PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

東京の米国路線

 

いい加減 COVID はすべて終了にして、日常に戻りたいもの。特にビジネスの現場ではそうだと思います。中国路線は元通りに戻るのはまだ先になりそうですが、北米路線は以前どおりになってしかるべしと思うところです。

(ビジネス渡航と言えば、ちょっと前はアメリカ、21世紀になってからは中国という先入観がありますね。)

 

アメリカ三大手の日本路線は東京のみ

そんなことを考えていたところ、デルタ航空日本支社が現状と将来に関して宣伝を含めて、取材されていました。12月初めのことです。

日本人が「外国の航空会社」で渡米する利点は? デルタ航空の答え 地方発でも東京乗り継ぎのように米へ | 乗りものニュース

 

デルタ航空 DL の日本路線は、全便が羽田空港 HND 発着になっています。米国三大手で唯一です。そして現在運航路線は、

アトランタ ATL、デトロイト DTW、シアトル SEA、ロサンゼルス LAX

の4路線ということです。大雑把に言って、米国の四隅のハブ空港への路線を早々と復活させ、各地へ接続、利用してもらおうという腹なのでしょう。DL は羽田空港の路線枠として

ミネアポリス MSP、ポートランド PDX、ホノルル HNL

も維持しているはずです。DL の他のハブ空港JFK, LGA, SLC)への就航の優先度は低いようです。

 DL の不利な点は日本国内線を運航するパートナーが存在しないことで、日本各地から羽田への移動を独立した扱いにせざる得ないことです。その分米国本土への路線を多く持ち、東京23区や京浜地区の住民には大変便利な会社となっています。

 米国外に唯一の SkyClub(DL の運営するラウンジ)が羽田空港に設置されているのも東京路線重視の表れです。

 

ダラス-フォートワース DFW を本拠地とするライバルのアメリカン航空 AA の日本路線は現在

HND-LAX、NRT-DFW

のたった 2路線のみ。太平洋路線は JAL と組んで JV を行っているため、単独で収益の上がりにくい所は JAL に任せたということでしょうか。その JAL

NRT-LAX, NRT-SAN, NRT-SFO, NRT-BOS, NRT-HNL

HND-LAX, HND-HNL, HND-ORD, HND-DFW, HND-JFK, HND-SFO

とまずまずの充実ぶり。よく知られるように AA が DL より有利なのは、日本各地から HND、NRT への接続を JAL 国内線が担っていることです。NRT 発着の AA コードシェア便に限っても KMJ, FUK, OIT, CTS, TAK, KIX の6空港へ就航しています。

 

シカゴ ORD を本拠地とする三大手の一角、ユナイテッド航空 UA は日本に ANA というパートナーを持ちますが、自社便の運航が多いことが特徴です。ANA を信じていないわけではないと思いますが、日本路線は

NRT-GUM, NRT-SFO, NRT-IAH, NRT-EWR, NRT-LAX, NRT-SPN

HND-SFO, HND-ORD

(NGO-DTW ⇦ 早々と復活していました!, KIX-GUM, KIX-SFO )

と現時点では DL より多くの路線を運航しています。これに加えて HND と NRT では ANA の国内線に接続するので、日本各地から一枚の航空券でこれらの便が利用できる点は AA と同じく DL に対して有利。

 

 

米国の空港別に東京路線を整理すると

LAX:AA(HND), UA(NRT), DL(HND), JL(NRT), NH(HND, NRT)

SFOUA(HND, NRT), JL(HND, NRT), NH(HND, NRT)

SEA:DL(HND), NH(NRT)

PDX:DL(HND)

SAN:JAL(NRT)

ORD:UA(HND), JL(HND), NH(HND, NRT)

JFK:JL(HND), NH(HND)

EWR:UA(NRT)

BOS:JAL(NRT)

DTW:DL(HND)

MSP:DL(HND)

ATL:DL(HND)

DFW:AA(NRT), JL(HND)

IAH:UA(NRT), NH(HND, NRT)

 

HNL:JAL(HND, NRT), NH(HND, NRT), DL(HND)

SPN:UA(NRT)

GUM:UA(NRT)

青字は運航中断中

 

マグルの視点では

もし JAL にも ANA にも思い入れがなく、マイルやポイントにも関心がない東京住民が米国へ行くなら、どの会社を使うことになるのでしょう。最初のチョイスは日本語の壁で JALANA です。次は直行便がある会社になると思います。すると JALANA の運航がない

PDX, DTW, MSP, ATL, SPN, GUM

は、米国の会社が有利です。サイパンとグアムは離島便で UA 運航なので当然ですが、その他のコンチネンタル USA の路線、ポートランド便、ダラス便、ミネアポリス便、アトランタ便は全て DL が運航しています。DL は東京の路線網としても重要な役割を担っているわけです。

 一方で日系のみが就航する都市は

SAN, BOS

の2つであり、共に JAL が運航しています。(JFK と EWR はニューヨークとします。)以上の8つの都市では、航空会社の選択の余地はほとんどない気がします。

 

LAX は大変な人気で北米三大手、日系二社のすべてが路線を維持しています。消費者には、選り取り見取り。SFO、ORD、HNL についても選択肢が多くてうれしい限りです。

 

それにしても AA は日本では存在感がありません。何なのでしょう。