世界には不思議な空港があり、例えばここ、EuroAirport Basel-Mulhouse-Freiburg(ユーロ空港バーゼル・ミュールーズ・フライブルグ)は、IATAコードを3つ持ちます。EAPとBSL, MLHです。3つのコードの関係は、EAP = BSL + MLHです。
この空港は、フランス、スイス、ドイツ三国の国境付近(ただしフランス領土内)にあり、国境近くの三都市の空港として存在してます。 EUの時代、平和と協調の象徴のようですが、主たる受益者はBaselとMulhouseです。とにかくこの空港から出発します。
この空港、Baselに非常に近く、Basel SBB駅からバスで15分ぐらいです。料金も4€弱(4 CHF強)に抑えられています。バスは10分おきに運行されています。スイスは日本人に人気が高い旅行地ですが、この空港からスイスに入るのは楽ちんです。ここへは、CDG, AMS, FRA, ISTからAF, KL, LH, TKで飛べるので、日本から行くのは難しくありません。
バスはスイス域に到着しましたが、パリへ向けて出発なので、フランス域へ向かいます。スイス域にもフランス域にもそれぞれ本屋とパン屋が1軒ずつあります。
地上職員の親切さ加減が尋常ではありません。これはこの空港の置かれた立場と無関係でないでしょう。それから空港ではかなり珍しい光景ですが、チェックインホールでAir Franceへの抗議運動を行っていました。
"Air France, assassin !"(refrain)動物愛護系は明らかなものの、背景がわからないと、主張が理解できません。
しかし空港でこのような運動ができること自体、驚くべきことではないでしょうか。一瞬で排除されるのが国際的な常識です。ちなみに文句を言う相手はAir Franceですが、独仏英3言語で抗議活動を行なっていました。横断幕は独仏語です。スイスではこの3つの言葉を話す人は多いのですが、英語以外はアクセントが強いのが特徴です。独は標準ドイツ語のことです。良く知られているように、日常使われるSchweizerdeutschはアレマン語。別言語ですから、「ドイツ語圏」スイスに生を受けると相当な確率でquadrilingueになれます。生活のために必要とはいえ、学習時間も半端ではありません。
おおざっぱなファストレーンがありました。少なくとも私が通った時は、このレーンも「一般」レーンも空でした。
セキュリティの職員も、Air Franceの地上職員も異常にフレンドリーです。
機材はATR-72。プレペラ機です。
機体と地面の距離が小さいことが、思った以上にこの機材の印象を特徴づけます。ターミナルから徒歩で機体に向かい、外部階段の設置なしに直接乗り込みます。
非常口は前後合わせて4つありますが、階段はこのドアにだけ付いています。非常時に膨らむ滑り台はありません。機体から直接飛び降ります。しかし1 m以上ありそうです。
内部は2-2の配列。皮張の全74席、総エコノミーです。頭上の収納スペースが小さいので、機内持ち込み荷物は、ゲートでチェックされ、機内の荷物スペース(操縦室とキャビンの間)へ入れられます。
Air France便として予約できる便が、HOP!の運航、乗務員の一部と機体はAirlinaireの所属です。整備はわかりません。ケータリングはAir FranceとHOP!のようです。
着水した場合は前からしか出られません。しかも自力で泳ぎます。海洋上を飛行しないなら問題ありません。
機内サービスは飲料とスナックです。スナックは砂糖味か塩味かの選択です。Air Franceの長距離国際線用のワイン、缶ビールも積んでいますが、昼間なので選ぶ人はほとんどいません。私の選んだものです。
順調に飛行を続けます。
最高速度550 kmと遅いので、スナックと飲料の配給、ごみ回収の後でも時間があり、キャンディーを配っていました。客室は2人体制ですが、搭乗率60%ぐらいですから楽勝です。
降下がはじまります。ジェット機の場合と同じで、電子機器の電源を切るよう指示があります。Orlyに到着です。もちろん機体から地上へ歩いております。
ターミナルビルのすぐ近くに着きましたが、搭乗客はボーディングブリッジに付帯する階段を登ります。
沖止めでバスで運ばれるわけでもなく、直接ターミナルビルへ歩いていくパターンです。晴れているからよいものの、雨だったら濡れることは覚悟しないといけません。田舎の空港のようですが、ここはパリ、ORY空港です。
Terminal Ouest, Hall 1の20番ゲート(20A~20L)は、チェックインホールを上から眺める通路を通らないと外に出られませんが、途中にこんな「鉢植え」がありました。野菜の種を外国に持って行って育てると、時として似ても似つかぬモノになるそうですが、そんなことを連想させます。