PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

千葉ははるかに広いのですが...

ちょっと書いた地名に予想外の反応

市町村より細かい地名はよそ者には難しくても、居住者なら日常語彙。とはいえ、先日記事の中で何気なく並べた地名に、意外な方が共鳴を起こしたので驚きました。アイスの求道者のようなこの方が大阪・名古屋の文化二刀流であることは存じておりましたが、界隈で勢力を保つ千葉の民でもあったという衝撃の事実。エイプリルフールかと思いました。

戯言ばかりのブログですが、引き出しが多い方が読んでおられ、気が抜けません。

 

たった一行、しかも修辞に使っただけなのに「そこに来るか」という気もしますが、もう一つの応答がさんだーばーどさんからのコメント。こちらはある意味で納得できます。近くの地名ですから...。

 

考えてみれば一般に...

バイアスをかけて観察すると気づきますが、明治維新以前の村や郷は意外なほど住民の意識に残っています。代々住んでいなくても、何十年か居ると自然と継承者になるようです。

 記事であげた国府台、行徳、中山、八幡は全て徳川時代からの地名。あるいはさらに時を遡ります。集落があり、長い間それらの名前で相互に呼んでいたはずなのです。それが現在でも残り、地域を区別し、土地柄を意識させます。もちろん土地柄は時代と共に変わりますが、地域の変貌には住民総体の意識が常に作用するので、永続する土着の「何か」のために現在の地域性が存在することには変わりありません。

 例えば、塩焼、本塩、塩浜と塩がつく地名が目立つ行徳。こうした地名が愛される理由は、かつて塩田地だった自負が今でも強いこと以外に説明は困難。しかも塩浜は埋立て地。つまり最近造った土地なのです。

 

外から見た場合、鉄道駅があれば名前は分かりますが、周辺住民にとって地域・地区(面)なのか単なる駅(点)なのかまではなかなか分かりません。ましては地名が運ぶ意識までは想像できません。

 このため地名*、地歴、土着の意識へ理解があると、理性を越えて共感を呼びます。もちろん知っておく方が絶対的に良いのですが、よそ者は常に要注意。

 本当に馴染みがあると隠し通すのは無理なので、じたばたしても仕方ありません。「お里が知れる」というやつです。学習して得た知識というレベルだと、すぐに馬脚を現すので問題になりにくいと思います。厄介なのはその中間。相手は全く無意識にその土地固有の理屈や習慣を「押し付けて」きがちで、困惑することになります。

 

*:高校の略称も同じ効果をもたらします。卒業生でなくても地域住民は略称で呼び、日常的に意識されますから...。例えば四高(しこう)といえば、三重県においては県立四日市高等学校だし、金沢においては今はない第四高等学校。時間も空間も異なる二校ですが、賢い子、勉強ができる子ばかりなことは共通します。

 

またこういう土地の名を使い、地域を悪く言うのは相当なタブー。「千葉県」はある程度記号化、形式化しているのに対して、「行徳」は単なる地名ではありません。文化、歴史を背負っており、心無い悪口は表には出ない嫌悪感を生みます。表現されないだけに、知らぬ間に人は去っていくという悪いパターンに陥りがち。

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羽田は千葉にあらず。

 

貝塚や古墳**もある千葉県の江戸川から東京湾にそった地域は、特に興味を惹きます。近世をみても、葛飾郡利根川/江戸川の大改修に伴い、西側で海に近い箇所が武蔵国編入されます。大雑把に言って現在の足立区、葛飾区、江戸川区墨田区(の向島。本所はほとんど海。)が元下総国。同じ郡だった足跡はどのぐらい残っているのでしょうか。両国橋が国境の橋で、両国は武蔵と下総の二国を指すことはよく知られます。

 

**:こういう有史以前からの遺産は、その自治体の小学校に通っていないとまず知りません。そして引続き居住している卒業生なら、覚えている確率大です。姥山貝塚、曽谷貝塚、堀之内貝塚法皇塚古墳...手っ取り早く仕入れられる知識ですが、ターゲットに近づく時には効果抜群。営業を行う人なら当然知るノウハウ。

 

旅行と無関係とは言えず

こういうレベルになると、旅行の先にある世界です。住んだことがない者には興味がわきにくいし、専門家でもなければ価値の理解は難しいので、形の有無にかかわらず、観光資源としてはイマイチと判定せざる得ないのは残念です。

 ブログネタという観点でも同じです。貝塚や古墳、由緒ありそうな地名の土地(e. g. 欠真間、鬼越)を訪ねても、Pechedenfer の筆では誰も読みません。そんな新東国紀行が書ける能力があったら、SPG アメックスの紹介記事でも書いて、得たポイントを変換、マイルで生活しています

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羽田は千葉にあらず。(その2)

 

元に戻り総括すると、何気なく書いた地名でしたが、土地に対する愛着は想像以上に強いことを教わりました。馴染みがあろうがなかろうが、どんな土地でも敬意を払う必要があります。となると、心がけは旅行者も同じ。レッスンになりました。