PECHEDENFERのブログ

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何が海外旅行を妨害するか(欧州編)

 

日本人の海外旅行では、防疫による渡航や再入国に関する困難は大部分なくなりました。2020年 3月以来のパンデミックもエピローグの段階です。しかし COVID 前ほどには、海外旅行は容易ではありません。2022年は3度ヨーロッパに渡航しましたが、明らかに大変です。

 何が面倒を起こしているのかをまとめました。

 

(1) 航空券価格が COVID 対応モードからなかなか下がらない

(2) 路線、便が回復しない

卵が先か、鶏が先かの問題かもしれません。オーストリア航空は成田便の運航を再開すると何度か報道されましたが、現在運航されている気配はありません。スカンジナビア航空は運航再開が取りざたされる前に破産。日本便は2023年夏スケジュールまでは運休すると報道されています。ANA の Düsseldorf 便再開は未定です。

 再開された路線でも COVID前の半分程度が多いのが現状です。

 供給席数が限られると、(大昔の価格カルテル時代なみに)航空券の価格は下がりません。B747 出現によって幕が開けた大量輸送時代に当たり前だった、格安の座席を売ってでも事業拡大するということができないのです。

 会社側の発想はともかく、消費者としては高ければそれだけ旅行を控えるのはロジックに近い話。需要がなければ供給も増えず、価格は膠着したまま。

 

(3) 燃料サーチャージが記録的

原因の大きな部分は、エネルギー資源国ロシアが起こした戦争のせいでしょう。ロシアそのものが地上から消えたとしても、他が産出量を増やせば価格は目に見えて増加するはずないのですが、そう簡単ではないのがエネルギー資源。世界を経済的に分割する時代に戻れば価格は下がると思いますが、こればかりは全然わかりません。

 

(4) 空港職員がいない

一般には COVID 騒動で職員を解雇したことが原因とされています。以下は2022年5月~12月の実体験です。

 保安検査は AMS で Schengen 外から Schengen 域への乗継で50 分、FRA で Schengen 域への出発で 70 分かかりました。ともに設置機器は 5分の 1しか運転していません。旅客数を考えると、平常なら 3~4 倍は稼働しているはずです。空港地上係員の不足はすぐには解決しません。問題は深刻です。

 当然これらの空港では、ファストトラックを設ける能力はありません。国家レベルの VIP にでもならない限り、優先扱いはありません。

 

一方、HEL は混んでいたものの時間帯の問題らしく、ファストトラックもありました。チェックイン後から保安審査通過まで30分弱。そして ATH は全く平常運転でした。ファストトラックを利用すると人待ちがないという快適さ。BER は COVID 以前存在しなかったので比較できませんが、保安検査で待つ印象を持つほどではありませんでした。たまたまラインが塞がっていて、到着した時に待ち人は自分だけ。順番待ちは3分以内。CDG の 2F は平常どおり。保安検査に COVID の後遺症は見られませんでした。MXP も問題なし。

 

要は雇用が合理的な国(余剰人員を雇わない国)の大きな空港が問題を起こしやすいわけです。

 

(5) 為替が円安(←気分の問題)

対ドルに対しては歴史的な円安が続きます。しかし対ユーロに対しては140円ぐらい。円が弱い時期とはいえますが、騒ぎ続けるほどのニュースバリューはありません。

 ただ気分には影響するので、足を引っ張る程度の効果はあると思います。ここは冷静になりましょうといったところ。

 

(6) 物価高

メディアも煽りますが、生活用品の値上げは顕著です。ただ旅行者としては、それほど抵抗を感じることはない水準だろうと思います。

 

表題は欧州編としましたが、その他の渡航先について書く予定はありません。悪しからず。