フランスでは、消費者が小売を通じてワインを安く入手する期間が年二回訪れます。一つは年末～年始にかけての「お祭りシーズン」。生産者～小売までが連携して行うので、心づくしで大幅値引きされる品が見つかることがあります。もちろんこれ以外にも小売業者は、ワインを含めた広範な商品を値引きします。Pechedenfer が今フランスに住んでいたら、クリスマス前にはシャンパンを 4ケース買うと思います。
もう一つは 9月に行われる「ワイン市」。大手小売チェーンはすべて参加します。一般雑誌もワインの特集を行い、９月はフランスワインの情報に触れやすい時期です。国民の素養を向上させるのが目的なのではないかと勘ぐってしまいます。個人商（酒屋, Cavistes）も何らかの形で参加することが多いようです。
9月の「ワイン市」はフランス全土の住民が相手。情報は仏語で提供されます。とは言え、この時期にフランスに行くなら、簡単に安く買い物ができます。外国人旅行者も利用しない手はないのです。
確かに言葉が障壁になりますが、必要とする情報はわずか2つ。外国旅行が好きな方には困難というほどではありません。
[1] 実施するスーパーマーケットとその期間を知る必要があります。8月中旬になるといろいろなメディアがまとめますが、仏語になじみがないと、そこに到達することすらないのが普通。この記事では、日程を日本語でまとめました。スーパーチェーン名はカタカナにする意味がないのでそのままです。ソースは Le Figaro。開始日順に並べます。
Foire aux vins 2022 : toutes les dates par enseigne
Casino supermarchés : 8月26日から 9月11日
Géant Casino : 8月30日から 9月12日
Netto : 9月 1日から 9月19日
Duclot : La Cave aux Galeries Lafayette + Chateaunet Malakoff : 9月 2日から 9月24日
Lavinia : 9月 5日から 10月 3日
Aldi : 9月 6日から在庫切れまで
Auchan Supermarché : 9月 6日から 9月25日
Casino (店舗に要照会) : 9月 6日から 9月18日
Intermarché : 9月 6日から 9月25日
La Grande Épicerie de Paris : 9月 7日から 10月 5日
Lidl : 9月 7日から用意した品が穿けるまで
Nicolas : 9月 7日から 10月 4日
Nysa : 9月 9日から 9月25日
Cora : 9月13日から 10月 1日
Eataly Paris Marais : 9月14日から 10月16日
Monoprix : 9月16日から 10月 2日
Biocoop : 9月19日から 10月 3日
Franprix : 9月19日から 10月 9日
La Cave du Château : 9月20日から 10月 8日
Auchan Hypermarchés : 9月27日から 10月11日
Carrefour proxi (Contact, City, Express) : 9月27日から 10月 9日
Magasins U : 9月27日から 10月 8日
Carrefour hypermarché : 9月27日から 10月10日
Naturalia : 10月 1日から 10月21日
E.Leclerc : 10月 4日から 10月15日
Carrefour Market : 10月 6日から 10月23日
都市中心部で展開する Monoprix, Franpris, Nicolas、あるいはパリの百貨店である La Grande Épicerie de Paris 等は外国人旅行客が利用しやすいはずです。
この他にネット通販サイトでも大々的に行われます。しかし配送料金の関係から、旅行客の利用は得ではないと思います。
[2] 販売アイテムも重要ですね。ワインの専門雑誌（La Revue de Vins de France）は例年「ワイン市」に合わせて特集号を出版し、大規模小売チェーンの販売アイテムと価格の一覧が提供されます。これを街中や駅、空港の雑誌販売所で購入するのが一つの手です。問題点は、あくまで取材時の情報を元に記事が書かれることでしょう。
もう一つは各店舗のチラシ。大手チェーンは冊子を作ります。ウェブサイトでも見ることができるかもしれません。ただしあまり前もって公表されることはありません。
【注意事項】
(1) ピンポイントでこのワインが欲しいという場合、9月の「ワイン市」はあまり役立ちません。シャンパンなら「ブランドブラン」、「プレステージキュベの何か」というレベル、ブルーゴーニュなら「村名ワインの何か」というレベルなら何とかなるかもしれません。なお高名なワインが値引きされる可能性が高いのは12月です。
(2) スーパーでワインのアドバイスを期待するのは無謀です。 La Grande Épicerie de Paris は一応百貨店ですが、スーパーに近く、店員次第です。Nicolas はワイン専門の全国チェーンなので、一応説明を聞くことはできます。個人の酒屋（cavistes）はいろいろとアドバイスしてきますが、店主の臭覚味覚が強く反映されることに注意。なお酒屋はチョコレート屋より英語をしゃべる人が多い気がします。
(3) 商品の山を目にして、泡もの、赤ワイン、白ワインの区別しかできない場合でも、思い切って購入すれば次のような利点があります。
航空機で手荷物として持ち帰るなら、国内で購入するよりフレッシュな（変質が少ない）ボトルが手に入ります。パーティーに出す、お土産にする場合でも「○○で買った」は、抜群の能書きになります。
(4) 梱包のための緩衝材、ハサミ、テープなどは用意しましょう。飛行機では手荷物預入れが必須になります。
