PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

真ん中席(その2)

 

エコノミークラスの真ん中席をめぐるお話を続けます。

 

会員特典の隣席ブロックに関する注意

チェックイン作業における隣席ブロックを上級会員の特典として航空会社が提供したとしても、これを謳うことはありません。おそらく大きな理由は、客室現場でシート再割付けを制限するからでしょう。搭乗客が揃わない限り、問題の存在が分からないことはよくあります。現場の自由度が小さいとフライト中リスクを抱えたままだったり、出発直前に降機させられる客が出たりします。

 そのため上級会員に起きる問題があります。チェックイン完了時に隣席が空けられていても、その後に別の客が移動してくることです。客室乗務員は条件が満たされるなら制止しません。隣席ブロックの有無は不明なはずなので、客の要求を満たすことが優先されます。したがって真ん中席が空いていても、

(1) さらに一つ先の席も空いている場合

(2) 空席のさらに一つ先の席の客が、同行者と席が離れてしまった場合

は隣席に人が移動してくる可能性が極めて高くなります。地上係員が気を利かさないと (2) が起きるので、要注意です。

 

隣の空席を確認した後、別の客が移動する前にそのシートに水をこぼすなどという姑息な手段もありますが、これは止めましょう。故意に清掃・整備が必要な状態にする行為は違法になりえます。

 

一番良いのは知り合いと共に移動、その人に隣席(=真ん中席)の一つ先のシートを指定させることでしょう。その真ん中席へ移動することにより状況が良くなる客はほとんどいないので、空席のままになる可能性が高くなります。

 ただ協力させる知り合いが家族や親しい人だったりすると、真ん中席を空けて席指定すること自体がマナー違反*になりうる点は要注意です。中央の人の頭ごなしに会話したり、モノを受け渡したりするのは明らかにマナー違反で、こうした行動に陥りやすいことも指摘しておきます。

*:極端な場合を想像すれば理解しやすいと思います。例えば 8人の親族で移動し、3-3-3シート配列の機内、窓側の島で真ん中席 J を空け、通路側 H、窓側 K を連続4列指定するのは周囲の反感を買います。

 

するとこの協力を依頼する同行者は、移動中会話をしなくてよい同僚あたりが無難でしょう。その同行者の会員ランクはおそらく問題になりません。エメラルド会員に接するのが片側か両側かという違いは、プログラムでは区別しないと思います。

 

太り続ける人類と真ん中席

人類は太り続けています。個人の体重が増えるとともに、肥満の割合も増え続けています。航空機の座席への着席が不適当になる割合は増大する一方なのに、航空会社の対応はあまりに鈍いのが実情です。

 

はっきり申し上げます。一番の問題は太る個人よりも無策な航空会社です。漫然と体重過多になる個人が良いとは言えませんが、現状に対応した仕組みを作るべきだと思います。

 長距離便エコノミークラスで真ん中席がアサインされ、両側が175 cm 180 kg などという余裕のクラス3肥満体だったら悲惨なことは容易に想像がつきます。航空会社は(販売時に了解ができている)本来提供する空間を提供せず、苦痛をもたらすことになります。

 

体型データや両側の客の関係(知り合いか偶然か)は述べられていませんが、3時間のフライトで肥満体に両隣を挟まれた真ん中席の搭乗客がアメリカン航空から$150 の補償を勝ち取ったと Mirror が報道しています。

Woman who was 'sandwiched between two obese people' on a flight gets compensation - World News - Mirror Online

両側の客の関係が不明と書きましたが、これには理由があります。肥満ペアは、真ん中席を空けて二人で通路側席を指定することが多いのです。その真ん中席をアサインされた客は、確実に席の移動を希望するという作戦です。図々しいと言うより迷惑なのですが、これは可能であり、肥満ペアは隣り合っては席に収まりきらないので、この選択を行う事情があります。

 もちろん航空会社は客の健康などお構いなしにフライトを満席にしたいので、Mirror が報道したような真ん中席の悲劇が起きます。

 

同じ状況が原因で、問題を起した肥満客に悪態をつく客がビデオ撮りされ、公開されたという出来事も昔ありました。この時はユナイテッド航空の (北米) 大陸横断フライトで、二人の肥満はパートナーとのことです。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-6642561/Rude-flyer-meltdown-United-Airlines-flight-sitting-middle-seat-big-passengers.html

悪態をつくのは問題ですが、空間を不当に占拠するように見える肥満に対して、反感を覚えることも自然です。トラブルが多いのは当然なので、航空当局は予防に動くべきなのです。

 

前の話に戻りますが、こういう社会問題が存在するので、真ん中席を空けて席指定するカップルには肥満とは関係なく胡散臭さが付きまといます。JAL 機内で何回か見かけることがありましたが、目にすると「何だかちょっと変」という気分になります。