フライングブルーの xp が購入可能になりました。レートだけを述べると(提示例では)約10 € で 1 xpになります。これとは別にマイルの特典交換における寄附で xp が得られるようになりました。これは 2,000 miles の寄附で 1 xpが得られます。背景の理解が重要になる曰くつきの制度追加です。
https://www.flyingblue.com/fr/news/sustainability
生き残りへの大きな一歩
かねてから航空機の移動は、CO2排出が多すぎるとやり玉に挙がっています。欧州でこの運動は強く、下手をすると「一般旅客の飛行機での移動は不要」、「可能な限りの地産地消」が欧州人共通の認識になりかねません。今後は航空運送業界は税金や規制で縛られることになり、各企業は大幅縮小せざる得ません。
利便性追求のため排出されるCO2をゼロに近づけるという基本思想が大切であり、航空会社が自らこれを実現させれば問題ありません。と言うよりも、それ以外に彼らが生き残る道はなさそうです。AF-KLM は、上記プレスリリースでもはっきり
"en plaçant le développement durable au cœur de leur stratégie et de leur gouvernance d’entreprise."
と述べています。
カーボンニュートラルな燃料 SAF を 100%利用、正味でCO2排出をゼロにするとか、植樹により森林面積を増やし、自分たちの排出するCO2を完全に打ち消すなどの方法なら実施可能です。ただこれを行うにも経費が必要です。これを事業から回収するのは値上げ以外に選択肢がなく、競争力をそぎます。
なかなか困難な状況です。客には経費が発生しないサービスを加えて、自発的に値上げ分を払わせるしかないのです。
そこで AF-KLM が利用したのが上級会員制度。本来はサービス利用実績の指数である xp を「売る」ことになりました。
炭素中立実現のための会員の手続き
顧客レベルでこの新しい制度がどう影響するかについては、以下の xp 獲得方法のページに付記されています。
https://www.flyingblue.com/fr/programme/xp
(1) 6月8日からの事業ですが、AF の Trip and Tree と KLM の CO2ZERO の2つのプログラムにより、植林にマイルを寄附すると xp が付与されます。2,000 miles で 1 xpです。
(2) 6月8日から、自発的な SAF の購入により xp が得られるようになります。これは植林と合わせて実施されます。具体的には
airfrance.com と klm.com の « Mes réservations »/« Mon Voyage »
のページか、チェックイン時に現金で行います。購入した航空券、特典航空券が対象です。以下に AMS-YEG 路線の KLM エコノミークラスの利用時の例を示します。
4つのオプションがあり、
- 植林 : 10 € ou 2000 Miles の支払い で 1 xp獲得
- 植林と SAF : 19 € の支払い で 2 xp獲得
- SAF と植林 : 33 € の支払い で 4 xp獲得
- SAF : 469 € の支払い で 47 xp獲得
(3) 3月9日より実施されているチャリティへのマイル寄附に伴う xp の付与は、2,000 miles で 1 xpです。これは SDGs の一環として炭素中立と並びます。上級会員の在り方という意味では、炭素中立への貢献を評価することと同様に考えられます。
これまでフライングブルーは、顧客として企業の事業により貢献した会員を評価、上級会員として特別扱いしてきました。ごく普通の会員プログラムです。しかしながら地球環境改善への貢献は企業として当然であり、個人レベルでも責任のある行動が望まれています。フライングブルーは、地球、社会、企業に貢献する顧客が「立派であり」、高評価すると方向転換しました。かなり新鮮味があり、大袈裟に言えば革新的です。
顧客として重要な未発表事項
上記の xp 獲得法には上限があるはずです。売るといっても、SAF を客に買わせて xp を与えるのでは企業活動に貢献したとは言えません。企業への寄附は基本的におかしいのです。
フライングブルーが示した例からは、得られる xp は路線と搭乗クラスに依存して、計算レートが微妙に異なり、上限の存在が示唆されます。この詳細が分かりません。
購入時や予約時だけではなく、搭乗手続きを行うまでの間に xp をマイルか現金で買うことになっています。そして特典航空券も対象になっている点は特徴的です。
実は AF-KLM の予約を 3つ持っているので、少々自分で確かめてみる必要を感じました。