PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

オセアニア在住の BA エグゼクティブクラブ会員

FFP(多頻度利用顧客プログラム)は「知っていても役に立たない規則」だらけです。以下に書くことも日本在住の会員にはほとんど役立たない知識です。Five Eyes だとか、aukusだとか、Commonwealth Games だとかを日頃耳にすることが多い人なら、知っていて損はないみたいな事実。

 

オーストラリア、ニュージーランドの住民は2003年、BA エクゼクティブクラブへの入会が閉ざされました。規則が導入された時、該当する地域の会員はカンタスFFP へ誘導されたようです。

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そしてこの居住地に関わる制限は先日、突然廃止されました。

https://www.executivetraveller.com/news/british-airways-ba-executive-club-membership-australia-new-zealand

 

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ルフトハンザとユナイテッドが始めた航空連合は、多国間経済協定に似ています。会員会社が緊密な協力を行い、それぞれの会社が世界中に「路線網を広げる」ことを可能にします。航空連合は顧客囲い込みに効果的である一方、連合内にも客の囲い込みは存在します。連合内での顧客囲い込み競争は、ワンワールド (特に AA, BA, QF, CX間) で顕著、スカイチームは無頓着という気がします。

 BA はワンワールドを立ち上げ(1999年)、カンガルールートはカンタスとの提携を通し、コストカットを目論んだようです。それで自社会員をカンタスに預けるような方策を取ったのでしょう。しかし2013年にカンタスは、BA とのカンガルールート提携を止め、エミレーツとジョイントベンチャーを始めます。それなら2013年にエグゼクティブクラブの制限も廃止したら良かったのにと思いますが、8年もの時差が生じた理由は分かりません。

 

タラレバな話ですが、カンタスとまだ提携が続いていたら、LHR のターミナル 5にはカタール航空の代わりにカンタスが移っていたかも知れません。

 

住民の平均をとれば、どんな国でもその国の航空会社が一番使いやすいはずです。しかし自国の航空会社にピンと来ない跳ねっ返りが多いのもまた事実。オーストラリアにも「絶対 BA がいい!」という住民が大勢います。そういうオージーたちは今までどうしていたかと言うと、エグゼクティブクラブに外国の住所を届けて入会したのです。大抵は親戚や友達の住所だったようです。郵便は保管してもらうようお願いしたのでしょう。

 日本人なら「たかが FFP のために、そこまでやるか」というレベルの悪事ですが、英語文化圏では罪の意識がほとんどないようです。アメリカナイズされた日本人なら、この辺の事情も理解できるかと思います。

 そういう不正も今後不要になります。引っ越し届が何件あるか見ものですね。その数は、決して公表されないでしょう。

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この居住地制限は、エグゼクティブクラブの歴史と重ねてみると、かなり古くからある規則だったことがわかります。

 

1985年 エグゼクティブクラブ発足

1991年 Tier Points の導入。

1998年 FlyerTalk ではその創始年からGold 会員、Premier会員についての記述が現れる。Premier会員は今も昔も招待制。

2003年 オーストラリア、ニュージーランド住民をエグゼクティブクラブから排除。

2007年1月 FlyerTalk にGold Guest List に関する初のスレッド。この時はまだ招待制。

https://www.flyertalk.com/forum/british-airways-executive-club/647347-2007-gold-guest-list.html#post7011770

2009年1月20日の記事では、3,500 TP でGGL会員に招待されるという記述。以前は招待制だったコンコルドルームカードにもこの時には発行基準があり、5,000 TP/年(2021年9月まで同じ)。http://www.airreview.com/BA/Frequent.htm

2009年 6月に GGL会員になるための Tier Points の記述が見られ、連続する 2年間に3,000 TP/年以上の搭乗。(欧州在住の場合、2,500 TP/年?) 多分、継続も同条件。https://www.flyertalk.com/forum/british-airways-executive-club/922232-gold-guest-list-facts.html

2013年 9月 ライフタイムメンバーシップ(Lifetime Gold会員)の導入。

https://loyaltylobby.com/2013/09/10/british-airways-executive-club-introduces-lifetime-gold-status/

2015年1月 GGL会員の基準が変更。3,000 x 2 年は無くなり、単年に 5,000 TPが必要に。継続は 3,000 TP/年。https://www.businesstraveller.com/news/2014/11/27/ba-changes-gold-guest-list-membership-criteria/

https://www.flyertalk.com/forum/23899700-post1.html

2021年 9月20日 コンコルドルームカード廃止。GGL会員はコンコルドルーム利用可能に。https://www.executivetraveller.com/news/british-airways-concorde-room-card-lounge-access

2021年  9月23日 オーストラリア、ニュージーランドの会員復活。

 

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有効には変わりありませんが、無意味になったコンコルドルームカード。すでに過去の遺物。