Miles and More は1993年、ルフトハンザ航空が開始した顧客プログラム(FFP)ですが、現在では
オーストリア航空、スイス航空、ブリュッセル航空、ユーロウイングス、エア・ドロミティ、クロアチア航空、LOTポーランド航空、ルクセンブルグ航空
も参加しています。驚きの9社共通プログラム。世界一通用範囲が広い FFP でしょう。
3年前の 2019年11月、Miles and More は「2021年1月にプログラムを改訂し、上級会員の基準はポイントベースに変更する」旨の発表を行いました。
上級会員への道程を変えるMiles & More - PECHEDENFERのブログ
そしてそれは、パンデミックのため導入が延期されました。2020年夏のことです。
会員プログラムとパンデミックの影響 - PECHEDENFERのブログ
結局いつ新制度に変わるのか、発表されぬまま年月が経ちましたが、このほど2024年1月1日と発表されました。
https://www.miles-and-more.com/row/en/program/status-benefits/new-statusprogramme.html
三年遅れですね。
ニュースは日程に留まりません。内容を読むと、当初公表された数値やシステムが変わっています。新制度は使われることなく改訂されたわけです。
フライトによって獲得される(ステータス用の)ポイントは、Points、Qualifying Points、HON Circle Points の三種類あります。HON Circle Points が追加されました。これらの違いですが、
Points は上記 Miles & More 利用会社に加えて Eurowings Discover、そしてスターアライアンス加盟会社のフライトの利用で得られます。
Qualifying Points は上記 Miles & More 利用会社に加えて Eurowings Discover のフライトの利用で得られます。
HON Circle Points は上記 Miles & More 利用会社に加えて Eurowings Discover のフライトでビジネスクラス、ファーストクラスを利用した時のみ得られます。
得られるポイントは、搭乗キャビン 4種類と搭乗距離 2種類によって、以下のマトリックスにまとめられます。
この表は Points、Qualifying Points、HON Circle Points に共通します。言うまでもありませんが、HON Circle Points には当然ビジネスとファーストしかありません。数字は当初の発表の4倍になっていますが、大陸間ファーストだけ 4.3倍です。
Miles and More には、Frequent Traveller (スターアライアンス・シルバー, *S)、Senator (スターアライアンス・ゴールド, *G)、HON Circle (スターアライアンス・ゴールド, *G) の3つの会員レベルがありますが、その基準は暦年の一年間に以下に示すポイントを獲得しなければなりません。この表の数値も、当初の発表の約 4倍になっています。
なお表の読み方ですが、pts、Qualifying pts、HON Circle pts は個別に獲得するわけではありません。Qualifying pts は pts としても数え、HON Circle pts は pts でもQualifying pts でも数えます。
なおSenator とHON Circle の基準間、HON Circle の基準を超えた領域の到達 pts でも様々な特典が用意されています。少々長くなるので別の記事にします。
Miles and More は昔から上級会員に要求される基準が厳しく、Frequent Traveller が年間5万マイル搭乗、Senatorが年間10万マイル搭乗でした。ANA を含めた大部分のスターアライアンス加盟会社の会員基準は、*Sに対応する会員が 25,000 ~ 30,000 マイル、*G に対応する会員が 50,000 マイルです。
なお現行制度では HON Circle には 600,000 マイルが要求され、Senator の 6倍でした。途方もない数字ですが、新制度では 3倍にまで下がっています。UA の Platinum と Global Services との関係、AA の Platinum Pro と Concierge Key との関係にだいたい一致します。航空会社各社の会員レベルの相互比較は、以下の記事にまとめました。
提携会社による上級会員向けサービス - PECHEDENFERのブログ
Miles and More では、Frequent Traveller と Senator への要求が依然として厳しいと言えます。
欧州では大ドイツの Miles and More 各社、BA と IB を中心とした IAG、AF と KLM を中心とした Flying Blue 各社が三大勢力です。これらのプログラムでは、近い将来に全て
特典マイルが支払金額、会員資格基準がポイント
で計られることになります。相互比較が行いやすいのです。会員資格達成の容易さは、明らかに
Flying Blue > Executive Club > Miles and More
です。Executive Club は BA のプログラム。日本ではスカイチーム加盟会社が無く、国際線が欧州ほどには簡単ではないため、日本在住者にとっては
Executive Club > Flying Blue > Miles and More
となることでしょう。
一方で上級会員の特典については、重視する点によっても変わりますが、有利さは
中位の会員資格:Executive Club (Sph) > Miles and More (*G) >Flying Blue (ELPL)
下位の会員資格:Flying Blue (EL) >Executive Club (Rby) >Miles and More (*S)
かなと思います。
日本在住者が使うなら、Executive Club が第一候補でしょう。Miles and More もいろいろと特長があるので、ドイツ好きなら是非。