ドイツ民族統合という「歴史的大事業」は、すっかり頓挫しましたが、その中心にふさわしい都となるはずだったBerlin。あくまでも「はずだった」ため、いろいろと「相応しくない」ものがありますが、その際たるものが空の玄関、Flughafen Tegel。設備の貧弱ぶりに、目を見張ります。
中心となる建物がターミナルA。これは正六角形という珍しい建物。内側はタクシーと一般車の周回コースで、さらに内側に駐車場があります。外側はゲートで14並びます。
一直線だったら長すぎるターミナルを折り曲げただけです。旅客が使う実質面積は、非常に狭いヘキサゴン。
正六角形の一辺は周回道の出入り口(地上階)とバス乗り場(1階)になります。ゲートはありません。この部分は建物を増築したらしく、商業施設や共通施設が集中しています。
レストラン2店(バーガーキング1店を含む)、銀行、5店ぐらいの物品販売店、航空会社ラウンジなどはこの辺にあります。
レストランと言っても、ベルリンのチョコレート屋(=Chocolatierと言う方が格好良い?)Leysieffer。別に美味いとは言えませんが、パスタなどで、ドイツらしい「外し加減」が面白いのでついつい寄ってしまいます。
LufthansaのWorldShopもあります。
それどころか、LHはファーストクラスチェックインカウンターも持っています。
テントのようなものですが、さすがに首都空港なのでLHは意識せざる得ないようです。
出発と到着で階を分けるようなことはありません。誰でも中に入って周回散歩することができます。タクシー周回道の入口は六角形の頂点にあり、運がよければ、車を降りた時、目と鼻の先に自分が使う便のチェックインカウンターがあります。
一方、バス乗り場の地区以外、建物の中にはほとんど何もありません。パンを売るスタンド、ATM、航空会社のチケットカウンター、トイレぐらいです。座る場所もあまりありません。
制限エリアは各ゲート毎にあり、チェックインカウンターの左右に入口があります。通常片方しか使いません。出国が必要な場合、セキュリティチェック後、出国カウンターが設けられています。仮設のチケット売場のような趣です。
運がよければ中にパンを売るスタンドや免税店がありますが、普通は椅子だけです。しかもスペースが限られるので、出発時間が迫らないと通してくれません。出国するとトイレもない可能性があります。
早く入ろうとすると、セキュリティチェックで理由を告げられず拒否されますが、あわてなくても大丈夫。しばらくしてから来れば良い話です。
もっと酷いのがAFの出発するターミナルD。ターミナルAと接続しているように描かれてありますが、屋根があるだけの屋外の通路でつながっています。列車を改造したソーセージスタンドがあります。名物のBerliner Currywurstが試せます。その左側に分かれ道がありますが、右側の通路がターミナルD。左側の階段・エスカレーターは地上階に出ます。レンタカーなどがあります。
いかにも金の掛かっていない安普請に見えますが、事実ここはLCC用ターミナル以外の何者でもありません。Germanwingsがもっとも良い位置を占めています。
ターミナル入口はチェックインカウンターが並び、手前半分がGermanwingsで、欧州のレガシーキャリアが奥半分です。その先にセキュリティレーンや出国手続カウンターがありますが、入ると小さな免税店1店、パンを売るスタンドが2店あるのみ。座席は立って待つ必要がない程度にあります。床に座っている人もいます。
ターミナルと搭乗機の間は、多くの場合、徒歩です。搭乗ブリッジもなし、バスもなしが普通。預入荷物と旅客の入口が違うことが目で見て分かるという、1960年代の飛行場が体験できます。
Air FranceとBritish Airwaysのラウンジは、ともにターミナルAにあります。スターバックスのすぐ近くにあります。右に行けばスタバ、左に行けばBAラウンジ、上に行けばAFラウンジです。
他にターミナルAから少し歩いたところにターミナルCがあります。
ここも小さな免税店1店を除くと、パン屋が3店、ビールを飲める「バー」が1店、雑誌販売のrelayが2店あるのみ。
とにかくこの空港、時間をつぶすところがほとんどありません。シャワーがない空港として有名です。ラウンジあるだけましで、AF, BAの他、LH が1つ持ちます。すべてランドサイドです。AFがトリプルデイリー以上の国際線を持つのに、ラウンジが他のターミナルにしかないなんて、ありえません。ABのラウンジはなくなり、AFのラウンジを使うようになったようです。oneworldから距離をとりたがっているのでしょうね。airberlin。そんなことより、ここは本拠地だったはずですが、どうしちゃったのでしょう。
空港の営業時間は朝3:30から最終便出発まで。24時間開いている店はありません。内部で夜明かしすることは可能ですが、長椅子のようなものはなく、ケータイにチャージすることすらできません。
Berlinは言うまでもなくドイツの首都。しかも350万人の人口を擁する一大都市です。信じられないほど貧弱なのは、壁の崩壊以降の都市整備が日本では考えられないほどゆっくりしているからです。
Berlinは東京と同じように、全周30kmほどの鉄道環状線がありますが、この空港はその環状線の最寄り駅から3 kmしか離れていません。地下鉄の駅だとJakob-Kaiser-Platzがもっとも近く2 kmぐらいです。バスが高頻度で出ており、バスだけ、あるいは1回の乗り換えでベルリンのいろいろな場所にたどり着けます。
天王洲あたりに羽田空港があることを想像すると良いと思います。人口350万人の都市の空港としては、便利この上ないのです。空港も利用に慣れると、設備の貧弱さは気にならなくなり、利便性が捨てがたくなります。
現在建設中のBerlin Brandenburg空港が出来ると、Tegelは廃港予定です。幸い工事は遅れに遅れています。個人的にはBERが永遠に未完成であって欲しいと思います。
なお長距離便は、Abu Dhabi(AB), Doha(QR), Baghdad(IA), NY-Newark(UA)ぐらいです。東京からの直行便があった時代もありました。現在、airberlinがコードシェアの形で成田に就航しています。このAB4059便は運航会社がEtihadです。つまりAbu Dhabi乗継で成田からTXLまで行けます。
しかし東京からBerlinに行くのに一番便利なのは、今はフィンエアでしょう。
往路
AY74: NRT11:00発 HEL15:20着
AY917: HEL17:00発 TXL17:55着
復路
AY912: TXL12:10発 HEL15:00着
AY73: HEL17:15発 NRT 8:55(+1)着
HELではTerminal 2で接続、毎日運航です。