いのです。その中でもキャセイパシフィックとカンタスは頭一つ抜けています。これらの会社は国際線が多いのですが、それ自体はどうということありません。
以下はワンワールドが紹介する各社の就航国・地域の数、就航地の数です。
Cathay Pacific 28国・地域、 80 就航地
Qantas 25国・地域、 98 就航地
JAL 64国・地域、199 就航地
British Airways 72国・地域、198 就航地
Qatar Airways 82国・地域、178 就航地
意外なことに JAL の国・地域の数、就航地の数はともに CX や QF の倍以上です。逆に言うと、この 2社は路線網の割には存在感があります。ラウンジ整備のおかげかもしれません。
キャセイパシフィック CX
CX 便のビジネスクラス以上の客や Cathay の上級会員客が利用できるラウンジの紹介は以下のサイトで。
https://www.cathaypacific.com/cx/en_HK/destinations/lounges.html
このサイトから CX が運営するラウンジを取り上げると、
Hong Kong The Wing
The Wing First
The Pier
The Pier First
The Deck
Beijing Cathay Pacific Lounge
Shanghai PVG Cathay Pacific Lounge
Taipei TPE Cathay Pacific Lounge
Vancouver Cathay Pacific Lounge
San Francisco Cathay Pacific Lounge
Bangkok Cathay Pacific Lounge
Manila Cathay Pacific Lounge
Singapore Cathay Pacific Lounge
Tokyo HND Cathay Pacific Lounge
Tokyo NRT Cathay Pacific Lounge
Paris CDG Cathay Pacific Lounge
London LHR Cathay Pacific First and Business Class Lounges
国際線しか持たないとしてよい CX。香港でファーストクラスラウンジを2つ、ビジネスクラスラウンジを 3つ営業することは有名ですが、他にも世界各国で直轄ラウンジを持ちます。東京は特別な地位にあるらしく、CX は羽田にも成田にもラウンジを持ちます。なお香港とロンドン以外のラウンジでは呼称は一様。ファーストクラス、ビジネスクラス、会員種別 (エメラルド、サファイア、Cathay Silver) は区別しないようです。
カンタス QF
QF の就航国・地域の数、就航地の数は CX と同程度です。ただし事情はかなり異なります。大陸ひとつがオーストラリアなので、2,000 mile を越える国内線が多く、国内線にもラウンジサービスは重要になります。まず QF が運営する国際線ラウンジは以下の通り。
Adelaide The Qantas Club (国内線と同一場所)
Brisbane International Lounge
Darwin The Qantas Club (国内線と同一場所)
Melbourne International Lounge
International First Lounge
Perth International Lounge (T3)
Syndey International Business Lounge (T1)
International First Lounge (T1)
Auckland International Business Lounge
International First Lounge
Wellington International Business Lounge
Hong Kong The Qantas International Hong Kong Lounge
Singapore International Business Lounge
International First Lounge
Honolulu Qantas Lounge
Los Angeles International Business Lounge
International First Lounge
London The Qantas International London Lounge
QF が国際線ラウンジを設置する空港の数は CX と同じですが、Melbourne, Sydney, Auckland, Singapore, Los Angeles にはファーストクラスラウンジもあります。独立したファーストクラスラウンジを他国に設置する例は珍しく、QF の特色です。以上のラウンジは当該キャビン利用客に加え、ワンワールドの会員資格でも利用できます。
国際線用に加え、QF は数多くの国内線ラウンジを運営しています。
Adelaide The Qantas Club
Alice Springs The Qantas Club
Brisbane The Qantas Club
Domestic Business Lounge
Broome Regional Lounge
Cairns The Qantas Club
Canberra The Qantas Club
Domestic Business Lounge
Coffs Harbour Regional Lounge
Darwin The Qantas Club
Devonport Regional Lounge
Emerald Regional Lounge
Gladstone Regional Lounge
Gold Coast The Qantas Club
Hobart The Qantas Club
Kalgoorlie Regional Lounge
Karratha Regional Lounge
Launceston Regional Lounge
Mackay Regional Lounge
Melbourne The Qantas Club
Domestic Business Lounge
Perth The Qantas Club (T4)
Domestic Business Lounge (T4)
Port Hedland Regional Lounge
Rockhampton Regional Lounge
Sydney The Qantas Club (T3)
Domestic Business Lounge (T3)
Tamworth Regional Lounge
Townsville The Qantas Club
The Qantas Club, Domestic Business Lounge, Regional Lounge と 3つのタイプを使い分けており、Brisbane, Canberra, Melbourne, Perth, Sydney にはそれぞれ The Qantas Club と Domestic Business Lounge の２つのラウンジが設けられています。
以上のデータを見ると、QF は数の上でも、サービス展開の上でも CX を凌ぎます。
なお QF のファーストクラスラウンジは名ばかりの存在ではありません。内装やインテリアはしっかりしており、給仕がいることが基本です。ワンワールドエメラルド会員資格の利用価値が高くなる空間と時間です。
比べるのは気の毒だけれど JAL
JAL の国内線ラウンジはサービス内容が貧弱ですが、設置は平凡なレベル。国内の国際線ラウンジは HND, NRT にサクララウンジとファーストクラスラウンジ、KIX, NGO にサクララウンジのみ設置。海外の国際線ラウンジは FRA, BKK, MNL, HNL にサクララウンジがあるだけ。FRA は一応ファーストもありますが、実質は何？というレベル。
CX や QF と比べると、JAL は路線網の割にラウンジ整備が相当貧弱な印象を受けます。これは JAL が酷いのではなく、CX と QF が凄いのです。特に QF は相当なもの。オーストラリア、ニュージーランド渡航で QF の優位性は揺るぎません。
