Aschaffenburg の続きです。
城とそれに付属するような公園を後にして、街へ戻ります。
ここでは付属と書きましたが、城と一体化する公園・緑地は広大です。ミュンヘンの Nymphenburg やヴュルツブルクの Residenz もそうですが、これは南ドイツの趣味と言ってよいのかどうかわかりません。
さて文明に戻ると、特徴があるとは言えない街並み。正しくドイツが感じられます。窓に花のプランターを飾るのは、なかなか大変なはずです。
市の管理だろう日時計
や、モダンな教会
はどこにでもある代物とは言えません。しかし観光客がこういうスポットを好むわけでもありません。
バイエルンは石を使った建築物が多いのですが、街中の建物も城も同じ採石場を使うことが多いのです。そのため Aschaffenburg では町全体が赤っぽいことはすでにお話ししました。
建築物だけではなく、彫刻も同じ産地の石を利用していたりします。
ビール醸造所は各地にあり、ビールといえば地ビールがスタンダードなのがドイツ。こういうのは要チェックです。
この建物は元醸造所で、現在は事務所である可能性はありますが、単に広告が書かれた一般の建物かもしれません。いずれにしても工場は別にあるはず。
独語に親しんでいる人は、この屋号に違和感を覚えることでしょう。Google で検索して分かったのですが、看板を書き換えたついでに小さな名称変更を行ったようです。
念のため「婆ちゃんのマルミット鍋」という意味です。つまり家庭料理、地方料理のレストラン。
Aschaffenburg には Aschaffen Burger という自家製ハンバーガーの店があります。
レストランであり、代表料理は Aschaffen Burger。
https://aschaffenburger.com/produkt/der-aschaffenburger/
B級グルメの探求は食文化の理解に欠かせないと思うので、ここは外せません。
開店時間を狙って、その日一番の客になりました。
看板メニューは少々ボリュームが過ぎるので、Der Bayer という大人しい品を選びました。体力に余裕があれば、看板メニューにもチャレンジしたいところです。
このぐらいの規模の都市 (人口 7万) になると、一通りのレストランは揃う気がするドイツの食文化。ワイン居酒屋も何か所かあります。
Weinstube は日本でいうところの居酒屋に違いなく、アルザスを含め、どこででも見かけるのですが、これは正しくない認識であることに最近気が付きました。正確には「Pechedenfer がよく行く場所にはたいていある」でした。ドイツも北や東の方には無いらしいのです。
中長期滞在しても外食には困らないだけのバリエーションはあります。
Aschaffenburg は「住民が散歩に適した場所を持つ」という観点では、傑出しているように思えます。先の記事のヨハニスベルク城周辺以外にも、街に隣接して緑地や森が「整備」されています。
ひとつは教会の廃墟 (Kirchenruine) を中心とした Schöntal 公園。廃墟には青銅製の碑がありました。それによると1543-1544年、墓地に建てられたこの教会は1547年と1552年に破壊されたということでした。すると Aschaffenburg のご先祖様たちが眠っていた場所を公園に整備したのでしょうか。
散策にも通行にも利用されていました。子供連れにも良い場所です。クジャクが放し飼いされています。
水辺も効果的に配置されており、近所に欲しくなるタイプの公園。
もう一つ足を踏み入れたのは、この Schöntal に点で接触するような形で東に広がる森です。手前は Großmutterwiese と言い、公園緑地。
奥は普通の森で、Fasanerie と呼ばれています。広大というわけではありませんが、途中で道がなくなったりするし、森歩きができます。
4、5回行けば、道に迷うようなことはなくなると思います。中央部にビアガーデン兼宴会場のような施設もあります。
https://www.fasanerie-bantschow.de/
勘のよい方はお気づきかと思いますが、貸し切りすれば大人数で大騒ぎしても問題ないことがポイント。各種パーティ向けです。
地図で見ると Fasanerie は東側で本物の森に接続しており、そちらは広大。慣れに応じて「緑地」といろいろな付き合い方ができるのでした。
なおマインの対岸にも Schönbusch と呼ばれる城館とその周辺の広大な緑地・森がありますが、訪問は叶いませんでした。
大都市特有の喧騒とは無縁で緑地へのアクセスが良い一方で、Aschaffenburg は立派な都市です。中心から徒歩で行ける範囲にショッピングセンターもあります。贅沢を言わなければ生活に必要なものはたいてい揃います。
真冬の寒さや土地特有の煩わしさはチェックしていませんが、テレワークで勤務できる幸運な方なら Aschaffenburg は理想的な居住地になりそうな気がしました。
日本人でも出勤がゼロに近いなら、テレワークの拠点はドイツでも良いわけです。こういう都市は一考に値します。