新しい動きを取り上げると共に基本のおさらいをします。基本と言っても、いままでこのブログで取り上げたことはない気がします。特典航空券の枠に関する話題です。
会員プログラムを含めて British Airways (BA), Aer Lingus (EI), Vueling (VY), Iberia (IB), Qatar Airways (QR), Finnair (AY) のいずれかをよく利用する人に重要なニュースです。
NEW: British Airways cuts Avios seats offered to some partners
特典航空券に Avios 会員枠を設定する BA
BA は Avios で交換できる特典航空券の数を最低保証することにしました。内訳は全便、
Club (Business Class) が 4
Premium Economy が 2
Traveller (Economy) が 8
です。Premium Economy は長距離路線での設定。特典航空券は出発の 355日前 0:00 (GMT) から予約できます。
LCY 利用の BA Cityflyer はここに含まれません。LGW 利用の BA Euroflyer も技術的には同じ状況のはずですが、とりあえずアナウンスがないようです。
大部分のフライトでは、出発が近づくとこれらに加えて特典用のシートが増えます。ファーストクラスのシートはこの時点で現れます。
Avios を採用しない提携会社プログラム（AAdvantage, JAL Mileage Bank, Qantas Frequent Flyer, Cathay など oneworld 各社のプログラム）の会員にも BA の特典航空券は提供されますが、数を保証するシートは除外されます。Avios を利用する Executive Club (BA), AerClub (EI), Vueling Club (VY), Iberia Plus (IB), Privilege Club (QR), Finnair Plus (AY, 2024年 2月から) の会員だけが利用可能になリました。
つまり JAL Mileage Bank のアカウントから見える BA の特典航空券は、席数保証分に上乗せされる部分だけです。
航空連合内で会員プログラムの再編成
この「Avios だけ特別扱い」は、航空連合内の脱共通化・再グループ化という世界的な流れに沿っています。メンバーが増える一方、会社によって置かれる状況が違いすぎるため、共通化は限界に達しているはずです。そして時代に応じたサービスを展開する時、小さなグループで行った方が効果的でしょう。多重構成される制度を精密に処理できる情報技術が複雑化を支えます。
次の関心は、他の Avios 会社 EI, VY, IB, QR, AY の特典航空券も同じ措置をとるかどうかでしょう。これを占う動きは AY でありました。
今年の 8月、AY も 2024年 2月 1日（Finnair Plus のポイントが Avios に切替わる日）以降の特典航空券用シートを保証しています。その内訳は
欧州便ビジネスクラス 2 (もしあれば)
欧州便エコノミークラス 4
長距離便ビジネスクラス 2
長距離便プレミアムエコノミー 2
長距離便エコノミークラス 4
です。11月 1日から予約可能になりました。いきなり開放されたはずですが、Mileage Plan と AAdavantage の会員は予約に相当苦労しているとのことです。AY はこれらの数を保証したシートを Avios 会員にのみ公開している可能性があります。
長年行われている BA 独自の自社会員優遇
どの会社のプログラムも自社会員には、より広い特典航空券枠を提供します。BA では昔から、ゴールド会員には他より多い Traveller (Economy Class) のシートを用意しています。さらに出発の 30日前までに予約するという条件で、ゴールド会員はどんなシートでも（空いている限り）規定の 2倍の Avios に引換えられます。GGL 会員には 2倍の Avios は必要なく 5席まで用意されます。
現在の動きは、自社会員向けの措置を Avios プログラム群に一部移管するものでしょう。予想される結果のうち良い部分は、Avios グループ内の特典航空券が押さえやすくなることで、特にアメリカのプログラム（Mileage Plan と AAdavantage）から隔離が進む効果は大きいと思います。悪い部分は保有している Avios 利用範囲が広がるため、インフレが起き、額面上の価値が低下することでしょう。これは不可避です。
