PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ロシア迂回が続くと JAL 欧州路線はドツボにはまる?

久しぶりに JAL の搭乗を JMB のアカウントに登録しました。マイルの処理が相変わらず遅いのですね。「(JALinfo)ご搭乗のお礼」メールが、着陸後 40分で届くことが不思議に感じられます。このタイミングでマイルが加算される他社プログラムは多いのです。

 

昔々搭乗記録は定期的に郵送されていたのですが、その感覚が残っているのでしょうか。礼状送付も電子的、マイル加算も電子的になった今、礼状は即、マイルは数日後。自動発生する礼状は、この差によって白々しさが引き立ちます。JAL にはそういう想像はできないようです。

 

旅客需要が回復してもロシア上空回避が続くなら

COVID 蔓延時の都市封鎖のように世界から隔離されたロシアの空。通行止めが今後どうなるか、皆目見当がつきません。何年も続くかもしれません。一方で日欧間の旅客は 2022 年中にも回復するでしょう。旅客需要が圧倒的に多いのは、日本側では東京線。羽田、成田は認可の問題もあり、基本的には2019年以前の路線が復活します。大回りになって所要時間が 3~ 4時間アップ、主要都市へは16時間程度かかることが 2019年以前と違う点です。

 欧州のハブ空港で乗り継いで欧州内の目的地に向うなら、中東での乗り継ぎとの差がなくなります。したがって旅客獲得で優位に立つためには、直行便を持っていることが決定的に重要になります。

 

意識がグローバルな皆さんなら、日本の航空会社にこだわらないでしょうが、欧州各社を選ぶメリットも小さくなります。スケジュール重視のビジネス客は、欧州の就航都市が多い中東3社、トルコ航空へかなり流れるものと予想されます。

 例えばエミレーツで成田―ミュンヘンを飛ぶと、成田発が22時30分ぐらいでミュンヘン到着が13時(GST+2)ぐらいです。スケジュールの上では、21時間30分ぐらい。

 JALミュンヘンに行こうとすると、JL43 で羽田 9:00出発、LHRまで飛んで LHR からは BA に接続するなどということになります。16:30発の BA954 には間に合わず、20:35 発の BA958便になってしまい、MUC 到着は 23:30(GST+2)になります。やはり所要時間は21時間30分。(以上3月28日のフライト)

 

欧州ハブを経由する旅程は、中東経由に拮抗する程度まで時間を要するようになりました。

 夜の移動が好都合という元気なビジネス客にはこれまでも中東経由が好まれたのですが、この傾向は中東3社選択に拍車をかけると予想されます。

 

JALANA に比べても不利に

しかし日本の航空会社の利用に絶対的な価値を見出す方々も多いのです。パリやロンドンに行くなら、現地でのサービスが圧倒的に充実している AF や BA を選べばいいのにと Pechedenfer は思うのですが、「どっちでもいいけれど JALANA」という人たちは意外に多いのです。この客層も気がかりです。

 

2019年の時点で、JAL の欧州路線はロンドン、パリ、フランクフルト、ヘルシンキだけでした。一方 ANA はロンドン、パリ、フランクフルト、デュッセルドルフミュンヘンブリュッセル(の枠)を持っていました。旅客が多い3つの巨大ハブは両社に配分されています。違いはそれ以外。ヘルシンキを目的地とする旅客は少ないのに対して、デュッセルドルフミュンヘンブリュッセルへ行く客はそれなりにいます。特にデュッセルドルフには、歴史ある日本村があります。

 ANA は年々路線を拡大している所で COVID 騒ぎになったことを思い出す必要があります。この構造は旅客が回復しても、ロシアへの制裁が続いても変わらないはずです。

 

「ヨーロッパ周遊7日の旅」なんてパッケージ商品を売るなら、欧州の出入口としてヘルシンキは不利です。一方、デュッセルドルフミュンヘンブリュッセルなら都市及びその周辺が観光地になり得ますし、陸路の移動も便利です。ヘルシンキ乗継でイタリアから周遊開始では、エミレーツでも移動時間は変わりません。JALANA がいいなと思っていても、旅行会社の口車に載せられたり、同行者と相談しているうちに「ドバイも見てみたいね」なんてことになりかねません。

 欠点が重なり、結局選ばれないというパターンが増えそうな JAL のネットワーク。

 

総じていうと、FOP や5つ目のスターが気になる会員以外の客層では、JAL 離れになる気がします。

 

ロシア上空が通れないなら

一般の日本人に存在感の薄い欧州の航空会社は、羽田、成田への運航を取りやめる可能性があります。日本の景気誘導のために、とりあえずキチンと運行しそうな JAL にとりあえず枠を配分、とりあえずがいつの間にか恒久化したとなどというシナリオぐらいしか JAL は期待できないようです。その都市がミラノになるか、ベルリンになるかは分かりません。ただワンワールド加盟会社は、欧州でも周辺部からカバーするような配置になっているので、FRA のようにほぼ単独で乗り込むことになります。

 個人的には JAL のキャビンに16時間も籠るのは勘弁願いたいのですが、こういう運命のイタズラ的な展開でもないと面白くありません。