PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

Aschaffenburg はマイン四角の中心なるも田舎?

 

皆さんはドイツを流れる川をどのぐらい知っていますか。個人的にはラインとドナウが横綱、マインやイザールは大関クラス、ペグニッツやレグニッツは関脇クラスという感じ。北や東の方の地理はよく知らないのでバランスは悪いはずです。

 

さてマインはモーゼルと共に、父ラインに対して娘と呼ばれる(der Vater Rhein und seine Töchter) ことがあります。そしてマインもモーゼルも流域はドイツを代表するワイン産地。

 マイン流域に点在するフランケンワインの畑は、三地域* に分類されます。その三地域のうち最も下流に位置するのが、Mainviereck (マイン四角)。フランケンには 216 の単一畑がありますが、マイン四角にはわずか 33 を数えるのみ。

 

*:最近までは Bereich と呼ばれた分類。この語は2017年以降さらに下位の分類を指すことになり、三地域は Die drei großen Bereiche になったようです。観光資源としての展開を狙ったということですが、正直言って外国人にはついていけない微細化。分類ばかりしているドイツの一面が現れた気がします。

 

マイン四角の中心都市は Aschaffenburg。ドイツ最大の空港を擁するフランクフルトの中央駅から45分。空港からでも乗換 1回で 1時間程度。外国から訪問しやすい田舎町です。知名度が低い割には訪問者は多いと予想します。

フランクフルトからは優等列車 ICE でなくても RE で充分に感じますが、その辺は好き好きです。中央駅 (Aschaffenburg Hbf) で下車します。中央駅と旧市街との間の地区はダウンタウンになっています。多くのドイツの都市とは若干違い、旧市街には商業施設が少ない感じです。またどこからどこまでが旧市街なのか、すぐには分かりません。

 

この地で一番有名なのは、四つの塔を持つヨハニスブルク城。マインを望む高台に築かれています。

Aschaffenburg の古い建造物は、赤い石で造られています。石切り場の都合で、町全体が赤くなるという割合ありがちな話になっています。

 城の周囲はマインの川畔と合わせて公園として整備されており、散策には向いています。陽当たりがよい南斜面であり、19世紀中ごろ、ポンペイの建造物を模して別荘(Pompejanum)を建てた御仁がいました。現在、建造物は一般公開されています。オリジナルであるポンペイ自体が有名な観光地である今日、170年前という最近のコピーがどれだけの価値を持つのか疑問。観光資源としての評価はまちまちです。

マインが造形したこの風景を見ると、イタリア風の別荘を造りたくなる気持ちは分かります。そしてそれがポンペイの別荘を模したものになったという趣味も理解できます。そういう19世紀の気分を追体験するのが、正しい散策のような気がしました。

 

街では秋も深まり、Aschaffenburg市民は冬の装いですが、この周辺は陽当たりがよく、半袖で充分過ごせます。

 イタリアの田園風景のような光景も楽しめます。

歩くことを厭わないなら、デートスポットとして最適。婚活をしているなら、見事成功に導びかれそう。

 

もちろん Pechedenfer にはそんな色艶系の話より、マインの畔に居ついている鳥でも追いかけているのがお似合い。

 

あるいはいっそのことマインを泳いで横断するとか。

 

さて一帯の斜面の中でとりわけ陽当たりがよく、特異的に気温が高い土地がありました。そこに何があるかというと、ブドウ畑。

 

フランケンではあちこちで収穫が始まっていますが、この畑はまだです。

Pompejaner という畑です。おそらくここは Aschaffenburg の単一畑(他はBadbergとGodelsberg)の中で最上だと目されていると思います。しかし単一畑のワイン (Lagenwein) として市場に出ているのでしょうか。そもそも小さな畑ですし、そのワインは存在しても探すのは大変そうです。

 

このパビリオン (Frühstückstempel=朝食会堂) は、内装が全面工事中でした。

 

そろそろ飽きてきたので、街に戻ります。ヨハニスブルク城に付属するような形で整備されているマイン南斜面は明らかに都市公園。特に入口があるわけではありません。しかしどこからでも街に行けるかというと、そんなことは全くないという絶妙な公園整備です。

 

街に戻らないと腹ごなしもできません。

このジャム入り揚げパンは Krapfen と呼ばれますが、1.2 € でした。同じドイツでも東方でこの名を使うと怒られることがあるので要注意。(半分嘘で半分本当)