ナーローボディのA320。往路の体験から、恐れるに足らずと気楽に搭乗。さらにキャビンに入って、良い意味でびっくり。新ビジネスクラスでした。
2-2で3列、12席のコンフィグレーションは一緒ですが、シートピッチはおそらく30%ぐらい広くなっています。IFEの個人画面ももちろんあります。大型と言って良いでしょう。
もちろんシートは、フルフラットになります。窓側から通路に出る時は、隣席がそれなりに問題になりますが、B787の逆ヘリンボーン全席通路型を一回り小さくした感じのシート。物入れやコントローラー、照明の配置に共通した設計思想を感じます。
意外と便利だった画面下の小さな棚。左手は前席背面のふくらみですが、下方には靴入れスペースがあります。26 cm程度の靴には、奥行きは十分。
窓側肩高に小さな物置。搭乗時はヘッドホンと水が置いてありますが、ここも重宝します。USBや音声のコネクターはここにあります。機能的な配置。
シートの幅はそれほどでもありませんが、120 kgを越えるような体格でない限り、問題になることは無いでしょう。ナーローボディ特有の天井の低さもメリットになります。照明や送風口にすぐ手が届きますから。
本日は空いていたのか、幸い隣席は空き席。とても快適なナーローボディ機の旅でした。フルフラットの新シート、隣は空きだと、ワイドボディ機と変わることはありません。むしろコンパクトにまとまっている点で楽々。
QRが指摘されたくないことを暴露します。この機材のビジネスのシート数は12で旧型と同じ。すると旧型よりエコノミーが2列12席ぐらい少ないはず。flightradar24で調べてみたら、旧型の機材は、あまりこの路線には使われないようでした。とすると、エコノミーが満席の場合、席数が多い旧型A320が運航され、エコノミーが空いていると席数が少ない新型A320になるはずです。エコノミーが人気がある便だとビジネスが窮屈になります。つまりビジネスクラス搭乗客の快適性は、エコノミークラスの予約次第。結局、
エコノミークラスの客扱い < ビジネスクラスの客扱い << 会社の利益
という優先度が見えてきます。世界一のビジネスクラスと言えども、「経営はサービスに優先する」ことがバレてしまいました。悲しいニュース。
窮屈でも余裕でも Safety Instruction は同じ。
ウエルカムドリンクは、オレンジジュースにしました。これを搾りたてのフレッシュジュースにできたら、もうカタール航空の悪口は言いません。
メニューは夕飯版。
C'est parti ! この風景は平凡だけれど、見慣れると郷愁を抱きそうです。危険な風景。
機内の給食サービスはいつも同じスタート。温めたナッツ類とドリンク。客も飽きるでしょうが、乗務員はもっと飽きています。
白ワインはChablisにしました。Larocheの1 er Cru。バランスが取れていて機内向け。複数畑のブレンドの良さが出ている一方、Chablisらしい酸の固さや線の細さもはっきりしています。Qatarの良いチョイス。
こんなに気取った皿を amuse-gueule と言ってはいけません。パンはまずまず良好。
皿、ボールなどは相変わらず鳴海製。鳴海にしては、それほど丁寧な仕上がりに見えません。大量生産をどこで行ったことか。
まず外れがないスープ。安定感といい、メニューの中でも存在感と言い、QR の機内食で唯一文句が出にくい存在。
L'entrée のスモークサーモン。オリーブオイルは不要ではないかと思います。鮭の脂、マヨネーズの油と異種の油脂が重なり過ぎ。こういうところが Qatar クオリティ。
一方、この皿ならいろいろな白ワインに合わせられます。これは美点。
鶏むね肉を頼んだはずが、出てきたのは歯ごたえがあるビーフフィレ。horseradish jusって何?というところですが、jus de raifort を一般的に使うのかどうかよく知りません。
これは腹にたまる英米系ぎゅう。ソースが冴えないので、鶏むね肉のために用意してもらった moutarde de Dijon をそのまま使いました。
注文を間違えるとは、Qatar らしからぬことです。担当はすぐ気が付いたようですが、面倒くさいのでそのままにしてもらいました。ただし Médoc を追加してもらいました。しょせん呑んべいですから。
あまり有名なワインではありませんが、機内用としては秀逸。
沈みゆく太陽を見ながらの夕食。
チーズはいつもの通り、熟成に無頓着。気にするほどではありません。生野菜スティックが良い具合なのもいつもどおり。
片付けられた頃、旅は40%ぐらい完了。この先は絶対迂回するので、この地図の点線より、航路は東側に膨らむはず。
その後はお茶をもらったぐらい。
コーヒーもまずまず悪くないのですが、気分は茶。BA, QFと並ぶ、お茶系航空会社。
窓の外を見てみると、いつの間にか湾岸に出ています。
地図の上で確認すると、確かに窓の外はペルシャ湾対岸であることが分かります。
トルコ上空からイラン上空に抜けたのも予想通り。国交断絶の影響を受けています。プラハよりもっと西のパリやロンドンだと、迂回の程度はもっと大きく、ハルツームでは、壊滅的に飛行距離が伸びているはずです。DOH-KRT間では、よく路線を維持しています。
そういうアラブ周辺諸国による制裁なんて、一言も出てこない機内。フライトマップが不自然な経路を取っていること以外に、それを感じることはありません。
平和に FC Bayern のスポンサーシップなんかを宣伝しています。
ほぼ時間通りの到着。ターミナルへはバスが基本のA320。
夏の昼間以外でなければ、大した問題にはなりません。雨があまり降らないお土地柄ですし。
これでも実は深夜。乗継の成田行き QR806 は 3:20 am発と、この空港らしい出発時間。 こんな時間なら空港自体が空いているので、ラウンジも安心して使えます。
飲み食いは一切なし。ビーフフィレが相当効いています。