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AFライフタイム・プラチナメンバーシップへの道

長くなるので気が進みませんが、エールフランス AF、フライングブルー FB のライフタイム・プラチナメンバーシップを取り上げます。FB の2018年 4月の大改革の結果、おそらく最も容易なライフタイム・メンバーシップになっています。FB のライフタイム・メンバーシップはプラチナ以外には知られていません。

 

基準

FB のライフタイム・メンバーシップ制度は、

10年間連続してプラチナ会員を保てば、その資格が永久化する

というもの。 これだけです。少し掘り下げます。

 

AF は 2005 年に KLM と経営統合した時、それまでの Frequence Plus は、FB に移行しました。その時以来ライフタイム・メンバーシップの仕組みは全く変わっていません。おそらく表現自体が変わっていません。

 プラチナ会員維持の要件は、AF, KLM の他、提携各社の搭乗により会員年度一年間に XP を 300 積算することです。フライト当たりの XP は以下の通り、飛行距離と搭乗キャビンにより決まります。

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スカイチーム各社の他、Aircalin、Air Corsica、Air Mauritius、Chalair Aviation、中国南方航空、Copa Airlines、GOL、JAL、Malaysia Airlines、Qantas、TAAG、Twin Jet、Virgin Atlantic、WestJet の搭乗でも XP は得られます。Copa Airlines はスターアライアンスJAL, Malaysia Airlines, Qantas はワンワールドです。いったいどこのプログラムなのか、わからないぐらい提携会社が広がりました。

 

プラチナメンバーシップを獲得、維持する時の注意点が2つあります。

 

(1) 入会後、シルバー会員になるために 100 XP、その後ゴールド会員になるためにさらに 180 XPが必要です。ゴールド会員になってから 300 XP の利用があって初めてプラチナ会員になれます。すべて会員年度内に獲得する必要があります。会員年度はレベルが上がった時が開始点となります。

 

(2) 会員レベルが維持するか降下する場合、会員年度終了時に次年度メンバーシップが決まりますが、維持される場合、その時の積算 XP から、基準となる XP (シルバーなら100、ゴールドなら180、プラチナなら300)が減算されます。余剰となった XP は次の会員年度へ持ち越されます

 

単純に言うと新入会から最低 3,280 XP の搭乗と最低 10 年(+プラチナ会員になるまで)の期間でライフタイム・プラチナメンバーシップが獲得できます。しかも上記 (2) のルールによれば、3,280 XP の搭乗は短期間に成し遂げても問題ありません。例えば 1 年間で搭乗を終えれば、一切 XP を加算しなくても 10年後にはライフタイム・プラチナ会員になれます。もしプラチナ会員になる条件が10年間変わらなければ、プラチナ会員が 2,700 XP を獲得した時点でライフタイム・プラチナ会員が確定していたことになります。

 

どのぐらい大変か

ライフタイム・メンバーシップの話をする時、ある会員を何年続けるとその資格が永久化するか?という発想になりがちです。FB のプラチナメンバーシップは定義からプラチナ会員10年分です。同種のレベルにある他社のライフタイム・メンバーシップは、

BA: ゴールド会員24年分でライフタイム・ゴールド

QF: プラチナ会員63年分でライフタイム・プラチナ

でした。FB の 10年は連続する必要があるのですが、それでも他社より圧倒的に楽です。現行ルールでは短期間に搭乗を集中してしまえば、10年の連続も問題になりません。それなら1年間に 300 XP が大変かというと、全く逆。これも著しく低いハードルです。

 以下はどういうパターンでライフタイム・プラチナメンバーシップに必要な XP が獲得できるかの例です。

 

(1) JAL HND-ITM を国内線ファーストクラス(予約クラス F)で往復 164 回。伊丹空港の近所に居を構え、大田区へ勤務。毎日ファーストクラス通勤するなら、7~8 か月で3,280 XP を超過します。これで FB の制度が変わらなければ、一生プラチナ会員。現在の JAL の料金設定なら、費用は1,080万円ぐらい。週1回の往復なら3年強で「解脱」予定。

(2) 中華航空ビジネスクラスで NRT-TPE-HKG, NRT-TPE-BKK などの往復 55回。毎週末を香港やバンコクで過ごすというパターンで1年と少し。費用は航空券だけで550万円ぐらい。ただしこの格安航空券は、週末だけでは利用不可。さらに1日加える必要があります。

(3) AF、KLM、AZ の欧州内ビジネスクラス乗継便で往復 55回。週末や休日を挟むと最低 500 EUR 程度で1往復できます。平日だと1,000 EURが目安。カレンダーの休み全てを利用しても必要 XP 積算にかかる期間は1年。ただし費用は最低 350万円ぐらいと抑えられます。このパターンで安い航空券が多く見つかる空港近くに住むと楽でしょうね。5年で実現するなら、日本からの「修行ツアー」を反復。費用は日本―欧州をスカイチームの利用にして XP を稼いだとしても、150 万円はアップしそうです。

(4) VN で東京-ハノイ-パリのビジネスクラス往復 28回。毎月実施して2年と少しかかります。費用は 800万円ぐらいになりそうです。ハノイの接続時間が長いこと、VN の欧州便の遅延は頻繁に起き、しかも遅延時間が長くなることが欠点。

(5) AF でパリ経由HND-JFKファーストクラス往復 15回。何が何でも早くというせっかちな方には、この手がおすすめ。毎週 JFK 詣でをすれば、4カ月弱でライフタイム・プラチナ分の XP があなたのモノ。ファーストなら体力的にも楽ちんでしょう。費用は 3,000万円を超過しそうですが、その年の UXP はおそらく 3,000~。感謝状モノです。

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リスク

顧客プログラムにおいて10年はかなり長く、制度変更が前提になります。2018年までの FB の歴史を振り返ると、マイル積算率がどんどん落ちて、初期にプラチナ会員に到達する搭乗方法では、10年後にはゴールド会員に達しませんでした。一方ライフタイム・メンバーシップの条件は常にプラチナ連続10年です。そんな状況で FB は XP 導入の大改革を迎えたのです。

 

XP の導入によって、プラチナ会員到達、継続が著しく簡単になりました。このままいくと、2029 ~ 2030年頃には膨大な数のライフタイム・プラチナが生まれる恐れがあります。会社としては、その後何十年も負担が続きます。

 

最も注意すべきは、10年間連続してプラチナ会員という条件は2005年以来一切変っていないこと、しかしプラチナ会員になる毎年の条件は社会情勢に応じて変えるのが今も昔も当然であることです。ごく一般的に言えば、「○○○○までに✖️✖️✖️すれば、△△△を払う」という条件で走り出した契約をその○○○○までの期間中に変えることはできません。しかしそれを可能にするのが、FB の条件設定のやり方です。

 

FB は適当なタイミングでプラチナ会員の更新を難しくすればよく、最初の数年は容易なまま放置した方が得策です。甘言で散々プラチナ会員を集めます。そこで食いついた連中が「今諦めるともったいない」となる程度に条件を変えます。これを何回か繰り返すわけです。これぞ客に金を使わせ、会社を潤すカラクリ*。10年という期間はそういう事を行うのに適当です。FFP の変更は頻繁にあるので、会員や社会から反発を受けることはありません。条件を満たす年数のみの設定は、報奨を与える側に非常に有利な仕組みです。

 また FB は大改革の直前に Ultimate 会員を設定、改革後に基準を 900 UXP x 2年としました。UXP は AF と KLM の搭乗で得られる XP。この基準だと、Ultimate 会員を2回更新すれば、ライフタイム・プラチナメンバーシップに必要な XP を獲得していることになります。減算時の例外規定があるのかどうかはっきりしませんが、規則をそのまま適用すると Ultimate 会員を続けるなら、通算 7,200 UXP 獲得していてもライフタイム・プラチナにはなれません。この辺は整理する余地があります。

*エーゲ航空スターアライアンス加盟後、5年間ゴールド会員が異常に獲得しやすく、そしてそれは事実上永久会員だったのですが、案の定普通のプログラムに変わりました。5年間に渡る「先のことを一切告げない入会キャンペーン」でした。似たような話はあちこちに転がっています。もっともスタアラゴールド狙いならプログラムは乗換えられるので、エーゲもアコギなことはできず航空連合内でもっとも容易なレベルにとどめています。

 

通算して 3,280 XPを獲得してやれやれと思っていたら、アメリカ流の支払金額基準が導入され、継続基準が 300 XP + 4,000 EUR* になったらどうなるでしょう。その後、プラチナ会員を継続するために毎年 4,000 EURずつ航空券を購入する羽目になります。ライフタイム・プラチナメンバーシップのための搭乗を完了したつもりの者は、その時残っている XP がすべて無駄になるようなものです。

*:これでも米国の航空会社と比較するとかなり低い基準ですから、導入へのハードルは高くありません。

 

XP を貯め過ぎず、ライフタイム・メンバーシップも視野に入れつつ、プラチナ会員の特典を十分享受して AF, KLM を利用するのが理想的だろうと思います。