PECHEDENFERのブログ

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スターアライアンスのクレジットカード

 

スターアライアンスがアライアンス共通のクレジットカードを発行するそうですね。一つのカードアカウントのポイントが、加盟会社26社のマイルに変換できるようになるとのこと。これだけ聞くと大胆な感じがします。

Star Alliance to introduce co-branded credit card, non-air partner | Reuters UK

しかし同時に興奮するほどではないとも思いました。

 

レート

直前の記事にも実例を示しましたが、ポイントは広い範囲で使え、有効期限が長いほど、使用時の現金相当額は低くなります。専門ではないので詳細は知りませんが、これは金融の法則のようです。今回の商品は、スターアライアンスのあらゆるプログラムで利用可能ということですから、広範囲で利用できます。この点でマイル/ポイントのレートは悪くなります。

 次に各プログラムはすでに提携クレジットカードを収益の柱としています。この部分を侵すことはできません。スターアライアンス共通カードができても、ANA のマイルへの変換は、ANA のクレカより不利になるはずです。

 実際には、加盟各社がマイル/ポイントのレートを指定できるようになると思います。クレカの獲得ポイントは発行国に関わらず、例えば 1 USD あたり 1 point などと共通化できるかもしれません。しかしそこからの変換レートは各社バラバラ、勝手に変更可能となることでしょう。付き合いにくいポイントプログラムになりそうです。

 

基本に戻れば、お得なカードにはならないはずです。

 

キャンペーンに可能性

しかしながら加盟会社が世界中に存在し、圧倒的な多様性があります。魅力的な商品を開発できる余地が大きいのです。普通に利用する分にはケチでも、世界一周航空券購入でポイント2倍だとか、このクレカで支払って搭乗すると、国際線20フライトごとに1回アップグレードできるとか、一年間に10社の航空券を 10,000 USD 以上このクレカで有償発券、搭乗したら、50,000 マイル相当のボーナスポイントとか、魅力的に見せるキャンペーンはいくらでも打てます。

 ポイントからマイルへの変換レートでも、時間を限ったキャンペーンがありそうです。この辺には大いに期待したいところです。

 

国によるレートの違い

アメックスのレートは、ポイントプログラム開始以来100円利用=1マイルでしたが、少し前に 0.8 マイルになりました。一般にクレジットカード利用によるマイルの獲得では、変換レートが国の金利や債券の信頼性、経済成長率などに依存するようです。一般に先進国では低レートになります。

 

注意すべきことは、マイル/ポイントのレートは通貨ではなく、国に依存することです。エーゲ航空のクレジットカードはギリシャ向けとキプロス向けと2種類あり、ギリシャ向けは、Alpha Bank が扱っています。VISAだけです。カードのランクによってマイルの積算率が異なり、1€ の一般利用で 2~5 マイル獲得できます。

年会費は、左から20, 40, 80 €です。10,000 €利用+80€年会費で 50,000 マイル獲得できるわけですから、ギリシャに銀行口座が欲しくなります。

 

キプロス向けは Bank of Cyprus が扱う master cardです。こちらは 2€利用で1マイル獲得。ギリシャのクレカの 10~25% にしかなりません。西欧の会費が安いクレジットカードでも、2€利用で 1マイルという理解でだいたい良いと思います。ドイツやフランスに口座を持っていてもあまり得なことはありません。

 

発行国や競合相手

スターアライアンスの共通クレジットカードは、特殊な事情がない限り加盟会社の地元で発行することを考えているはずです。意外と早いうちに日本でも発行されることでしょう。ただ国ごとに規制が随分違う業界なようで、不平等感が出て来ないものか少々気になります。

 現在のところ有力なライバルは、マリオットボンボイ提携クレジットカードでしょう。スターアライアンスは年会費や会員特典を検討するにあたって、意識せざる得ないと思います。

 

膨大な数の SFC を擁する日本人としては、スターアライアンスゴールドが付与された高額カードの出現は気になることでしょう。会員資格そのものが付帯することはないと思いますが、空港ラウンジ利用、手荷物預入れ、機内販売、イレギュラー発生時の対応、当日アップグレードなどにおいて、年会費に応じた優待が期待できます。アライアンス全体で有効なら、まずまず魅力的。ボンボイというライバルを考えるとこういう方向へのサービス展開は不可欠だと思います。

 

ということで、要注目の大型商品。

 もっともコロナが原因で SFC を解約した会員が多かったのか、今年 ANA は PP を大判振る舞いしています。国内線はいい加減需要が回復しているのに、搭乗1回当たり 1,000 PP 得られます。ここまでのチャンスは今後そうそうないでしょう。スターアライアンスのクレカが SFC ほどの特典を付与するのは難しそうなことを考えると、新しいクレカを待つより、SFC 修行に走った方が良さそうな気がします。