マイレージプログラムは、規制だらけの時代に航空会社が成長(顧客獲得、新規路線開設、運航頻度増大)するための仕組みでした。アメリカン航空が導入したとされる飛んだ距離が評価され、それが報われるシステム。空の自由化が進んだ今日、多くの一般消費者向けサービスと同様、支払い金額を評価するようになったのは当然。獲得マイル金額制は、デルタ航空が開拓者のように言われますが、あまり正確ではありません。
距離制と金額制は相反する2つのシステムではなく、中間段階が自由に設定されます。ファーストクラスで実距離の400%、格安エコノミーで実距離の25%のマイル獲得とするのはその例。いろいろな段階があるため、マイレージプログラムは世界中で距離制から金額制へ少しずつ変貌し続けています。
エーゲ航空 Miles+Bonus でもこの変化は進行中ですが、他のプログラムに比べ距離制が強いシステムを保っています。つまり格安エコノミークラスに搭乗しても、かなりのマイルが貯まるプログラムです。
エコノミーの搭乗クラスによる金額差と獲得マイル量
陸マイラーの間で重要な概念に、マイル単価があります。マイルを購入(あるいは出費の一部として入手)、それを無料航空券に変えた場合、同日同便同キャビンの航空券の最低販売価格と比較、支払った金額の方が少ないことが陸マイラー存在のための必要条件です。
マイル単価は、購入、利用の双方で仮定部分が多すぎるので、大変あやふやな尺度です。しかしこの計算をせざる得ないこともあります。
タイ航空、シンガポール航空は、マイル積算率 100 %の格安航空券をウェブで販売しており、かなり遠くへ旅行することもできます。そのため、Miles+Bonus 会員には重要な航空会社です。タイ航空では
・セイバー運賃 (予約クラス W/V): Miles+Bonus 積算率 0%
・セイバープラス運賃 (予約クラス T/K): Miles+Bonus 積算率 50%
・エコノミーフレキシ―運賃 (予約クラス M/H/Q) : Miles+Bonus 積算率 100%
です。問題は T/K で良いのか、M/H/Q まで必要とするかです。
T/K か M/H/Qの違いは、もちろんマイレージだけでありませんが、普通に搭乗する分にはその違いは意識できません。したがって、多くの人にとって値段の差は獲得するマイルの差になります。
マイル購入、ポイント費用と比較
1月の適当な時期の東京-パリ(バンコク経由)の往復の料金を調べてみます。この区間距離は片道で約 8,760 milesです。
往路はこんな一覧が出てきます。
53,060円のセイバー料金を選ぶと、マイルはゼロ。一方61,560円のセイバーブラス料金を選ぶと 4,380 miles得られます。差額 8,500円ですから、マイル単価は約 1.9円となります。61,560円のセイバーブラス料金にさらに 8,500円加えると、70,060円のフレキシー料金となり、さらに 4,380 milesが加わります。つまり線型性があります。マイル単価1.9円が安いと思うなら、フレキシー料金を選ぶのが正解。
帰路の様子は異なります。少し値段が高いのは税金や各種料金が異なるためで、そのことではありません。マイル単価が比例しなくなっています。
61,540円のセイバー料金で 0 mileは同じ。65,740円のセイバーブラス料金で 4,380 miles得られますが、差額はわずか 4,200円。マイル単価は約 0.96円です。しかしこのセイバーブラス料金とフレキシー料金との差は往路と同じで 8,500円。さらに約 4,380 milesが加わります。
つまり
セイバーをセイバープラスにすると、そこで増える 4,380 milesの単価は 0.96円
セイバープラスをフレキシーにすると、そこで増える 4,380 milesの単価は 1.9円
判断を要する場面となりました。もっとも航空会社サイトでマイルを直接購入する場合、1 mile あたり最低 2 円程度。マイルを貯めたい人なら、TGはフレキシーを買っておけば OK と覚えておいても損はしないでしょう。
ちなみにMiles+Bonus では tier miles も購入できますが、500 milesが50 EURもします。マイル単価13円。会員年度末にゴールド会員継続がピンチだと、慌ててこんなものを購入するぐらいなら、普段から余裕を持ってマイルを稼いでおいた方が良いに決まっています。
マイル単価から計算した特典航空券の値段
一方、Miles+Bonus のマイルを特典航空券無料に変える時もどのぐらいの価値になるか大雑把に見る必要があります。陸マイラーの方が好きなマイル単価は、大抵こちらの話。
タイ航空のエコノミークラスを利用して、東京―バンコクを往復するなら 25,000 miles必要です。上のマイル単価 1.94円で手に入れたマイルなら、これは 48,500円分。実はMiles+Bonusでは諸料金を別に払う必要があります。多分7,000 ~ 10,000円になります。合計すると大体 55,000 ~ 60,000円。
ところがタイ航空のサイトでセイバー料金で購入しても、閑散期に諸料金込で 60,000円程度です。
わざわざマイル積算運賃でエコノミークラスに搭乗して貯めたマイルも、エコノミークラスの特典航空券に換えてはうま味がありません。苦労していろいろ計算しても、「何をやっているのか、意味不明」という事態になります。
ビジネスクラスの特典航空券だと、同じ区間に 42,000 miles必要です。獲得マイル単価が1.94円なら、82,000円。諸料金を合わせて出費が 10万円になったとしても、この価格で東京―バンコクのビジネスクラス航空券を購入するのはほとんど不可能。使い方としてはビジネスクラスが正解というわけです。しかしながら、エコノミークラスなら特典航空券で「思い立った時に旅行できる」感覚ですが、タイ航空のビジネスクラス直行便の無料航空券の獲得はそこまで甘くありません。
今後はこれも
航空券の値段の差は獲得マイルになっている感じがしますが、この界隈では意外に正しい物の見方なのかもしれません。ホテル予約サイトの ROCKETMILES は、この仕組みを外からでも見えるようにしたとも思えてきます。
Miles+Bonus も新たに ROCKETMILES と提携をしました。このサイトでホテルを予約すると、Miles+Bonusで特典マイルを得ることができます。
ROCKETMILES については、最近記事にしました。
ビジネスホテルの宿泊でマイル、アビオスを得るサイト - バス代わりの飛行機
このサイト、当該ホテルの属するチェーンの予約サイトより、わずかに高いだけという価格でもオファーがあります。そんな場合、500マイルでも「儲かった」気分になれるかもしれません。マイルの価値が気になる方は、この方法でマイルを得ることも考えても良いかもしれません。