4月1日以降、British Airways は搭乗実績の評価が厳しくなり (= Tier Points 獲得が困難になり)、それ以前は種類、運航頻度、価格で大変優れていた JAL 国内線クラス J も HND-OKA を残すと、ほとんど役立たなくなります。確かにこの路線&キャビンの組合せは、新しい The BA Club でも Tier Points 獲得で世界有数のスイートスポット。しかしゴールド会員になる搭乗を JAL マイレージバンクにつければ、JAL 最高位、メタル会員の基準を突破します。JAL利用時の BA ゴールド会員の扱いはせいぜい JGP 会員並みなので、メタル会員の2ランク下。しかも搭乗のほとんどが JAL になるのでは、BA プログラムの利用は全く不合理。
エリート会員制度については、八方塞の BA。新規入会者は、3月までとは価値観が違う客層になります。そして現在の Executive Club 会員の多くは 4月以降 BA の会員を続ける理由を失うはずです。
ただ「Lifetime Gold」資格を目指していた BA 会員は、他プログラムへの移籍を躊躇するかもしれません。Gold 会員はワンワールドという「広い」世界で最上位のエメラルド会員になるからです。日本では BA はどうでもよく、エメラルド資格にしか関心がない、不届きな会員が大勢いたはずです。
あと少しで成就が見込めれば、非常に不利な条件下でも The British Airways Club 会員として搭乗し続ければ良いし、ゴールが遠ければ、実質が得られる別法を探す方が良いとなります。話は簡単ですが、問題は閾値の目安が見つからないことでしょう。そこで本記事では、判断材料になりそうなシミュレーションを行ってみました。
議論の出発点に設定する基本的な問いは
「Lifetime Gold」の Lifetime の実質は何年か?
です。自分の余命を挙げる人は世の中に無頓着すぎます。昨今の世界では10年で個人や社会の価値観が移ろい、顧客サービスは構造的に進化を遂げます。20年では個人も社会も価値が激変します。エメラルド会員なんて話題から消える可能性が高いのです。それに加えて社会の価値観の推移から遅れる人間はセンスが古く見えるリスクも忘れてはなりません。あまり長い期間を考える必要はないのです。
したがって 4月 1日の時点で、当初目標達成に必要な残りの Lifetime Tier Points をたたき出す搭乗を他社プログラムに登録し、十分な年月エメラルド会員を保てるなら、そのプログラムへの移籍は十分合理的です。
ow の全プログラムを比較すれば Royal Club
とにかくエメラルド会員というなら、Royal Jordanian が提供する Royal Club の数字が最も強力。このプログラムは、すでに軽く記事にしています。最初に議論を進めるために必要な特徴を再掲し、判断の根拠を追加します。
おさらい
このブログの立場としては、
プログラムの記述で分からないことは、利用する気になって利用しないと分からない
です。利用すると想定外の問題が起きます。体験以外は推論でしかありません。事前調査はどこまで行えばよいのか、線引きはできません。実際に少し使ってみて、自分に合うかどうか判断することは決定的に重要です。使い続けるには感覚で判断する要素が多く、それは個人によって異なります。人の言うことを参考にする時に気をつけるべき点は、憶測でプログラムの欠点を語る人はほとんどいない事です。
[1] JAL国内線では、I, A, Y, F が加算対象
BA.com を見ると、これらの予約クラスは順に
格安ビジネス、格安エコノミー、エコノミー flexible、ファーストflexible
です。そして私を含めた多く BA 会員の体験から、これらの予約クラスについて一般的に以下のことが分かっています。
・I はセイバー料金を含む格安クラス J
・A はセイバー料金を含む格安普通席であり、プロモ料金の普通席は加算対象外
・当日アップグレードは搭乗キャビンクラスで記録
・JTA 運航でも区別なし
JAL がワンワールド内で会社別に異なるシグナルを送る理由はないので、Royal Club でも同じことが起こるという推定は合理的です。注意すべきは格安ファーストの E が BAでは加算対象で、Royal Club では言及がない点です。加算対象外かもしれませんし、単に表から漏れただけかもしれません。搭乗してみないと分かりません (し、システムが弱ければあらざるべき変動が起きるかもしれません)。
[2] Royal Club には搭乗回数基準がある
フライト数 (segments) をもとに各会員ティアに到達するためには、
Silver Jay: 14、Gold Sparrow:30、Platinum Hawk: 46
が12か月以内に要求される搭乗回数です。更新の場合は
Silver Jay: 12、Gold Sparrow:26、Platinum Hawk: 40 (正確には 2年間で80)
です。Royal Club の記述を読む限り、Tier Points が獲得できるフライトが対象であり、RJ か否か、国際線か否かは問われていません。Flyer Talk でも回数基準でRoyal Clubの資格を更新する人間が「スペイン国内線が安い」と言っているポストが見つかりました。IB と JL の国内線で差をつける理由はなく、予約クラス I, A, Y, F の JAL 国内線が回数の対象外とする理由も見つかりません。
さて [1]、[2] から、年間46回 (獲得の場合) または 40回 (更新の場合) の JAL 国内線利用でエメラルド会員になると判断できる Royal Club。往復セイバー料金で容易に片道 5,000円台の料金が見つかります。40フライトなら年間 20〜24万円。JAL 回数修行僧がこよなく愛する路線が利用でき、彼らと同じ方法が使えます。日本語でノウハウがあふれています。その点でも容易なのです。
Executive Club に裏切られた気分の会員に捧げる simulation
今まで JAL の短距離国内線で搭乗を重ね、楽してきた Executive Club 会員にとって、HND-OKA の格安クラス J は 4月 1日以降「Lifetime Gold」に近づくほぼ唯一の命綱。居住地、生活パターン、運航頻度、格安航空券の販売量から間違いないところです。
そこで「Lifetime Gold」の不足分を 4月以降 HND-OKA 格安クラス J で獲得する決心をした人が、仮にこれを回数修行として Royal Club につけた場合、エメラルド会員を何年間続けられるかシミュレートしてみました。

横軸は 3月31日時点での Executive Club Lifetime Tier Points です。縦軸は「Lifetime Gold」への不足 Tier Points を HND-OKA クラス J の反復で獲得するところを Royal Club に登録した場合、RJ でエメラルド会員でいられる年数です。
30,000 TP 達成者だと 7年ほど、25,000 TP 達成者だと 16年ほど Royal Club のエメラルド会員を続けられます。
この数値シミュレーションは Royal Club の容易さを過小評価しています。横軸では搭乗を HND-OKA の格安クラス J に限定、縦軸はその回数から計算されますが、Executive Club 時代に Gold や GGL を安く更新したクラスJ路線と比べて、HND-OKA の格安クラス J は費用も手間も 3倍ほど必要です。RJ ではそれら短距離路線も有効なので、縦軸は 3倍で評価する方が実際の感覚に近づきます。
さらに Royal Club では普通席でよく、路線も JAL どころかワンワールドのほとんど全てが対象。自由度が 1 と ∞ ほども違います。RJ は精神的にずいぶん楽なのです。これを勘案すると 3倍でも明らかに控えめ。4 ~ 5倍が妥当という気がしますが、数値化しにくい部分を弱い根拠でシミュレーションに取り入れるのはやめます。
費用、手間で補正すると下記のプロットになります。縦軸を 3倍しただけです。Tier Points の大きい領域では 1年を超える部分が増大、直線部が拡大します。

価値観の推移、プログラムのパラダイムシフト等により 10年で時代が変わるとするなら、3月末に Lifetime Tier Points が 32,500 以下の会員は、4月からRoyal Club を利用する方が合理的になります。20年も同じ状態で停滞する人間は珍しいと思いますが、そこまで必要期間を拡大しても 31,000 を切る会員は Royal Club に切り替える方が良いという結果。
これらのシミュレーションは、4月1日時点での制度を下敷に行っており、プログラムに変更があると結果は根本から覆されます。RJ も BA も 20年間プログラムが不変ということは考えにくいこと。BA の「Lifetime Gold」の導入は 2013年9月だったことを思い出しましょう。一方 RJ は 2018年 9月にプログラムを大改訂して今の姿になりました。
議論の補足
(1) 2番目のグラフの補足になりますが、3月31日の Lifetime Tier Points が 22,500 を下回るようだと、残りは HND-OKA クラス J が 800 回以上、対象フライトが自由なら費用、手間を補正して対応する数は 2,400 回を超えます。国内線 2,400 回は JAL Life Status で 6星基準の 12,000 points をゼロから達成、永年ダイヤモンド会員へのマジックナンバー。(この場合はプロモ料金も OK。) 選択肢はさらに増えます。
(2) 承認欲求が人一倍強く、「(永久) エメラルド資格を所持する自分」に拘泥するケースもありそうです。その場合に上のシミュレーションが役立つかどうか、一概には言えません。以上の議論は、
航空会社のステータスなんて、人となりを表すものではないのは当然で、会員特典が享受できることに価値がある
場合、妥当になりえます。