最近のニュースを聞いていると、値上げ、あるいは同じことですが貨幣価値の低下がひしひしと感じられます。
日本国内を見ても、観光客に国境を開放したとたん、宿泊料金が上昇。11月の関西地方は 9月に予約した頃に比べ 5割以上上昇。それでも国際ホテルチェーンでは満室のところが多いというありさまです。
京都四条のイビススタイルなんて3,000円そこそこで宿泊できたわけで、NY だとハンバーガーの値段。この記事のために宿泊料金を調べたら、11月下旬の週末で最低13,000円と出ていました。これが正常ですが、物価上昇は4倍という数字になります。
少々角度を変えて世の中を眺めても、顕著な値上げは散発しています。
マイレージプラスの改悪
アメリカン航空、デルタ航空に続いて、ユナイテッド航空も上級会員基準を引き上げます。アメリカンとデルタと同様、航空券の購入金額基準が大幅上昇します。それに加えて搭乗回数基準もアップします。2023年の搭乗から適応されます。新基準は次のサイトで。How to Qualify for MileagePlus Premier Status | United Airlines
Premier Silver 12 PQF + 4,000 PQP 5,000 PQP
Premier Gold 24 PQF + 8,000 PQP 10,000 PQP
Premier Platinum 36 PQF + 12,000 PQP 15,000 PQP
Premier 1K 54 PQF + 18,000 PQP 24,000 PQP
2022年の基準は
Premier Silver 8 PQF + 3,000 PQP 3,500 PQP
Premier Gold 16 PQF + 6,000 PQP 7,000 PQP
Premier Platinum 24 PQF + 9,000 PQP 10,000 PQP
Premier 1K 36 PQF + 13,500 PQP 15,000 PQP
でした。
PQF の基準も PQP の基準も 5割前後の値上げです。ちなみに PQF は premier qualifying flights で搭乗回数であり、PQP は premier qualifying points でフライトで得られる特典マイルを 6で除した数字です。航空券価格 1 USD あたり 0.83 ~ 1.83 PQP が得られます。(会員レベルによる。航空券価格には燃料サーチャージを含む。)
ある回数を搭乗すると、支払基準が割引になるという独特のシステムですが、支払基準だけで基準に達する場合、アメリカン航空と同等になりました。
米国では owエメラルドレベルの会員資格は 200万円/年の時代 - バス代わりの飛行機
提携クレジットカードの利用で得られる PQP (利用 12,000 USD あたり 500 PQP。上限 1,000 ~ 4,000 PQP。)が渋いのは、北米三大手横並び。ただし自分の消費傾向とフライトの傾向によって有利不利が出てくるぐらいにはプログラムは異なります。
しかしよく見ると、これらの新基準は本来の値に戻しただけです。2023年は少なくとも会員レベルに応じて 500 ~ 2,500 PQP が与えられます。
ユナイテッドは「現状の上級会員制度(現在のデルタと同じ方式)は複雑すぎるので、簡単にする」と宣言し、PQP と PQF を 2020年に導入しました。しかし一度たりとも本来の値で運用されたことがなく、会員ごとに PQP の下駄を履かせるとか、年によって要求される基準を変えるとか、以前より複雑になっているのは皮肉なことです。2023年以降は COVID の影響はないと考えられるので、そもそもこれらの基準を固定する気は持っておらず、会員動向や景況、航空券料金、サーチャージなどをにらんで、毎年調整するのでしょう。
アメリカの物価高は所得高と連動するため、単純に上級会員が激減するとは思えません。しかし一向に所得が増えない日本在住者には、北米三大手のプログラムの利用は不利です。
かつてはマイル遊びの面白さ、上級会員への成りやすさで人気を博したマイレージプラス。2024年1月の時点で 1K を持ちこたえている日本人はどのぐらいになるのでしょうか。