PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

海外の航空会社プログラム (FFP) の利用

 

日本でマイルをためる人は、ほぼ100 %、JALANA または両方の FFP を利用していると思います。海外かぶれに見える私ですら、JAL のマイルは常時貯めており、時々無料航空券に換えます。

 

JALANA ばかりで飽きることもあると思います。そんな時は海外プログラム。多数の人に明らかに「お得なプログラム」という FFP はありません。旅行の幅を広げる効果が大きいため、会員になる価値はあります。日本で利用する場合に限定して、海外 FFP の優劣を計るポイントを挙げてみます。

 

 

(1) 英語は必須~準必須だが...

このブログを読まれる方は英語に堪能な方が多いようですから、忘れがちでしょう。英語が必要です。これはかなり重要で、無責任に他人に勧めたりしないよう思い出す必要があります。

 日本に拠点を持つ航空会社は、日本語ページを持ちます。しかし FFP になると機械翻訳がほとんどで、読んでいて意味が分からないことがよくあります。FFP はルールが複雑なので、英語で読むことになります。

 またキャンペーンのお知らせとか、規約改訂とかの場合、英語の方が情報伝達が少し早い点も見逃せません。

 

各社プログラムの日本語世界への対応を整理すると、たぶん以下のような分類が役立つと思います。

 

[I] 日本に就航、(あるいは中断中で、)FFP日本語ページを持つ航空会社

アジア系:キャセイパシフィック中華航空大韓航空シンガポール航空、タイ航空、ベトナム航空、ガルーダ、中国国際航空中国東方航空中国南方航空など

米系:ユナイテッド、デルタ、アメリカン、エアカナダ、ハワイアン航空など

欧州系:BA、エールフランス& KLM、ルフトハンザグループ (LH, OS, LX, LO) 、フィンエア、SAS、イベリアなど

その他:カンタストルコ航空、エアニュージーランド、エアタヒチヌイ、エミレーツカタール、エティハドなど

 

[II] 日本に就航、(あるいは中断中だが、)FFP 日本語ページはない航空会社

アジア系:スリランカ航空、エアインディア、マレーシア航空など

その他:エチオピア航空エジプト航空、フィジーエアなど

 

[III] 日本に就航していないので、日本語非対応の航空会社

例えばエーゲ航空、アビアンカオマーン航空、アラスカ航空など

 

[I] の会社のFFPなら利用する日本人がそこそこおり、ソーシャルメディアでも情報が発信されます。英語能力の要求は低め。[II] は航空会社に余力がないことを意味し、FFP自体が弱く、システムも弱いことが予想されます。FFPは国内顧客を向きがち。ごく個人的な理由がない限り、利用することはないと思います。

 

赤字で示した会社の FFP の日本語環境は、個人的にはよくできているように思えました。日本に会員が多いプログラムです。それ以外のプログラムでよく耳にするのは、

 

シンガポール航空、タイ航空、BA、エールフランス& KLM、カンタスエミレーツカタール

 

などです。米系は昔、人気があったのですが、マイルもステータスも支払金額制になり、ほとんど話題に上らなくなりました。米国在住者以外には、今ではメリットが少なすぎるようです。

 

 もちろん[III] の FFP は多いのです。しかし手を出す人は何か理由があるのでしょう。会社は日本市場を意識しません。日本向けに情報も提供しません。今の時代ですから、世界中どこにいても情報収集できますが、基本は一人で行うことになります。これは大変なので、同じ会員を探して情報交換をすることが有用だと思います。

 

 

(2) 忘れがちな有利不利の要因

FFP の一般的な性能は、マイルの償還率、特典の枠、特典の豊富さで測られます。これらを第一に考えるのは当然。これとは別に見逃しがちな要因を列挙します。一般に言えることと、個人の状況で異なることがあります。まず一般に言えることは

 

日本支社・窓口がないと不便:意外と電話は必要。個人的には BA, AF によく電話します。

マイルに寿命があると不便:海外プログラムは日本国内に提携会社が少ないため、マイルの流通が限られます。そのため寿命があると不利です。


自分の経験では、電話は日本支社に限りません。しかし生活の場から簡単に連絡が取れるのは便利です。

 

一方、個人により状況が大きく異なる要因として、

 

その国に頻繁に行くと有利:FFPの情報収集も無意識にでき、基本的な発想も身に着くので、何があっても驚くことなく冷静に対応。

その国の公用語話者は有利:前項を増幅するような効果があります。土地の言葉ができると断然有利。

その航空会社を利用しないと不利:関心が低くなるため、FFP の変化についていけなくなると思います。

 

は指摘できます。

 

 

(3) スイートスポットの利用

海外FFP利用の醍醐味はこれではないでしょうか。日本在住だと可能になるものの、FFP 全体としては微々たる動きなので見逃されるというスイートスポット。会員に著しく有利で、実に美味しい話です。

 良い例は BA のティアポイント。JAL 国内線で大きなティアポイントが得られるものの、距離は短く、運航頻度は高く、料金は安いので BA で会員ステータスを得たい会員には日本は天国。(ただし BA の年4搭乗は必要)

 一般にスイートスポットは使う人が増えると、航空会社は放置しません。マイル獲得、償還はバランスシートに関係するので会社も敏感ですが、会員ステータスには寛容という傾向はあります。しかし

・数字になる事柄は、いつでも変更できること

・変更は一般に簡単、会社にとって他に悪影響を及ぼすことはまず無いこと

・スイートスポットは小さいこと

から、非常に vulnerable な状態です。BA の場合も AF-KLM のように、JAL のクラス J や国内線 F を国際線とは別表にするのは簡単ですし、いつ起きてもおかしくありません。

 スイートスポットは、ソーシャルメディア向けです。広く知られ、利用する人間が増えると会社は潰しにかかります。「他人に先んじて大胆に利用する」のが会員の基本的な態度なのでしょう。

 

 

(4) 制度変更のやり方

最近エミレーツが特典航空券に必要なマイルを倍にするとして話題になっています。数年前のタイ航空では一覧表はそのままに「往復」という言葉が「片道」に変更されました。(=必要マイルが突然2倍になった。)こうした急な変化は、先進国の FFP ではあまり起きません。手を変え、品を変え、改悪をじわじわ進めるのが先進国での手法です。

 海外 FFP の利用では、文化の違いに対峙します。AF-KLM は、無料航空券に必要なマイルのチャートを早々に廃止、実際に検索すると数十万マイルという数字が並びます。一方で以前ならプロモーションの数字も平常時に出てきます。大部分を大幅値上げすると共に特典枠を増やし、少数の値下げを行なって会員を引き留めます。

 会社 vs 会員という二元的に理解できる部分での特徴は、驚くほど多様です。驚きはないと思える FFP が個人にとっての使いやすいプログラムでしょう。

 

制度変更は (3) とも関係します。ただしスイートスポットの場合、微小な制度変更が壊滅的な効果をもたらします。